古里の暮らしの中で

私の住んでいる地域の文化を紹介する

法事パンと法事まんじゅう

2011-12-08 22:32:44 | 地域の行事


9月の半ば過ぎ、父が亡くなった。

父が入院をした時、退院間近で熱が出た時、危篤になった時、亡くなった時
その都度、これで予定していたカナダにはいくことは出来なくなった、と思った。
しかし、出発が二七日(ふたなぬか)の日だったので、「お父さんが行かせてやろうとして
死に急がれたんだ」とか、「これを逃したらまたと言っても、なかなか行けないよ」とか
出発するように勧めてくれる人ばかりだった。

その上、ここまで近づいての海外旅行はキャンセル料が高く、それも清水の舞台から飛び降りた
気持ちでの旅行予約で、2人分はあまりにもったいない。
疲れた体を自覚しながらのまた、こんな時に出かけてもいいだろうかと、逡巡しながらの出発になった。

このパンと饅頭は、49日の法事にお供えしたもの。
このほかに法事には一升で30個分位の餡入りの お餅をお供えする。
(ちなみにお祝いの餡入り餅は一升で25個位で作る)

今はお寺や、祭壇にお供えするだけだが、30年くらい前までは
50個単位で、それぞれを親戚から持ってこられて、祭壇の前にドーンとお供えされた。
法事の後のお斎が終わって親戚が帰られる頃になると、
これを急いで下げて、数が奇数になるように、また近所にも配らないと、と
急いで分けなければならないことは本当に大変だった。

今はみんなお金で包んでこられるので、こちらの考えでお供えすることができるし、
「茶の子」も他のもので、前もって用意するようになったので本当に楽になった。

49日の法事だけは、このほかに「四十九の餅」と言って
1升の餅米を搗いて49個に分けた小さなお餅で、お寺で拝んでもらう時に本尊様にお供えする。
「この餅がお供えしてあるのを、拝んだ隙にちょいと取って帰って鍋の蓋の上で包丁で切って食べるもんだ。
だから、普段は鍋の蓋の上で、物を切ったりしてはいけない」と亡くなった祖母から聞かされた。

この写真のパンは、蓮の花のついたビニール袋に包んであって、法事に使うことが、
他の地方の方には珍しいそうで、「秘密の県民ショー」でもちょっと大げさに紹介された。

法事饅頭は、今はこれが主流になっているが、私の知っている法事饅頭は
もっと表面の皮が薄く、赤い蓮の花と、緑の葉がくっきりと描かれた、
炭酸のなんとも言えない匂いのするものだった。
今でも、この饅頭を焼いて食べるのがおいしい、という人は多い。

私は昔からの法事を知っているので、このようなお供えをしているが
最近は知らない方も多いし、宗教もいろいろだし、
こんなやり方はだんだんにすたれていくような気がする。


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