徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

古名刀の研摩

2014-12-23 00:56:16 | 刀身研摩
鎌倉時代の刀身の研摩です。



刀身の曲がり矯正と研摩にてお預りしているお刀です。
綾杉ごころを交えた古風な柾目肌が特徴的で、鑑賞の魅力溢れる一振りです。



本日研ぎを終えて鑑定家の先生に見ていただいたところ、鎌倉初期の大和本国であろうとの見解でした。
重刀候補といっても言い過ぎではない上の出来とのことで、「良いものを見せてもらった」とお礼の言葉まで頂戴しました。



ご依頼者様は居合にお使いになるということでしたが、これには鑑定家の先生も激怒!納品時に、その旨をご依頼者様に説明し、何とか日本の宝として大切に扱って頂けるよう説得しなければなりません。

今年最後の研ぎにて、古名刀を研がせて頂いた出会いに、改めて感謝したいと思います。

脇差しの研磨

2014-12-10 21:31:34 | 刀身研摩
脇差しが研ぎあがりました!



鍛え肌は良く積み、匂縁のしまった直刃を焼く長めの脇差しです。

刀剣の研磨では、作業開始前に個人的に鑑定を行い終了後に再度鑑定をするという、密かな楽しみ方があります。
このお刀は、当初肌の分からない乱暴な研ぎが施されていましたが、南北朝期を代表する名工の在銘で、中心の様子から考えて追っ掛けていることは一目瞭然でした。
上の出来は一見現代風ですが、焼き落としが見られるなど見所の多い一振りだったので、金剛兵衛あたりかな?などと思っていましたが・・・



研ぎ上げてみると新刀然としており、見方によっては肥前刀の様にも見える大変美しいお刀でした。

当初、室町と見立てて研ぎを合わせていきましたので、全くの見当違いだったことになります(笑)。
砥石の当たり具合で分かりそうなものですが、思い込みというのは怖いものです。
少なくとも勉強不足が露見し、いい教訓になりました。