地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

プロフェッショナル達の意見~久々の更新、すまぬ!

2005-09-06 04:17:39 | CB教室
とにかく公私ともども非常に忙しい日々が続き、更新がおろそかになってしまってすみません。
このBLOGの事はもちろん片時も忘れたことはございません。今後も若干更新は不定期になるとは思われますが、とにかく数日中には日々更新を目指しますので、どうぞみなさま、今後とも貴重なご意見をお待ち申し上げております!

さて、今日は色々とプロの意見をご紹介したいと思う。もちろん全てCBに絡んでいる。
ご存知の向きもあろう、あるいは勘の良い方は気付くかもしれないが、私自身先週は2つの新発CB IN スイスにて忙殺されていた。両方ともMPOでは無く、極めて普通のCBであったが、どちらもおかげさまで大成功となった。
今回の意見はそれより以前に出た起債に関するものであるが、まずは・・・

8月26日にローンチしたグッドウイルのMPOである。概要は、

『26日のユーロ市場では、グッドウィル・グループの円建て転換社債型新株予約権付社債(250億円、4年、割当先:大和証券SMBCヨーロッパ)の発行が決議された。同債は第三者割当方式による私募で、利率0.0%、発行価格100、アップ率は5.0%(転換価格:20万2742円)で設定されている。
同案件では、大和証券SMBCヨーロッパに対してCBを発行した後、大和SMBCヨーロッパが大和証券SMBCをCBコールオプションの取得者とするデリバティブ契約(対象数量:額面250億円、権利行使期間4年)を締結。さらに大和SMBCは、グッドウィルG会長が経営する折口総研をCBコールオプションの取得者とするデリバティブ契約(同247億円、同2年)を結ぶ。従ってオプション部分は、最初の2年をグッドウィルGが、その後の2年を大和SMBCが保有する形になる。つまり、大和証券グループは、同商品を最初の2年間は普通社債として、その後の2年間は第三者割当型CBとして保有する。』
と言うものであった。

これを私自身見たときの印象は、大和もずいぶんグッドウイル寄りのものを出したなぁ、と言うものだったのだが、これに対する簡潔な印象を私が師と仰ぐロンドンの教授に聞いた。彼の意見はこうだった。

『2年目以降は時価の90%に修正されますが、2年目まではディスカウントがありません。すなわち2年目までの転換は不利なので、転換が起こる可能性はほぼありません。万が一転換されても95%の下限付なので、下限70%のように転換株数が増える事がなく、希薄化が抑制されています。さらに折口総研がコールオプションを保有しているため、当初2年間大和は転換ができず、新株が市場に出回る事がありません。以上の事から、2年目までの転換権はほぼ見た目だけのものであり、最初2年間は転換できないとした場合でも商品性は余り変わらないと思います。
コールオプションの本当の意味は、2年後から通常のMPOと同様に転換が進んでいく前に、一度折口総研が保有額を増やせるかどうかを決められる事にあると思います。コールの判断はその経済性というよりも、折口総研の資金の潤沢度・保有割合を増やして支配を強めたいか否か・株価が低迷して希薄化による株価への影響が懸念されるかどうか、などに影響されると思います。

コールされた場合、大和は発行価格と行使価格の差額5円を得られます。コールされない場合は、その後2年間で時価の95%で新株を投資家に販売すれば、5円の利益が上がります。グッドウィルはJCR格付けBBBなので、クレジットスプレッド100BPとすると、2年の金利0.25%と合わせて2年間の割引分は2.5円。従って大和の利益は2.5円/100円X250億円=6.25億円程度と思われます。』

このCBがローンチしたときにやはり私は某掲示板をずっと拝見していた訳であるが、まあこのコールに対して大和が株価をどうしてくるだのこうしてくるだの、と言う意見がどっさりあって、疲れた。
何度も言うように主幹事が株価に対してその起債と絡めて介入してくることは、現在の当局の管理及び法に照らしても不可能であることを改めてここで述べておきたい。

さて、このディールに対して我が懇意のさる業界系記者の方が記事を送って下さった。この業界系情報会社の記事は、特に各フィールドの人間の意見をつぶさに拾っているので、我々にとっても非常に貴重だ。この記事は無断転載もちろん禁止であるが(笑)、ここではその掟を勝手に破ってご披露する。
こういった正しい記事に皆さんが触れることは極めて重要であるので、記者さん、もし問題があったらぜひご一報下さい。しかしながらこのBLOGの本来の目的をどうぞご理解頂ければ、と同時に思います、はい。

『この案件をHPO(Hybrid Private Offering)と見る向きもあるようだ。HPOだとすると、大和証券グループにとって初めてのスキーム。グッドウィルGがコールオプションを行使する場合、行使価格は105であり、2年後に償還されるとなれば大和SMBCは年2.5%(単利計算)を得る。逆に、行使されない場合は、当初支払われるオプション料のみ。そのオプション料について「10数億円程度では」(市場筋)との見方もあるようだ。グッドウィルGの格付けはトリプルBフラット(JCR)で、クレジット・スプレッドは「60~70bp」(トレーダー)。この条件設定は、「発行体の株価への自信の表れ」(投資銀行部門)との分析も聞かれる。

大和SMBCとグッドウィルGのデリバティブ契約においては、全対象数量が株式に転換されることを想定した場合にTOBに抵触しないよう、会長一族の持株比率が3分の1を超えないように対象額面を247億円に減額したとのこと。

今回のCBのスキームは、「グッドウィルGの株主総会が開催される9月上旬までは確定しない」(大和SMBC)というが、市場関係者の間では「条件設定はリスクに見合う」とされる。

グッドウィルGは、8月15日に業績の下方修正を発表。コアビジネスである派遣・請負事業および介護事業での新規拠点を加速させた結果、新規拠点数が予定を上回ったことによる。期初計画の新規拠点増加数は、派遣・請負が200ヵ所、介護が196ヵ所であったが、実績は前者が365ヵ所(対計画比+83%)、後者は302ヵ所(同+54%)と大幅に増えることに。

派遣・請負市場、介護市場ともに成長市場であり、グッドウィルGは同市場の中でも特に顕著な伸びを示している。このため、今回の成長性への先行投資費用の増加は「来期以降、同社の収益成長に寄与してくる」(日系ナリスト)と見られ、今後は「利益獲得ステージへ移行する」(外資系アナリスト)との予想。目標株価については「25万円」(証券系アナリスト)との試算がある。同社は保守的な業績予想を発表しているものの、市場は楽観的でありアップサイドを期待しているようだ。』

さすがにプロの書く記事だけに、非常にまとまっていてしかも読みやすい。
どうかこの手のものが出た場合、ここを訪れてくださる諸氏におかれては、某掲示板の煽っているような意見を全面的に肯定される前に、きちんとご自身で調べるなり、プロにお伺いを立てるなりをされて欲しい。

ヨーロッパのCB市場は最近ドラスティックに改善されている。かつて巨大ヘッジファンドが危ないのではないか?との憶測などが流れているくらい、CB市場のボラが低下していたわけであるが、この頃の株式市場の若干の改善に伴い、CB市場も息を吹き返してきた。
それゆえまともな起債が市場において物凄いアプセプタンスとなっている。
次回またはその次になるかもしれないが、その辺の事を書いてみようと思う。

尚、コメント欄に対するお返事、明日会社でまとめますので、もうちょいお待ち下さい、、すみません!!