徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

北鎌倉製鉄文化ツアー

2017-04-24 23:40:48 | 徒然刀剣紀行
昨日の23日(日)、以前より告知していた北鎌倉での歴史探索ツアーを決行いたしました!
当日は天候にも恵まれ、新緑が萌える高原を散策するような、心地よい散歩日和の中での開催となりました。



今回ご参加いただいたのは、8名様(鎌倉に造詣の深い団体6名様と、かねてより交流のある刀剣愛好つながりの武道家2名様)でした。



北鎌倉ルートで開催する歴史探索ツアーは、今年初になります!
去年は、紫陽花の季節と紅葉の季節に連日開催しました。



日頃、暗い工房に閉じこもって刀剣工作に集中していますので、久しぶりの明るいところでのツアーに熱がはいります。



今回は、鎌倉時代以前の北鎌倉の話からスタート。



円覚寺と製鉄の知られざる関係や、国宝の梵鐘と相州伝の知られざる関係をご紹介。

ご参加頂いた方の中からは、「もっと刀剣の話を聞きたい!」といったご要望もございましたが、全体のバランスを考えて皆さんが楽しんで頂ける内容を選びました。



久しぶりの北鎌倉では、敬愛する北鎌倉の守護神・ベテランガイドの喜清さんにも再会することができ、こんな素晴らしいお土産まで頂戴いたしました。静嘉堂文庫にて、期間限定?にて販売されているそうです!

今回は北鎌倉を舞台に、埋れた歴史を掘り起こす謎解きツアーを、約2時間かけてまわりました。ご参加くださいました皆様、この場をお借りいたしまして、厚く御礼申し上げます。

新作拵とあそびごころ

2017-04-20 11:29:24 | 拵工作
新しい拵えが完成しました!



寛文体配の長大な御刀です。健全そのものの刀身です!茎には長文の金象嵌裁断銘があり、歴代の所有者が如何に大切に扱ってきたかが一目で判ります。



私は、鑑定書にさほど興味はありませんが、次回の重刀審査に間に合うように思います。



ズシリと重いため、当初居合には不向きでは?と思いましたが、拵えでバランス調整に取り組んだ結果、十分使用可能であろうと感じます。



ご依頼者様よりお預かりしていた刀装具は、当初どうしても刀身に合わなかったため、何度も相談を重ねました。



刀身との相性やバランスとの兼ね合いで、必ずしもお持ち込み頂いた刀装具が使用できないということもあります。



拵えは、飾りではありません。刀剣と使用者を繋ぐ唯一の装置であり、使用用途に即した工作でなければ本末転倒な作品に陥りがちです。



特に柄前は、刀剣外装の顔に値します。所有者を表す大変重要な装置であることから、品格を加味する工作が必要です。



昨今、雑な柄巻きを施した安価な工作が横行していますが、武家の価値観に接するのであれば、避けたい工作です。



工作内容を挙げるとキリがないのですが、鞘には様々な工夫を凝らしました。
くり型は、ご希望によりシトドメを施さず、内側に金泥を塗りました。



コジリ寄りには、闇蒔絵により拵えのストーリーに関わる意匠を施しました。
拵え工作時には、刀身との兼ね合い、用途との関係も重要ですが、ストーリーを持たせることもトータルバランスの調整に寄与します。



鯉口には、ご依頼者様のお持ち込みになられた銀製のメモリアルプレートを加工して鯉口金具を作成しました。くり型の内側同様、鯉口部には金泥を塗りました。見えないところに金を乗せます。



蝋色黒蒔絵鞘、正絹諸摘み巻き、源氏物語拵えといった名称でしょうか?
鮫皮は、日頃手にすることのない大きな親鮫を配した高級品を、総巻きに着せました。

朝からお払いの儀を執り行ない、ただ今ブログを更新しています。
ご依頼者様に喜んで頂けることを、とても楽しみにしています!

たたら ~日本古来の製鉄~

2017-04-18 00:27:38 | 洋鉄と和鉄
21世紀財団様より、第一級の専門書をご寄贈頂きました!



この書籍の内容は、西洋の製鉄法が導入されるまで日本の各地で行われていた「たたら製鉄」について、江戸末期山口県に実在した「白須山たたら」を中心に周辺の自然や人々の生活の営みも含めて彩色豊かに描いた絵巻「先大津阿川村山砂鉄洗取之図」を最新のデジタル画像で紹介しながら、たたら製鉄の設備や技法を詳細にかつ分かり易く解説を加えるというもので、次世代に語り継ぐべき素晴らしい資料だと思います。



大変貴重な資料をご寄贈頂いたJFE21世紀財団様には、この場をお借りいたしまして深くお礼申し上げます。

当方が独自に行っている、製鉄文化の紹介活動などで、積極的に活用させて頂きます。ありがとうございました!