地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

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ライブドア、ついに司直の手が回る、か・・

2006-01-17 06:27:33 | ライブドア問題
本日の話題においてはもう皆さん、かなり様々なニュースを読まれて研究されていると思うが、まあ続々と報道が入ってきているので一体どこまでを自分なりに消化していいのか良く分からなくなってきた。

とりあえず拙日記にて軽く書いたように、まず今回の事実関係を自分なりにまとめてみたい。
争点となっているライブドアマーケッティング(旧バリュークリックジャパン、そういえばこの会社の発行したMSCBの記事を過去に書いた記憶があるので、興味のある方はこのBLOGのどこにあるか探してみるように)が、マネーライフ社の買収を発表したのが、2004年10月25日。
ちなみにこの時の株式交換比率は1:1。確かに今ゆっくり考えるに、交換比率が1:1って事は両社の会社としてのパワーは同等です、って言っているようなもんで、ちょっと変だね。
片や資本金11億、従業員数40名、片や資本金8千万円で従業員数3名の会社である。
まあ、それは良い。

スイス時間の午前中の報道で目立ったのは(特に朝日の記事)
「バリュー社がマネーライフ社を完全子会社化することを発表した後、バリュー社とライブドアの株価は急騰。バリュー社は04年10月26日に1株16万円(終値)だったのが10日後の11月5日には1株24万1000円まで値上がりした。」
ここに非常なるマスコミの悪意が織り込まれている事に気付いただろうか?
もしバリュークリック社の株が、この10月25日発表の記事にて暴騰したのであれば株価は当然翌日から反応しなければならない。それが何故か「10日後云々」になっているのは何故だ?

     (値段) (出来高)
F 11/19   3760 72000
T 11/18   3880 116300
W 11/17   3680 188200
T 11/16  4000 114900
M 11/15  4500 164800
F 11/12  4000 31600
T 11/11  3500 13800
W 11/10
T 11/ 9
M 11/ 8   2200 117100
F 11/ 5  2410 67000
T 11/ 4  1910 15700
W 11/ 3
T 11/ 2  1710 10500
M 11/ 1  1630 7500
F 10/29  1700 8500
T 10/28  1670 18600
W 10/27  1620 19500
T 10/26 L 1600 25900
M 10/25  1790 33200

2004年当時の株価の推移(分割算定後なので単位が少々違うが)、25日発表日の株価は1790円、そして翌日26日は最安値の1600円を付けているのだ。確かにその後徐々に株価は上昇を始めたが、報道の言う10日後の11月5日には確かに2410円を付けているが、実はこの株の本格的上昇はその後で、あの株式100分割を発表した11月8日以降なのである。
そして9ヶ月決算発表を11月12日に迎え、ここで一気に黒字転換の発表をしてから株価の勢いは止まらず、その後12月16日には最高値なんと80500円を付けているのである。つまり朝日の言う短期間で約50%の上昇どころか、たかが1ヶ月ちょっとで約50倍の値上がりであるよ。何故これに触れない??

つまり単にマスコミから流されている報道を鵜呑みにしてしまうと、あたかもバリュークリック株はそのマネーライフ社との合併報道によって株価が凄い勢いで上昇、しかもこの合併にからくりがあったから「風説の流布」なのだ!と言っているように聞こえるわけで、これこそわたしに言わせれば風説の流布じゃないの?って事だ。

その後聞こえてくる報道によれば、結局決算に虚偽の報告があった、またライブドア本体からの指示により云々、さらに他の会社買収時にも何かからくりがあった・・・となっているが、まあマスコミが大いにはやる気持ちは想像するに難くないが、あれだけライブVSフジにて醜態をさらしたのだから、もうちょっと紳士的な態度で報道するべきだと思うし(ライブドアに肩入れをする気は無いけれど)、この朝日の報道だって間違いでは無いけれど、我々はますますマスコミ報道を疑って掛からなければならないなぁ、やれやれ、と思うわけであるね。

ちなみに確かに決算は変かも知れない。営業利益、経常利益、そして純利益の全てが赤字だった会社が突然全部黒字になっているのだね。
決算短信を見てみたけれど、もちろん私のような素人が分るような細工はされていないだろうけれど(笑)。

それと、マネーライフ社との合併報道における発表文にて、お互いの大株主及び持ち株比率と言う項目があって、バリュークリック社の方は「株式会社ライブドア、75.06%」となっており、片やマネーライフ社の方は「VLMA2号投資事業組合、100%」となっている。
現段階での一つの争点は、この「VLMA2号投資事業組合」ってのは実はライブドアが100%出資しているベンチャーファンドである、と言う事だろう。
つまり報道が本当だとすれば、このマネーライフ社は既に事実上ライブドアの子会社であって、あたかも自分達とは縁もゆかりも無い会社を今回買収いたしました、って事になるわけで、確かにこれは投資家を欺いている行為であろう。
ちなみにこの発表文の「当事会社の概要」の部分において、

(15)当事会社の関係
資本関係~該当事項はありません
人的関係~該当事項はありません
取引関係~該当事項はありません

となっているから、もしこのVLMA2号がライブドア全額出資のベンチャーファンドだとしたら、これは完全に虚偽記載になるだろうね。
(蛇足だが、このV、L、M、A、どれを取ってもバリュークリックだのライブドアだのM&Aだのを想起されるようなネーミングだよね。)

但し上で述べたように、この合併の報道自体は「風説の流布」には当たらないと私は考えるが、皆さんは如何様にお考えか?


そしてもう一点今回のニュースが浮き彫りにしてくれた大事な事がある。
それは、カリスマ的なトップの会社への投資は、通常の会社とは別なリスクがある、と言うことである。
これは前にも私は書いていると思うけれど(多分拙日記の方だったかも)、トップのカリスマでぐいぐい伸びている会社の大きな課題は「後継者」だと常々思う。
有名どころでよく取り沙汰されるのが、NIDECの永守さんだろう。彼は3度の飯より仕事が好きで、趣味は四季報を読むことらしいけど、彼に匹敵する後継者ってのはなかなか出ないだろうし、ゆえに彼に不測の事態が起こったときに果たしてかのグループはどうなるのか・・・そういうリスクの恐ろしさをあらためて顕在化してくれたのが今回の出来事であろう。(実際その手の出来事は過去にも起きている。例えばあのTSUTAYAのライバル会社のGEO。この創業者社長はある日きわめて不測の事故で急逝され、翌日以降しばらく株は下落した)

恐らくライブドア社をはじめとする系列各社の株価は明日以降とりあえず惨憺たることになるだろうことは誰でも想像が付く。
何たってあの堀江氏まだまだ若いし血色も良さそうだし、ちょっとやそっとじゃ倒れないイメージがあるが、まさかのこの報道・・つまりこういう事もリスクファクターとして我々は今後頭に刻む必要がある、と言うことだと思う。
新興企業は大体がこの手のカリスマトップによってここまで突っ走ってきているわけで、仮に長期投資を前提とするならば、今回のようなことが起きた場合、果たして当該会社には少なくとも切れ者のNo.2が居るのかどうかは調べておく必要を我々に教えてくれている気がする。

取り急ぎ本日は以上。