舞姫 集英社文庫森 鴎外集英社このアイテムの詳細を見る |
初めて読んだのは高校生だったと思う
優柔不断で無責任な豊太郎も 愛した人に捨てられて精神を病んでしまう弱いエリスも大嫌いだった
自分は絶対こんな女にはなりたくない 絶対こんな男にもひっかかるまい そう思った
自分の将来や故郷と自分の子どもを宿す恋人を天秤にかけ 迷いに迷う豊太郎
真実をなかなか告げられずにいる彼の痛みもわかる
自分を壊してしまうほど一途に恋を貫くエリスの想いもわかる
すがるしか生きる方法のない女性もいるという事実も受け入れられる
二人の生き方に以前ほど嫌悪感を感じない自分にちょっとびっくりする
若い頃は頑なで見えなかったものがふと見えるようになる
これが歳をとるってことなのかなぁとも思う
『~浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり、われとわが心さへ変り易きをも悟り得たり。きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写して誰にか見せむ。~』