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岐阜の音楽館(石井式リスニングルーム)

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光カートリッジはどんな音質?

2023年10月27日 | オーディオ
今日は「オーディオ」

珍しく光カートリッジの試聴会が行われた。
DS Audioカートリッジというが会社名は「デジタルストリーム」である。
デジタルという会社名が付いているので光カートリッジがデジタル処理されていると勘違いされているが実はピュアなアナログ処理を行っているカートリッジである。
何年か前に聴いたことはあったが、その時は他社の高級MCカートリッジとの比較試聴会だったのであまり印象には残っていなかったのもあるし、高級なイメージがあったので関心は正直薄かった。

DS Audioは海外の方が良く売れていて国内の販売が手薄だったそうだ。
社長は30代と若く、ほとんど海外に行っておられるようで、今回国内でしっかりと試聴してもらうために会社として営業活動を行っていくそうだ。以前は、展示会があっても他社と同じブースだったのでしっかりカートリッジを聴いてもらえなかったらしい。

今日は、DS Audioから井上さんという新しく入社されたオーディオ歴50年というベテランの方のセミナーで行われた。

スケジュールは、
DS MATER3で1時間半。
DS W3で1時間半。



こちらは、新製品のセミフラッグモデル第3世代カートリッジ DS MATER3
価格が ¥800,000
カンチレバーは「ダイヤモンド」
針先は「マイクロリッジ針」

この上の機種GRAND MASTER EXは ¥2,000,000
GRAND MASTER が¥1,200,000
DS 003は¥225,000なのだ!!
エントリーモデルだと¥100,000もある。




DS MATER3には専用イコライザーがある。(他のイコライザーでも使えると思う)
価格が ¥1,800,000もする。
まだ、光カートリッジ用のイコライザーを積んでいる会社が少なく、上杉研究所 (STERO SOUNDオンラインのみの販売)やSOULNOUTEなどである。
これから、来年にかけて他社も出てくる予定だそうだ。

なぜDS Audioのイコライザーは大きく、高額なのか?
イコライザーの基盤は、小さいが中にすごく大きなコンデンサーが沢山使わていたりするからだ。
なぜ、コンデンサーが必要かはセミナーでは説明が長くなるのでされなかったのが残念であった。



こちらは、リファレンスモデルのカートリッジ DS W3
価格が ¥450,000
カンチレバーは「ボロン」
針先は「ラインコンタクト」

こちらが、DS W3専用イコライザー
価格が¥850,000
これでも、イコライザーとしては高額である。専用だから余計にそう思ってしまう。


今回の試聴システム
アンプはCH

アナログプレーヤーはTechDASの「Air Force III」 
トーンアームはIKEDA Sound Labsの「IT-345 CR-1」


スピーカーはMARTEN PARKER TRIO
価格が¥5,478,000


光カートリッジの仕組み
光カートリッジは40年くらい前に、東芝、トリオ、シャープ、ケンウッドなどから販売されていたようで、当時は光源が白熱電球(ランプ)だったため熱が出てダンパーを痛めてしまうから姿を消してしまったとのこと。
時代は進み、現代はLEDがあるため、熱も出なく高出力が出るということで新に光カートリッジの開発出来たということ。
イラストの手前がLEDで後ろにあるのがPD(太陽電池)である。
MCカートリッジの出力が0.7mvなのに光カートリッジは100倍の70mvと出力が大きく出せるので結果ノイズが少なく出来SN比が良くなっている(MCカートリッジと光カートリッジが両方再生できるイコライザーは、接続間違いすると壊れてしまうから注意!!)

LEDの光源供給5Vが必要でこれは、トーンアームの2本マイナス・グランドから行っている。ほとんどのケーブルでOKとのこと。

カンチレバーに遮光板が取付られていて、材料がベリリウムで軽くて小さい。厚みが100ミクロン。 ゴミが乗っているくらいらしい。実効質量が小さいので動き安い。(MCの1/10くらい)
MCカートリッジでの磁気抵抗は、光カートリッジには全く無い。
影の変化を通して音溝を読み取り、光の明るい・暗いという電圧の変化をアナログで取り出している。

難しい話で、MM,MCカートリッジは「速度比例型」で早く動くと発電し周波数が高くなると出力が上がる。
光カートリッジは、レコードの溝の動きをそのまま出力する「振幅比例型」なので低い周波数から高い周波数までフラットに出力する。
なので、 振幅比例型の光カートリッジは低い周波数から高い周波数まで溝の動きをそのままフラットに出力できる。
MM,MCとRIAA補正が異なるのでフォノイコライザーが専用になってしまう。
しかし、回路はシンプルに出来るメリットがある。
溝の深さが同じなら全くのフラットのカーブなのでMCカートリッジと出てくる出力がまったく違ってくる。

DS Audioのイコライザーのすごいところは、音楽信号の流れを良くするためにインピーダンスを低くしたいがため抵抗の足を手で撚り合わせているのだ!!
パート従業員の反対はあったが、比較試聴をしてもらったら、撚り合わせた方が音が良いことがパートさんにも確認できたので採用したそうだ。大企業では絶対採用されない作業だ。


感想
1.光カートリッジはデジタルではなくピュアなアナログである。
2.レーザーではなく針とカンチレバーがある。
3.RIAA補正回路が異なるため専用イコライザーが必要である。

試聴はメーカーさんのレコードで行われた。
セミナーの先生は、とにかく音楽が好きそうでセミナーの半分以上が音楽ソフトのお話で面白くはあったが、もっと光カートリッジの深い話が個人的には聞きたかった。

音質は、まず鮮度が高く、音楽がリアルに聴こえる。音の分離が良い。
イコライザー特性が真っすぐなので、直に出ている感じ。
ソフトによっては、物凄く音が良いと感じないものもあったが、ほとんどは高解像度に聴こえた。(自分のレコードではないので少し判断が難しい点もある)
いつも聴いているお店のリスニングルームなので分かるが、最近の試聴会の中では最高にいい音と感じられた。

DS MATER3とDS W3の違いは、あまり感じ取れなかった。ということはDS W3でも十分良い音がしたと思う。
DS Audioの井上氏もDS W3の方が光カートリッジらしい音かも知れないというような表現をされていた。
聴く前までは、全く光カートリッジに興味が無かったが、困ったことに欲しくなってきてしまったほどだ。
22万円くらいのシリーズがあるので、他社のカートリッジ価格からすれば検討できなくはないが?また、イコライザーをDS Audio純正を使うか他社のイコライザーを使うかでも変わってくる。良く考えてみよう。

これから、DS Audioさんは日本でカートリッジをじっくりと聴いてもらえるように国内を周って行くそうなので、みなさんも聴くチャンスがくると思う。

では、また。




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