徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

短刀身研摩

2012-10-23 19:34:54 | 刀身研摩
短刀の錆身刀身に研摩を施しました。



この短刀は、10年程前に京都で買い求めたお刀で、幕末期の洒落た拵えに収まっています。刀身は、古名刀の残欠の様です。
購入後、ずっと錆身のままで、いつか時間が出来たら研ごうと思いつつずっと放置していました。
今回、新しい砥石を購入したことで、砥石と刀身との相性を調べる意味もあり、押入れから引っ張り出してきました。



研ぎあがった刀身を見ると、刃中の働きが楽しめる相州伝でした。
現代の様に情報化社会でなかった江戸時代ならば、「正宗」と極めても良かったかもしれませんが、今は学問水準が飛躍的に進歩しているため大刷り上げ無銘の極めは非常に難しいものがあります。

この手の拵えから推測するに、幕末期に勤皇の志士が肌身離さず身に帯びていた類の実用刀でしょう。
しかも、拵えの入念な作り込みを考えると、よほど高級な侍の持ち物であったことがうかがえます。