いやはやお待たせいたしました。
6月14日に東京から帰ってきて、翌日からは普段どおりの出社で、まあサラリーマンとは悲しいなぁと思いながらもこれも仕事なので割り切っている訳である。
さて、今回の出張においては自分の分野であるCB及びその運営だとかと言った事の他に、どうしても色々な人が近頃のMSCBについてどう考えているか持論とのすり合わせもしたかったのだが、それに関しては非常に成功裡に終わった。
今回会った外部の人々は、国内及び外資系証券会社の運用者や引き受け担当者、また投信のファンドマネージャー、ヘッジファンド、また業界系情報ベンダーの記者諸氏である。
まずはここに小鬼は一つだけ宣言させていただくと、業界では「MSCB」と言う言葉を誰も使わない事に気付いたので、私も以降は「MPO」と言う言葉で統一させていただこうと思う。
これは「Multiple Private Offering」の略である。
さて結論から申し上げると、概ね私がこのBLOGで展開してきたことと同じようにみんな考えている、と言う事である。
つまりMPOとは紛れもなく引き受け証券会社のヘッジファンド化であり、そしてそれは一般投資家のみならずヘッジファンドやCBのファンドマネージャーにも大変不評である、と言う事である。
但し、ここで言う「不評」の中味は違う。
一般投資家においては紛れもなくそのダイリューションによる株の希薄化、それに伴う株価の下落が問題であり、それに対処すべく術がないための不評である事は論を待たない。
それに対してヘッジファンドやCBのFMに不評なのは、それを自分たちが買えないからである。
買えればもう儲かる事はほぼ約束されたような物であり、彼らにしてみれば今まで証券会社が引き受けたもののその内在するリスクを抱えきれないとの判断から特にヘッジファンドに渡していたのに、それがいつの間にやら全て丸抱えで一粒ももらえない状況になったわけであるから、そりゃあ事態は深刻である。
ここで一つ面白いコメントを紹介しておこう。
例のライブのMPOを引き受けたさる外資系証券会社(とぼかしてもみなさんはその名前が簡単に分かるか(笑))の外人と会った。
彼はそのCBの処理にもかなり関わって、実際それは非常にイージーゲームだった、と述べてくれた。
しかしながら彼自身はそのMPO全般に関しては懐疑的で、あれはやはり決して誉められた商品ではない、と言い切っていた。彼の場合はそれをもらえないから駄目だ、と言っているのでは無くて、やはり市場を考えた場合、現在の何でもMPOと言う風潮にはそれなりに危機感を持っているようだった。
典型的なアングロサクソンである彼がそう言っていたのは正直驚きだった。
ご承知のように現在MPOに関しては国内トップの野村の独壇場となっている。
何故野村か?
あなたが仮にさる企業の財務担当者だったとしよう。
各証券会社が色々な資金調達の提案を持ち込んでくるが、じゃあMPOをやってみようと言う事で各社に条件を提示させる。
ところがMPO、実は条件なんてどこも一緒で、ほとんど差異が無い。
通常のCBのように、クーポンが違う、とか発行価格をいくらまで引き上げられる、とか、証券各社の体力や営業力に応じた格差みたいのがほとんど存在しない。
野村を始めとする10社前後が出してきたMPOの条件がどれも大差なければあなたはそれを結局どこに任せるだろうか?
自分自身の社内的なリスクを考えた場合、つまりもしこの発行が上手く行かなかった場合を考えると、「それじゃあ業界トップの野村さんに任せて」おけば実はかなりの自分自身の社内的リスク回避になる。
何か起こった場合、「トップの野村さんにお願いしてこうなったんですから、どうしようもありませんね」と言う言い訳があなたは上に対して出来るのだ。
私はこの一種のMPOブームみたいのは必ずその終焉を迎える気がして仕方が無い。
もちろんMPO=駄目、って構図では成り立たないケースもあるので、一概には言えないが、それでも現状は由々しき事態になっていると思う。
商品としては、各弁護士、金融庁、どこから切ってもその違法性は完全に排除されている。ここをきちんと調べないでいまだにガタガタ言っているマスコミや知ったかぶりの諸氏が多いのはそれはそれで非常にむかつくが、まあ良い。
つまり違法性どうの、ということでの終焉ではなくて、やはり最後は倫理的、つまり最終投資家、一般投資家に対する倫理観みたいなものが蔓延していき、やがて終わるのではないかなぁと思っている。
現在野村がひたすらそれをやりまくっているのは(下品な表現ご容赦)、それをある程度予想しつつ、出来るときに突っ走ろう、って腹のような気がしてならない。
これで野村がその速度を緩めた時、つまりそれは他社にもMPOを出来るチャンスが来る事を意味するが、その時はもうそういう世界観がかなりの部分を覆う時では無いか、と。
つまり野村の強い理由の一つは、きちんとした相場観を持って、必ず高値で手を引く、って事なのだね。
その頃エンジンがかかってようやく我が社にもチャンスが巡ってきたぞぉ!と思い込んでしまう証券会社があれば、そこはその時点で実は総スカンを食らうことになるのではないかなぁ、と思う。
とりあえず本日はここまで。
6月14日に東京から帰ってきて、翌日からは普段どおりの出社で、まあサラリーマンとは悲しいなぁと思いながらもこれも仕事なので割り切っている訳である。
さて、今回の出張においては自分の分野であるCB及びその運営だとかと言った事の他に、どうしても色々な人が近頃のMSCBについてどう考えているか持論とのすり合わせもしたかったのだが、それに関しては非常に成功裡に終わった。
今回会った外部の人々は、国内及び外資系証券会社の運用者や引き受け担当者、また投信のファンドマネージャー、ヘッジファンド、また業界系情報ベンダーの記者諸氏である。
まずはここに小鬼は一つだけ宣言させていただくと、業界では「MSCB」と言う言葉を誰も使わない事に気付いたので、私も以降は「MPO」と言う言葉で統一させていただこうと思う。
これは「Multiple Private Offering」の略である。
さて結論から申し上げると、概ね私がこのBLOGで展開してきたことと同じようにみんな考えている、と言う事である。
つまりMPOとは紛れもなく引き受け証券会社のヘッジファンド化であり、そしてそれは一般投資家のみならずヘッジファンドやCBのファンドマネージャーにも大変不評である、と言う事である。
但し、ここで言う「不評」の中味は違う。
一般投資家においては紛れもなくそのダイリューションによる株の希薄化、それに伴う株価の下落が問題であり、それに対処すべく術がないための不評である事は論を待たない。
それに対してヘッジファンドやCBのFMに不評なのは、それを自分たちが買えないからである。
買えればもう儲かる事はほぼ約束されたような物であり、彼らにしてみれば今まで証券会社が引き受けたもののその内在するリスクを抱えきれないとの判断から特にヘッジファンドに渡していたのに、それがいつの間にやら全て丸抱えで一粒ももらえない状況になったわけであるから、そりゃあ事態は深刻である。
ここで一つ面白いコメントを紹介しておこう。
例のライブのMPOを引き受けたさる外資系証券会社(とぼかしてもみなさんはその名前が簡単に分かるか(笑))の外人と会った。
彼はそのCBの処理にもかなり関わって、実際それは非常にイージーゲームだった、と述べてくれた。
しかしながら彼自身はそのMPO全般に関しては懐疑的で、あれはやはり決して誉められた商品ではない、と言い切っていた。彼の場合はそれをもらえないから駄目だ、と言っているのでは無くて、やはり市場を考えた場合、現在の何でもMPOと言う風潮にはそれなりに危機感を持っているようだった。
典型的なアングロサクソンである彼がそう言っていたのは正直驚きだった。
ご承知のように現在MPOに関しては国内トップの野村の独壇場となっている。
何故野村か?
あなたが仮にさる企業の財務担当者だったとしよう。
各証券会社が色々な資金調達の提案を持ち込んでくるが、じゃあMPOをやってみようと言う事で各社に条件を提示させる。
ところがMPO、実は条件なんてどこも一緒で、ほとんど差異が無い。
通常のCBのように、クーポンが違う、とか発行価格をいくらまで引き上げられる、とか、証券各社の体力や営業力に応じた格差みたいのがほとんど存在しない。
野村を始めとする10社前後が出してきたMPOの条件がどれも大差なければあなたはそれを結局どこに任せるだろうか?
自分自身の社内的なリスクを考えた場合、つまりもしこの発行が上手く行かなかった場合を考えると、「それじゃあ業界トップの野村さんに任せて」おけば実はかなりの自分自身の社内的リスク回避になる。
何か起こった場合、「トップの野村さんにお願いしてこうなったんですから、どうしようもありませんね」と言う言い訳があなたは上に対して出来るのだ。
私はこの一種のMPOブームみたいのは必ずその終焉を迎える気がして仕方が無い。
もちろんMPO=駄目、って構図では成り立たないケースもあるので、一概には言えないが、それでも現状は由々しき事態になっていると思う。
商品としては、各弁護士、金融庁、どこから切ってもその違法性は完全に排除されている。ここをきちんと調べないでいまだにガタガタ言っているマスコミや知ったかぶりの諸氏が多いのはそれはそれで非常にむかつくが、まあ良い。
つまり違法性どうの、ということでの終焉ではなくて、やはり最後は倫理的、つまり最終投資家、一般投資家に対する倫理観みたいなものが蔓延していき、やがて終わるのではないかなぁと思っている。
現在野村がひたすらそれをやりまくっているのは(下品な表現ご容赦)、それをある程度予想しつつ、出来るときに突っ走ろう、って腹のような気がしてならない。
これで野村がその速度を緩めた時、つまりそれは他社にもMPOを出来るチャンスが来る事を意味するが、その時はもうそういう世界観がかなりの部分を覆う時では無いか、と。
つまり野村の強い理由の一つは、きちんとした相場観を持って、必ず高値で手を引く、って事なのだね。
その頃エンジンがかかってようやく我が社にもチャンスが巡ってきたぞぉ!と思い込んでしまう証券会社があれば、そこはその時点で実は総スカンを食らうことになるのではないかなぁ、と思う。
とりあえず本日はここまで。