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窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

牧草地にタンチョウ

2020-07-13 13:41:15 | タンチョウのいる風景

海霧の影響で牧草の刈取りが遅れていました。今年はオホーツク高気圧が強く

寒気と太平洋の暖気ががっぷり四つ、そのため海上で発生した海霧が根室地方

毎日覆い尽くしました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

              ★ 牧草地にタンチョウ ★

6月の日照時間が8時間ほどと発表がありました。気温も上がらず5月下旬の気温

続いています。7月に入り、ようやく海霧が減ってきました。蝦夷梅雨が終り

そうです。

途端に、酪農家は天気図とにらめっこしながら牧草の刈取りを始めました。一番

草はぱりぱりに乾燥させなくても半生でバンカーサイロに運びます。

三方をコンクリートで張り、そこに材料を敷き詰めるバンカーサイロ方式で、

牧草の漬物を作ます。刈り取りした後、トラックで運ぶので時間をかけず仕事が

進みます。

刈取りが終ると、すぐにカラスやトビが集まってきます。草の中にいたバッタや

ネズミを捕りに来るのです。

半日ぐらい経つとタンチョウが現れます。彼らは警戒心が強く、安全だとわか

るまでやってきません。右往左往するバッタやネズミはいませんが、尖った強靭

な嘴で柔らかな土に潜むミミズを取り出し、食べるのです。ゆったりと歩きな

がら嘴を差し込みミミズをとりだします。

やって来るのはほとんどが2羽の番。今年、子供が育たなかった夫婦が多いよう

です。近寄ると警戒して、すぐに飛び去って行きます。

毎年の行事です。


タンチョウとオジロワシ・魚を巡る攻防

2020-06-05 18:35:46 | タンチョウのいる風景

干潟は食べ物の宝庫です。水は多くの生き物を育みます。タンチョウも恩恵を

たくさん受けています。魚を捕る名人です。野付湾の干潟で良く捕るのがギン

です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ タンチョウとオジロワシ・魚を巡る攻防 ★

水が引いた浅瀬でタンチョウは嘴から頭を水に入れ、アマモなどに隠れている

ギンポを掴んで引き上げます。20㎝から30㎝ほどの細長いギンポはくねくね体を

ねじらせ、逃れようと暴れます。

普段は嘴に挟んだまま、陸地に歩いて行き、落ちても逃げられなくして、弱らせ

てから頭の方から飲み込みます。

捕ったところを近くにいたオジロワシが見つけました。体がボロ雑巾のように

茶褐色した若い個体が素早く飛んできて、タンチョウに向かって来ました。

それに気づいたタンチョウが体を低く前傾、翼を半開きにして身構えました。

魚を持っているので、身軽に攻撃できません。威嚇し、盗られないような姿勢

になります。

さらに気づいた他のオジロワシも急遽集まってきます。前から、横から1羽が2羽、

3羽と矢継ぎ早にタンチョウの魚を狙ってきます。

正面から捕りに来た個体には飛び上がって、翼を広げ、威嚇します。咄嗟の判断、

攻撃です。

オジロワシもこの反撃にはブレーキをかけ、躊躇した様子です。横に逸れ、通過

して行きます。さらに上に来ていた個体が取りに来ます。正面からも来ます。

オジロワシたちは自分が手に入れることができなくても、次々に襲うことで誰

かが手に入れる戦略をとる雰囲気です。

 

 

 

あまりにもしつこい攻撃にタンチョウが諦めました。持っていた魚をぽとんと

落としたのです。それを見て、確かめたオジロワシたちは即座に行ってしまい

ました。

運がよかったのは魚。漁夫の利です。


何でも食べるぞ

2020-06-03 18:10:00 | タンチョウのいる風景

右脚を痛めたタンチョウにで出会った。右脚を打撲したようです。関節が腫れて

いるようで、指先が少しだけ着きます。折れてはいません。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★ なんでも食べるぞ ★

脚が使えないとエサ取りが大変です。タンチョウは干潟や草原、ヨシ帯などに

入り、食べ物を探します。ゆっくり歩きながら隠れている生き物を見つけ出し

嘴で捕り上げます。

片脚が使えないと自由に移動できなく、翼を広げながらバランスをとり、ケン

ケン歩きをしなければなりません。

水の中を歩けば、その振動で隠れている魚は身を潜めるか、逃げてしまいます。

どうしても捕る確率が減ります。お腹が減り、痩せてきます。羽の手入れも悪

なり、汚れてきます。

こうなると、今まで食べなかったものでも食べなければなりません。背に腹は

かえれません。お腹に入れて少しでも栄養が取れるものであれば、乾燥したも

腐りかけたものでも食べます。

普段なら僕の姿を見れば、遠ざかって行くのに、その日は硬く乾燥したものを

拾い上げ、警戒することなく飲み込もうとしていました。

オジロワシが持ってきて食べれず、捨てていった魚の乾いたもののようです。

カジカかサケのかけらです。硬く乾燥しているのでスムースに呑み込めません。

元気なタンチョウなら絶対見向きもしないものです。無理やり食べて、強い胃に

任せ、消化してしまおうという強い意志です。

胃にものが入れば、力が出て、回復が早くなるはずです。それを知ってるから

こそ必死なのです。

近くには、行動の不自然さに気付いたオジロワシがやってきています。辛抱強く

ドラム缶の上に止まり、監視をしています。

オジロワシは待つことでチャンスを手繰りよせるのが仕事です。


スキあれば

2020-06-01 23:29:34 | タンチョウのいる風景

干潟でエサ取りするタンチョウやアオサギはアマモに隠れたギンポやカレイ、

エビ、カニなどを見つけ、食べます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

               ★ スキあれば ★

海水が引くと隠れることに自信がある魚はアマモや砂地に隠れ、再び満潮に

なるのを待ちます。

その自信があだになることがあります。魚好きなタンチョウやアオサギは隠れ

ている魚を目ざとく探しだし、引きだします。

ギンポみたいにグネグネする魚は抵抗が激しく、くちばしで挟んでもすぐには

食べることができません。頭を強く挟んで弱るまで、どうしても時間がかかり

ます。悪戦苦闘をしていると干潟に集まっているウミネコが見つけ、上空に

やってきます。

あわよくばかすめ取ろうと狙うのです。泳ぐ魚は上手く捕れるのに隠れている

魚はとることができません。そこで頭を使い、横取り作戦をとるのです。

上空にきて、ホバリングしてタンチョウの気を自分に向けさせるのです。運が

良ければ、急降下して嘴の先から魚を奪うことができます。

成功率は決して高くはないのですが、可能性を求め、試します。気にしている

ときに魚が落ちたりするといち早く降下して、拾い上げ、そのまま逃げます。

労せずして獲物にありつくことができてしまうのです。横取り作戦は毎日、繰り

かえされる出来事ですが、盗られる方も知恵はつきます。

それでも横取りするウミネコはすごいよ。


今年も営巣を失敗しました

2020-05-25 16:58:39 | タンチョウのいる風景

野付半島のナラワラ林の周囲を縄張りにするタンチョウ夫婦。毎年、営巣する

ですが、今年も駄目だったようです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 今年も営巣を失敗しました ★

去年は2羽のヒナが生まれましたが、育雛途中でヒナが2羽ともいなくなりま

した。キタキツネか、オジロワシに捕られてしまったようです。

今年は毎年使う巣を使いませんでした。最初から繁殖する気がなかったのでし

ょうか。

海岸線で縄張りを持ち、暮らすタンチョウ夫婦の営巣成功率は内陸部の夫婦に

比べ決して高くないです。最近は海水面が高くなり、長年使ってきた巣が高潮

の影響を受け、水を被ることが多くなりました。

干潟に生えていた草地が満潮になると海水で覆われ、消えて行っています。

再び泥炭になり、表面の泥が削られていってます。タンチョウがヒナを連れて

採餌していた場所が消えて行っているのです。

繫殖する場所を変えればいいと思うのですが、移動するにも伝統的な繁殖場所

には入って行くことが難しい。彼らが変わらなければいけないのですが。

高潮の影響が少ない場所を選び、キタキツネやオジロワシの妨害に耐えうる

場所、ヒナを安全な場所にすぐ導ける場所、など条件を見つけないといけませ

ん。ただ、今以上に良い場所を見つけるのが難しいのかもしれません。

この夫婦、すでに諦めたのか、いたってのんびりと潮が引いた干潟で採餌を

する光景を見かけます。