地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

価格決定のメカニズム(ちょっと大袈裟であるが~笑)

2005-09-15 06:52:45 | CB教室
昨日の宣言どおり、本日はこの価格決定のメカニズムと言おうか、まあそんなに大袈裟なものでは無いのだが、この辺を私の経験を元にお話してみたいと思う。

コメント欄に非常に嬉しいご質問を頂いたのだが、何故に各銘柄の板には常時あれほどの売り買いがあるのだろうか、と言うものであった。
確かに考えてみれば何千とある銘柄のそれぞれに毎日あるいは瞬間瞬間にあれだけの売り買いの板があるのは不思議であり、さらにそれらが集約されて値段が付いて行くというのは不思議である。
基本的に株価とは私はその参加者の全ての総意に元づいて形成されるものだ、との考えを持っているのだが、では果たしてそうなのだろうか。
板が薄ければ、資金力のある奴が意図的に値段と言うのを作り出せるのではないか、との疑問が当然あったりするわけで、この辺は単純に不思議だなぁと言うしかない。

今から書くことがそういう疑問を解決するかどうかははなはだ疑問であるが、まあそういう価格形成もあるんだな、という事を知る上ではもしかしたら楽しいかも知れないね(笑)。

私はなんだかんだ言って、結構生まれたてのCBの値段形成に深く関わってきた。
MPO系は別として、ごく一般に、特にスイスで発行されたアルパイン円CBのローンチ後の値段形成は結構やってきた。この経験は、価格形成のメカニズムの一端を知る上では極めて有意義な経験であったと言える。

何度か述べているように今の世の中は、各社各様のモデルによって、それぞれのCBの条件を入れてやればそのフェアーバリューは瞬時に出る。
しかしながら各社各様の要請によって、そのフェアバリューよりも安くして欲しい、高くして欲しい等のリクエストが存在するのも事実であって、そういうときにはさらに私の腕の見せ所であったわけだ(笑)。
仮に、アルパイン円CB、銘柄A、総額50億円のCBが発行されたと仮定しよう。
このCBの主幹事は我々で、シンジケーション団は組まない、SOLO LEADとしよう。
これは何かと言えば、主幹事はその引受リスクが膨大である、と判断すれば、シンジケーション団と言うのを組むことがある。主幹事1社では賄いきれないと思えば、例えば大和とか野村とかあるいは在スイスの投資銀行なんかに声を掛けて、この引受に参加しないか?と呼びかける。なんぼかの手数料を渡して、それにOKした先には前もって50億のうち、5億をxx銀行、3億を○○ファイナンス、1億x7件をそれぞれ△△証券、に前もって渡して、主幹事自らの引受リスクの軽減を図ることをする。
つまりそうやって出来上がった図と言うのは、例えば、
主幹事A証券の引受額35億
xx銀行スイス 5億
○○ファイナンス 3億
い、ろ、は、に、ほ、へ、と の各社1億ずつ
総計50億

みたいな形にして、一斉に投資家に販売する、これをシ団を組んで販売する、と言う。この辺はみなさん、国内IPO系でよくご覧になっていると思う。
こうすれば、主幹事は当初最大50億の引受リスクがあったものの、35億で済むようになるわけだ。

しかしながら近年、特にユーロ円CBやアルパイン円CBの起債においてはこれをする所はほとんど無くなった。何故なら基本儲かるプロダクトであるからだ。
50億引受た分儲かるはずが、シ団を組んでしまって35億の引受分だけ儲かるのでは甘みが少ない、ゆえに近年はほとんどSOLOすなわち主幹事1社が総額を引き受けるパターンが主流である。

また私がやっていたような、ローンチ後の値段形成も、ソロとシ団ではそのやり方が根本から違った。

では本題に戻る。この起債がソロの50億であるとする。
その発行が決議されアナウンスされるのが、大体東京時間午後3時過ぎである。(スイス時間午前9時ごろ)
その段階で、主幹事は需要を顧客から取り始める。それぞれの担当セールスが顧客に一斉に声を掛けて、どの程度買いたいか、需要を集める。
同時に引き受け部隊は会社側と最後の条件交渉に入る。プレミアムをどの程度に設定するのか、云々である。
一通りセールスが顧客にコンタクトし、その集計が大体スイス時間昼ごろに分かる。その段階で例えば50億の起債に対して需要は500億程度集まっている、などの情報が引受部隊に伝わり、その動向によって最終的な条件が決定される。
その決定とともに今度はセールスサイドの方で、アロケーション作業が始まる。すなわちじゃあどの顧客にどれくらい渡そうか、と言う喧々諤々の話し合いである。
あるセールスAは「このお客は今後とっても大事になるから、どうしても1億欲しい」
またセールスBは「いやいやこの客もこの間あんなに大きな注文をくれたわけで、どうしても2億は渡さないと今後のビジネスに差支えがある」
等、のせめぎあいが始まる。
この時間が一番しんどい(笑)。

さて、最終的に各顧客への配分が決まるのが大体スイス時間4時前。つまり日本時間夜中の12時前で、この段階で正式な条件も決まり、顧客への配分も決まり、そして私の出番となる。

話を単純化するために、総勢40社の顧客が1億ずつの配分を、@100で受けたと仮定する。残る10億は私の勘定に入り、それを使って値段形成していくのである。
配分した段階では何の気配値も出ない。
しかし、このCBのフェアーバリューはどうも105近辺らしい。
ゆえに本当は5億の配分が欲しかったある顧客zが、私のところへ来て、あと4億とにかく買いたいが、出来れば値段は105未満で買いたい、と言ってくる。
そうすると私はまずマーケットに「104.50BID」を出す。これは出した瞬間にこのマーケットに関わる業者に伝わる。するとマーケット値段はとりあえず、
「104.50BID、NO OFFER」みたいになる。

さて、1億の配分を受けた顧客がそれを見て、中には「そうか100でもらってもう104.50で売れるのか、それなら利益を確定しても良いなぁ」と言う所が必ず現れる。そういう顧客が私に連絡してきて「104.50なら売るよ」と来る。
そこで私はそれを買って行く・・・
それが総数4億に達したら、さっさとそれを104.75で最初の顧客に売る。
ここで私は0.25儲けるし、全員がハッピーな形が生まれる。買いたい人は105未満で買えた、売った人は瞬間的に4.5ポイント儲かった、私もしっかり儲かった・・・と言う構図であるね。

さて、104.50のBIDがこれで途切れた。しかしこのCBの理論バリューは105近辺なのだから、私は今度は104でBIDを出す。
中には先ほど売りそびれた連中が売って来ることもあるし、全然売り物が無ければBID UPして行く。
再度104.50BIDをマーケットに提示、しかし何も動きが無ければまたBID UPする。
105BIDにした段階でどさっと売り物が来たとしよう。そしたらそれは105で買いつつ、今度はマーケットに「104.75-105.25」のような提示をする。
つまり私は引き続き104.75なら買うし、105.25なら売ってあげるよ、と言う意思表示である。
これで105.25で買ってくれる人が出てくれば、私は105でゲットしたモノを出せば良いし、104.75で売り物がさらに出てくれば、一定の額を買ったところで今度は「104.50-105.00」と出す。
今度も仮にまた105で買いたい人が現れれば、私は今度は104.75でゲットしたモノを出してあげれば良い。
以下同文。

つまり、マーケットに出回っている総数を常に把握していればこのようなオペレーションは比較的簡単に出来るのだね。
50億のうち、自分は今何億をいくらのコストで持っているかを常に把握し、同時にどの顧客がどれくらい持っているかを考え、あの客はさっき5千万売ってきたからあと5千万はあるな、とか、あの客はさっき2億買い増したから現在の持ちは3億だな、とかをきっちり把握していると、極論すれば私自身が思うような値段を作れるのだ。
105にしたければ105に出来るし、これを107にしたければそれも簡単に出来る。また103に抑えたければそれも出来る。

つまりやはりモノの値段と言うのは結局需給関係によって大枠は決まり、かつ参加者の意思をすばやく先取りして、それらを常に頭の中で合致させながら自分のリスクを軽減していけば、意外と簡単なのだね。

何だかダラダラ書いてしまったが、これらの質問は喜んで受け付けますので、どうぞ宜しく!


12 コメント

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とても興味深く (yuragi)
2005-09-16 03:56:54
勉強になりました。ありがとうございます。

発行価格は2項、3項モデル、ブラックショールズなどの計算式によると聞きますが、その後に投資家の需要調査をしたりと、IPOにおけるブックビルディングのようなことをするんですね。

で、質問なのですがローンチ~値段が決定、その後CBの価格はどのように変動するのでしょうか?基本的には東京市場における当該銘柄の株価に連動するのでしょうか。株価が2倍になればCBも2倍になる?株価が半分になればCBは100を割り込むこともある?逆にCB価格が大きく変動して、株価が追随するなんてこともあるのでしょうか。



株価が低迷している企業の社長が「海外でのCBはとても好評いただきまして・・」なんてコメントしてるのを見たことがあります。「ほんまかいな?」と思ってましたが、その後半年ほどで株価は50%ほど上昇してたりしたもので。



あと、前半部分の「各社の要請によってフェアバリューより高く、安くのリクエスト・・・・私の腕の見せ所」

後半部分の「極論すれば私自身が思うような値段を作れるのだ」

という辺り、ちょいと気になりました。また機会があれば伺えればなあ、と思います(もちろん、お話のできる範囲で)。

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Unknown (小鬼)
2005-09-18 04:17:58
yuragiさま

発行条件に関しては、確かに提案時は多少のモデルを使うかもしれませんが、実際問題はさほど使っているとは正直思えません。

前に何かの記事にて書きましたが、発行説明には「ブラックショールズモデルを用いて云々」とありましたが、我がロンドンのブレーンの教授殿に言わせれば「あはは、小鬼さん、あんなの絶対に嘘っぱちですよ」と。

条件面では実態に即さないと販売に大きく影響しますので、かなり現場の意見が入ります。

発行後のCBの値段推移はおっしゃる通り、原株の値段に左右されます。基本CBもデリバティブ(派生商品)ですから、何事も原株あって、と言うことになります。



私自身が思うように値段を作れる・・

例えばイシューによっては、間違いなく苦労しそうな条件のものがあったり、全く何をしなくてもバンバン売れてしまうようなものがあったりする訳ですね。

前者の場合は、ある程度私のところでサポートを入れないと、値段がどんどん崩れていってしまうのです。見得もありますので(笑)、「やっぱりあの起債は無理があったよな」と陰で笑われないように、結構痺れつつもサポートします。

反対に何もしないで良いものは、あまりローンチ後の値段がぶっ飛んでしまうと、結局後で様々な方面から「あれはミスプライシング(条件が甘すぎた)だった」とやっぱり叩かれるわけです。それを回避するために、ある程度のレベルで値段を冷やしてやることも必要なのですね。その時は前者と反対にわざとマーケット(CBのマーケットです、株は関係ありませんよ)に売り物をバラバラ出してやって、値段を冷やしたりもするのです。

これらのオペレーションはあくまでもそのCBの条件が決まって、その後顧客へのアロケーションが済んだ段階で行われますので、通常はスイス時間の夕方の数時間の出来事で、東京時間は真夜中ですが(笑)。
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なるほど! (yuragi)
2005-09-21 06:14:51
ありがとうございます!「うへ~っ!」「やっぱり!?」「なるほど!」と、読ませていただいてます。

市場に関して「なんで?」と不思議に思っていたこと、点と点が線になっていく気がします。

一般に取引所内の株式取引では公募売出し時のシンジケートカバー等、限られた場合のみ安定操作が許されると理解してます。CBの場合は取引所外なので売り手が手を加えても問題にはならない、ということですよね?

(とはいえ取引所内でも、ある程度は仕掛け的なことは行われてるのでしょうが)



ちなみに、小鬼さんのオペレーションで意図した通りにならずに裏目に出た、失敗したなんてことはおありですか?値段を抑えようとしたが買いが強くて抑えきれず、暴騰してしまったとか。

それでも損失は出すことは・・無いんですよね?

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おじゃまします・・・横レスですが (たろ)
2005-09-23 04:30:16
ド素人の個人投資家です。<最近、ここを発見・・>おもに株売買をやっています。CBも株価と関連することなので面白く読ませていただいてます。

CBなどの価格形成の仕組 ド素人の私には、難しいですが、なかなか勉強になります。ついでに 株価の価格形成の仕組<参考書にない・・裏話等>なども講義いただけたら、うれしいです。

<書いてる 当人も ぜんぜんよく解っていないのですが・・> 聴いた話なのですが、株価の価格形成は、市場の需給によるだけでなく、擬似的に作られたような相場なども 存在するとか?そういう側面なども講義いただけたたら、おもしろいのですが・・

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Unknown (小鬼)
2005-09-23 06:49:25
yuragiさま

有難うございます。何せ私は文章力が極端に無いので、いつものんべんだらり、って感じで書いちゃうので、大変読みにくいとは思いますが、今後もどうか我慢してください(笑)。

安定操作はおっしゃる通りだと思います。昔はもっと派手な感じの「安定操作期間」ってのがあったのですが、今はそこまでは無いようですね。どうしても初値が付かないような時に、主幹事が冷やし玉を出す程度ですか。



私が扱っているCBは、上場しておりませんので、全て相対取引ですので、誰が何をやろうと基本OKです。しかしながらやはりプライスに影響を及ぼしてやろう、と思っても、その業者なり顧客なりがそれなりの影響力なりを持っていなければどうしようも無いのですね。

為替市場ってのが割りとそれに近いかもしれなくて、昔知り合いの為替ディーラーが言ってましたけど、例の日銀介入。日銀から電話が入ると回りがし~んとなって、電話を切るとみんながすぐに動ける体勢にしておいたそうです。日銀チェック!とか言われていたそうですが、まあそれは影響力が巨大すぎますけれどね(笑)。



失敗したことなんてもう数えられません(笑)。値段を抑えようと、冷やす場合は、玉を持っている限りは良いのですが、問題はやはり徹底的に売り込まれる時ですね。こっちも主幹事としてのプライドもありますから、徹底的に買い向かってやるのですが、それでも抱えられる玉の総額には限度がありますから、かなりしびれました(笑)。

100億の起債で、30-40億買って、ようやく下げ止まった、みたいなことがあって、それだけで、それまでせこせこ積み上げてきた私のブックのPLなんてあっという間に吹っ飛びましたね・・・(笑)





たろさま

いらっしゃいませ!!

今後ともどうぞ宜しくお願いします!

そうですね、株価形成の仕組み、今度書いてみますね。

昔に比べて現在の株価形成ってのは本当にガラス張りなのですね。当局もかなりうるさいですから、特に自己勘定の連中はかなり注意深くやってますので、なかなか面白い話に出会えません(笑)。

擬似的に作られた株価・・

このCB絡み、またIPO絡みではたまに散見されますよね(笑)。何故か起債なりのアナウンスの前日にどさっと下がっているとか。

またかつてワラントが盛んな頃、しかも今のように「引け値介入」とかも余り煩くない頃は、例えば手持ちのワラントを高く売りたい場合、その銘柄の株価を引け際にさらっと買って、擬似的に値段を高く引けさせるのですね。それを受けてこちらではワラントの値段も決まってきますから、株が高ければワラントも高くなる、そしてそこを売る、、みたいな事が時たまありまして、私もたまに引っ掛かってました(笑)。私のチームの外人も、その株への関与をやりたがったのですが、「それは本当のプロのすることじゃないから、駄目だ」って言ってやらせませんでしたが(笑)。

あと昔あったのが、ご存知かもしれませんが、「鉄砲」と呼ばれる、まあこれは完全な犯罪ですが。

自分の持ってる株を高く売りたい場合、他社から買い注文を出します。それで株価が上がって来たところを、今度は別の証券会社経由で売りに行くわけです。それで売れたらとっととその売り代金は回収して、買い注文を入れた証券会社にはお金を払わずに、ドロン。。

それに引っ掛かっちゃった新人君が居て、彼は結局会社を辞めました、かわいそうでしたね。。
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Unknown (アマポーラ)
2005-09-24 21:18:57
こんばんは。



CB市場の話を伺っていてふと思ったのですが、引き受ける側の(MPO)ファイナンス等はどのようになっているのでしょうか?



MPOが活発な野村證券さんのQ開示をちらっと見てきました。手元キャッシュは潤沢でしたが、やはり毎回自社の財布から出すのではなく、LIBOR+アルファとかで借り入れ調達されているのでしょうか?

MPOの場合償還期限は2年くらいが多い気がしていますが、実際は数ヶ月で転換完了しているケースが多いですよね。これは、引き受ける側のファイナンス理由に由来しているのでしょうか?



もしも小鬼様の業務に差しさわりがなければ、この辺のお話もお願いさせて頂きたいです。



それから、たまにですが、新株予約権付き社債国内公募も目にしたことがあります。この場合海外発行よりも、発表翌日の株価ドスンが小さい気がするのですが(余り下がらない)

国内公募だと客筋が違うのかな?ヘッジファンドなどに行かないからヘッジ売り攻撃がでないのかしら?と自己納得しております。この考え方は正しいでしょうか?教祖様の見解を頂けましたら嬉しいです
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こちらこそ よろしくお願いします。 (たろ)
2005-09-24 21:22:26
 ど素人なものですから・・まず 基本ができてませんが、よろしくお願いします。



 擬似的に作られた相場・・で・・感じたこと!

よく日経新聞などに掲載されているのですが、株価の価格操作のために 盛んに見せ板などを使い、価格の方向性のコントロール行われているとのコメント・・・。実際問題 このような市場の方向性を持たせる為の売り板/買い板の操作は多いものなのでしょうか?相場を作る為に意図的な操作は、けっこうまかり通ってるものなのでしょうか? 案外 これが普通なのでしょうか?  提灯投資家の私には、いまひとつ 相場を作る側のスタンス<手法>がよく理解できません。これを、マーケットメイク?とでも言うのでしょう・・? いったいどのような手法があるのでしょう。

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Unknown (小鬼)
2005-09-28 06:11:10
アマポーラさま



相変わらず目の付け所が本当に鋭いなぁ、と感心してしまいます・・・

まずは証券会社のファイナンスですが、これは実は経理部関係とかでないと正直良く分からないのですが、基本借り入れでやってると思います。おっしゃる通りL+ナンボ、での借り入れが基本でしょう。

特に自己勘定部門には、このファイナンスコストも経費として乗っかってくるケースが多々ありますので、そのお考えは正しいと思います。しかしながらそれゆえ、例のMPO系の期間が短いこととは結びつかないと思います。

これだけ金利の低い世の中が続いているわけです。調達コスト云々ではなくて、あくまでも証券会社に常に付きまとう亡霊は「リスク」です。このリスクを極小化するために、MPO系はなるべく早く転換して利益を確定したい、との意思が働きます(個人投資家の方には申し訳けございませんが)。

証券会社は、まずリスクをどうするか?大袈裟に言ってしまえばそれしか考えていない、と言っても過言では無いかもしれませんね(笑)。



国内公募、但し上場モノ、に関しては、海外発行モノとの純然たる違いは、前に書いたかもしれませんが、発行目論見書みたいなものが当局に受理される速度です。

海外発行の場合はこれを日本の当局へ提出する必要はありませんが、国内上場ですとそれが受理されるのに約1週間掛かります。故にそれが受理されるまでは転換価格を決定出来ません。取締役会にて発行決議をしてその情報が公になっても、今度は転換価格が決まるまでに約7日ありますのでその間の株価の変動リスクが伴います。ゆえに東証上場モノが空洞化しているのです・・・とここまで書いてこれって質問の答えじゃないジャン、と気付きました、すみません(笑)。



おっしゃる通り国内公募と海外発行では客筋が全然違うと言っても過言はありません。

国内での公募の場合はどうしても一社辺り最高5百万円まで、、のようなキャップが付きます。これは国内公募にて発行の場合は潜在株主数の増大を図る、等の意図が働くからだと思われます。つまり「件数」を「何件以上」みたいな条件が付いたりするのです。

つまりそうなると、数で稼ぐヘッジファンドや機関投資家にはなかなかフィットしないんですね。巨大ヘッジファンドがアロケーションを500万もらっても、彼らはそれをシードにヘッジポジションを組めるわけも無く、結局すぐに売るか、或いは最初から札を入れないか、そういう選択しか無いんですね。

その後の株価の動きがそれらと全く関係が無いかどうか、というのは断言は出来ませんが、ヘッジポジションを組める組めない、ってことを考えると、多少影響はあるでしょうか・・って感じですか。



たろさま



むむむ・・・これも難しいご質問ですね(笑)。

見せ板と言うのは恐らく存在するでしょう。

例えば、付きそうも無い値段帯に巨大な売り注文を入れておいて、それで上値を重くする、とか、下値にでかい買い物を入れておいて下げにくくするとか、って事ですよね。

但し問題は、それってあっという間に付いちゃう危険があるんですよ、相場って。

少なくとも大手証券のエクゼキューショントレーダクラスではとてもその手の事は出来ないと思います。彼らは毎日出てくる大量の注文を捌くのに精一杯ですから。今日も引け際にスイスの投資家から小口の注文がバラバラと出て、そのお陰で東京はてんてこ舞いだった、って後で言われましたが(笑)。

やはりそういう余裕があるとすれば、それは例えば仕手筋等でしょうか。

教科書的な答えをしますと、それらの行為は一般に「相場操縦」と言われて法に引っ掛かります。ですからぶっちゃけ無いとは言いませんが、決してそれらがまかり通るほど市場は甘くないと思われます。

昔は小さな銘柄でそういう怪しげなものがありましたが、現在では余り見ません。

是非、相場の本質はそういうところではない、という事を感じ取って頂けたら、と思います。



但し、相場操縦とはちょいと違いますが、いわゆる「Window Dressing」と言われる、邦訳は「お化粧買い」ですが、これは割りとあります。

9月末、3月末、或いはヘッジファンドの決算月である12月末等において、突然相場が高く終わるケースの事を言います。

ファンドって言うのはあくまで「評価」の世界な訳です。1000円で買った銘柄が1200円になっても、ファンドはそれを売りません。しかし評価は1200円で評価しますから、ファンドのパフォーマンスは+20%になります。

このようにファンドを一斉に評価する月末には、彼らが持っている株の値段が高い方が見栄えがいい訳ですね。ゆえに彼らはそれらの銘柄を意図的に買って、月末の株価を上げて、それを評価に役立てようとする動きがこのお化粧買いの実態です。

しかしこれは実際にお金が動きますけれどね。見せ板自体は約定しない限りタダですが(笑)。
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Unknown (アマポーラ)
2005-09-29 12:03:29
小鬼様



ご多忙な中、ご回答有難うございました。

ここでお尋ねすると、積年の疑問点が一気に解決するので大変嬉しく思っています。お返しが出来ずすみません。



村上ファンドとCBの値動きの件も興味深く読ませて頂きました。前回の優勝の時に阪神銘柄が燃えたので、マジック点灯で買い、優勝決定接近で空売りした個人投資家も掲示板などでみかけていました。村上さんの名前が出てきた時は誰しも驚いたと思います。



結局転換率0%の250億円CBのうち、182億円分を買い

大量保有報告書では最初に報告義務発生した日は9/15とあったのでこの急騰を主導したのはMACだったと結論してよいのでしょうか..(素人判断)

外目にはシナネンや昭栄時代の氏と、ジャックHD等での行状の落差のようなものから村上さんの真意が想像できないんですが、阪神電鉄に驚異的に簿価の低い資産が眠っているの?とか、ホリエモンが関わってるのかとか?想像しつつ今後の展開を楽しみに見ております。



今日は下落したので、繋いでいなかった個人投資家も安堵したのでしょうか。阪神電鉄で空売りdebutされて、速攻で退場の事態となった人のブログもありましたので改めて株式市場の魔坂の存在を確認した出来事でした。



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みせ板 (yuragi)
2005-10-02 00:27:35
たろさんへ



見せ板(らしきもの)の事例としてフェイス(4295)の板を可能であれば見てみてください。

30日の昼過ぎまでは23万円に400株ほどの売りがあり、株価を抑えてました。この売り蓋がやがて500、1200株と増えました。

この日の出来高が1800株程度ですから、14時過ぎの段階で1200株の蓋は明らかに異様です。

何者かが何らかの意図をもって値を抑えた疑いが濃厚です。いわゆる玉集め、かも知れません。
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