切羽へ井上 荒野新潮社このアイテムの詳細を見る |
「切羽(きりは)」とはそれ以上先へは進めない場所。…
帯にあったその言葉と表紙の色使いに惹かれて衝動買いした本
本好きの人なら皆経験あると思うけど 一目惚れした本は大抵はずれない
この本も世間の評価はイマイチのようだけど 私は好き
男性にはとくにセイの心の揺らぎがピンとこないのかなぁと思います
静かな島で絵描きの夫と幸せに暮らすセイ 島に新しく赴任してきた教師・石和
奔放な女友達とその愛人や近所の一人暮らしの老婆
彼らの生活が 淡々と描かれていく
実に静かに人の心に沈む淡い想いや揺さぶられる様子を描き出していく
夫を穏やかに愛していて幸せな生活をしているはずのセイが つかみどころのない石和に惹かれていく
なんとなく心惹かれる
あり得ることなんだろう
お互いになんとなく惹かれあうセイと石和 そしてそれをわかっていながら気づかないふりをする夫
夫だけではない 周りの誰もがそのことには気がついてる
大勢でその場にいるのに お互い目の前にいる別の人と話してるのに
それでも心の中の意識はお互い相手のところにある そんなことがある
セイと石和もそんな感じ
言わなくても触れなくても伝わる想いはある
すべての出逢いには意味があるという
いくら考えても答えは出なくても
でもいつかは見つかるのかもしれない
セイも石和も答えを見つけたんだと思う いや 最初からわかってたのかなぁ…