8月9日OAのTBSラジオ・『荻上チキのsession22』のテーマは「炎上」でした。昨今多発している「バイト店員が厨房や店内で悪ふざけをする写真をウェブに公開」という現象がなぜ発生するのか、ということについて常見陽平君とお話する予定でした。もちろん荻上さんもこのテーマについては相当詳しいので、視聴者にキチンと見解を伝え、こうした事態が発生しないようにする一助とできればな、と考えていました。
しかしながら、まさかの私が泥酔・暴走・記憶紛失という事態になり、スタジオから追放され、まったく説明できず、「お前が炎上させてどうする、喝だ!」という状態になりました。
というわけですので、私なりの「なぜ、バイト店員はこうしたことをするのか? について考えてみますね。
最大の理由は「バカだから」ですが、これは私が身をもって証明したことですね。これ以上もこれ以下もありません。「バカだから」に尽きます。とはいっても、これだけではどうしようもないので、各界の識者が様々な分析をしています。いくつかメジャーな考察を紹介します。
【1】閉じられた仲間内でやっているという感覚を持っており、「炎上させたいネットパトロール隊」に見つかってしまった。
【2】内情を明かしているが故の優越感
【3】ネットに慣れ過ぎた世代であるが故の警戒感の欠如。
大体ここらへんで説明されている気もしますが、もう少し考えてみますかね。
【4】「日常」の報告でさえ点数競争になってしまった。
かつて、「中間テスト」や「体力測定の結果」「運動会」等で友人と競い合っていた時代がありました。まぁ、お金持ちの家の子どもは「ギア付き自転車に乗っている」や「筆箱が12面ある」などといった形で優越感を持っていました。しかしながら、SNSがここまで普及すると、今度は「ごく当たり前の日常」でさえ、その競争の枠組みに含まれてしまうのです。
それこそ、「徹夜した」「今日のランチは豪華ウニイクラ丼」「こんな美女とランチした」「iPhoneの新型を発売当日に手に入れた」「食べログで人気No.1の店に行った」「友人たちとBBQ! ドヤ! オレリア充だろぉ」--SNSに書き込むネタであっても、結局は友人に対し、「どれだけ私の人生イケてるか競争」が展開されるようになってしまったのです。
今回の一連の騒動を起こした方々も、ある程度の競争意識はあったかもしれませんね。それこそ、仲間からどれだけのfavや「いいね」がつくか、どんだけRTされるか、とかそういったことでしょう。さらには「いかに過激な写真を撮るか」「どれだけコメントしてもらえるか」「どれだけバイトの裏側を見せることができるか」といったところも他者との競争になってしまったのです。
SNSの発達で自らのプライバシーをバシバシ出すようになっていくと、ここから先はまさに芸能人が「入籍しました」「結婚式の準備してます」「ドレス決まりました」「今日は挙式です」「結婚式の様子です」「妊娠3ヶ月と判明しました」「食べ物の好みが変わりました」「安定期に入りました」「いよいよ臨月です」「病院なう」「出産しました」「名前は『光宙』(ぴかちゅう)です」「初めてじぃじ、ばぁばに会いました」のように、プライベートをさらけ出しては「キャー、羨ましい!」と言われる競争に参入したのと同じかのような現象となります。
芸能人はこうした競争をすることによって仕事を獲得でき、莫大なる金額を得ることができるわけですよ。「子育てタレント」とか「親孝行タレント」とかなんでもいいのですが、そうした枠を確保することにより、仕事が継続的にもらえるようになる。そこには「日常の報告」において点数競争をしても見返りがあるのですね。
しかし悲しいかな。一般人は「日常の点数競争」でどれだけ高い点を取ってもカネはもらえない。逆に炎上してしまい、人生オワタとなってしまうのです。
特権階級的人生を送っている人はインターネットでも特権階級的人生を送り、そうでない人生を送っている人は、ネットだと、普段は目立たず、目立ったとしても大抵の場合はネガティブな意味での目立ち=炎上になってしまうのであります。実に非対称ではありませんか。
【5】かまってもらいたい&実は親切な人だった
上記【1】の場合ですと、友達から何らかのコメントをもらいたい、というものがあるでしょう。皆さんも経験ありますよね。知り合い・知らない人、どちらでもいいのですが、何かツイートしたりしたことに「クソワロタwwwwww」なんて書かれて25RTくらいされたら嬉しいという。
過去にそんな経験をしていたら「またあの快感・高揚感を味わいたい」と思うわけです。また、また、【4】とも関係があるのですが、3000RTされたりするオモシロ画像とかが頻繁に出ていますよね。ここなんかに取り上げられるような画像です。これを見てると「オレもたくさんRTしてもらいたいな」と思ってもらう気持ちが発生する人もいるでしょう。これも「かまってほしい」の一種です。さらには「みんなを楽しませたいな」と考える実は親切な人だった、という考え方もできるかもしれません。
【6】悪いことだと思っていない
上記「バカだから」というのと関係してきますが、「これはよくないこと」という概念が希薄なのでしょう。「オレ風呂入ってっから冷蔵庫、汚れないヨ!」「野菜だって元々土にいたんじゃんwwwwwww」なんて思い、悪いことだとは思っていない。
子供の頃、深夜や早朝に林に入ってクワガタ採りなどを私はしていました。私有地に入ってクワガタを取っていたのですが(犯罪自慢だと言わないでくださいね。お願いします)、何とも悪いことだとは思ってなかった。ある時、「タマデン」という電器屋の裏の栗畑で深夜にクワガタを採っていたら「コラー! このクソガキが!」なんてお爺さんから言われて以降、「タマデンジジイが怖いから行くのやめようぜ」「いや、タマデンジジイを今度はからかってやろう」なんて悪ガキどもは話していたワケです。
さすがに私はこの年齢になったらタマデンの裏でクワガタは取りません。玉川上水の林の中など、公の機関が土地を所有している場所でクワガタ採りをします。で、今回の騒動を起こした方々は軒並み若い人だと推測されます。なんとなく22歳くらいになればやらなくなるようなことを、その知識と常識を得る前に、ついついネットという「怒りの代理人」「他人の不幸大好き男女」「無駄な正義感持った人々」が跳梁跋扈する世界にアピールしてしまった、という意味で、かつての若者達は「オレらの頃、ツイッターなくって良かった……」と胸をなでおろしているのではないでしょうか。
【さいごに】
ここまで失敗例見てるのに追随するヤツらは何考えてるんだ? って話になりますが、これは「バカだから」で結論づけていいのではないでしょうか。
全国各地の店長、FCのオーナーの皆様におかれましては、拙著『ネットのバカ』をぜひともお読みくださいませ。ネットの使い方と現状についてかなり詳しく書いております。あと、17日19時から下北沢B&Bにて「中川淳一郎×漆原直行 ネット階級社会の現実を直視せよ! ~ネットの世界は誰のものなのか~」やりますので、こちらも是非。って、宣伝かよ。
しかしながら、まさかの私が泥酔・暴走・記憶紛失という事態になり、スタジオから追放され、まったく説明できず、「お前が炎上させてどうする、喝だ!」という状態になりました。
というわけですので、私なりの「なぜ、バイト店員はこうしたことをするのか? について考えてみますね。
最大の理由は「バカだから」ですが、これは私が身をもって証明したことですね。これ以上もこれ以下もありません。「バカだから」に尽きます。とはいっても、これだけではどうしようもないので、各界の識者が様々な分析をしています。いくつかメジャーな考察を紹介します。
【1】閉じられた仲間内でやっているという感覚を持っており、「炎上させたいネットパトロール隊」に見つかってしまった。
【2】内情を明かしているが故の優越感
【3】ネットに慣れ過ぎた世代であるが故の警戒感の欠如。
大体ここらへんで説明されている気もしますが、もう少し考えてみますかね。
【4】「日常」の報告でさえ点数競争になってしまった。
かつて、「中間テスト」や「体力測定の結果」「運動会」等で友人と競い合っていた時代がありました。まぁ、お金持ちの家の子どもは「ギア付き自転車に乗っている」や「筆箱が12面ある」などといった形で優越感を持っていました。しかしながら、SNSがここまで普及すると、今度は「ごく当たり前の日常」でさえ、その競争の枠組みに含まれてしまうのです。
それこそ、「徹夜した」「今日のランチは豪華ウニイクラ丼」「こんな美女とランチした」「iPhoneの新型を発売当日に手に入れた」「食べログで人気No.1の店に行った」「友人たちとBBQ! ドヤ! オレリア充だろぉ」--SNSに書き込むネタであっても、結局は友人に対し、「どれだけ私の人生イケてるか競争」が展開されるようになってしまったのです。
今回の一連の騒動を起こした方々も、ある程度の競争意識はあったかもしれませんね。それこそ、仲間からどれだけのfavや「いいね」がつくか、どんだけRTされるか、とかそういったことでしょう。さらには「いかに過激な写真を撮るか」「どれだけコメントしてもらえるか」「どれだけバイトの裏側を見せることができるか」といったところも他者との競争になってしまったのです。
SNSの発達で自らのプライバシーをバシバシ出すようになっていくと、ここから先はまさに芸能人が「入籍しました」「結婚式の準備してます」「ドレス決まりました」「今日は挙式です」「結婚式の様子です」「妊娠3ヶ月と判明しました」「食べ物の好みが変わりました」「安定期に入りました」「いよいよ臨月です」「病院なう」「出産しました」「名前は『光宙』(ぴかちゅう)です」「初めてじぃじ、ばぁばに会いました」のように、プライベートをさらけ出しては「キャー、羨ましい!」と言われる競争に参入したのと同じかのような現象となります。
芸能人はこうした競争をすることによって仕事を獲得でき、莫大なる金額を得ることができるわけですよ。「子育てタレント」とか「親孝行タレント」とかなんでもいいのですが、そうした枠を確保することにより、仕事が継続的にもらえるようになる。そこには「日常の報告」において点数競争をしても見返りがあるのですね。
しかし悲しいかな。一般人は「日常の点数競争」でどれだけ高い点を取ってもカネはもらえない。逆に炎上してしまい、人生オワタとなってしまうのです。
特権階級的人生を送っている人はインターネットでも特権階級的人生を送り、そうでない人生を送っている人は、ネットだと、普段は目立たず、目立ったとしても大抵の場合はネガティブな意味での目立ち=炎上になってしまうのであります。実に非対称ではありませんか。
【5】かまってもらいたい&実は親切な人だった
上記【1】の場合ですと、友達から何らかのコメントをもらいたい、というものがあるでしょう。皆さんも経験ありますよね。知り合い・知らない人、どちらでもいいのですが、何かツイートしたりしたことに「クソワロタwwwwww」なんて書かれて25RTくらいされたら嬉しいという。
過去にそんな経験をしていたら「またあの快感・高揚感を味わいたい」と思うわけです。また、また、【4】とも関係があるのですが、3000RTされたりするオモシロ画像とかが頻繁に出ていますよね。ここなんかに取り上げられるような画像です。これを見てると「オレもたくさんRTしてもらいたいな」と思ってもらう気持ちが発生する人もいるでしょう。これも「かまってほしい」の一種です。さらには「みんなを楽しませたいな」と考える実は親切な人だった、という考え方もできるかもしれません。
【6】悪いことだと思っていない
上記「バカだから」というのと関係してきますが、「これはよくないこと」という概念が希薄なのでしょう。「オレ風呂入ってっから冷蔵庫、汚れないヨ!」「野菜だって元々土にいたんじゃんwwwwwww」なんて思い、悪いことだとは思っていない。
子供の頃、深夜や早朝に林に入ってクワガタ採りなどを私はしていました。私有地に入ってクワガタを取っていたのですが(犯罪自慢だと言わないでくださいね。お願いします)、何とも悪いことだとは思ってなかった。ある時、「タマデン」という電器屋の裏の栗畑で深夜にクワガタを採っていたら「コラー! このクソガキが!」なんてお爺さんから言われて以降、「タマデンジジイが怖いから行くのやめようぜ」「いや、タマデンジジイを今度はからかってやろう」なんて悪ガキどもは話していたワケです。
さすがに私はこの年齢になったらタマデンの裏でクワガタは取りません。玉川上水の林の中など、公の機関が土地を所有している場所でクワガタ採りをします。で、今回の騒動を起こした方々は軒並み若い人だと推測されます。なんとなく22歳くらいになればやらなくなるようなことを、その知識と常識を得る前に、ついついネットという「怒りの代理人」「他人の不幸大好き男女」「無駄な正義感持った人々」が跳梁跋扈する世界にアピールしてしまった、という意味で、かつての若者達は「オレらの頃、ツイッターなくって良かった……」と胸をなでおろしているのではないでしょうか。
【さいごに】
ここまで失敗例見てるのに追随するヤツらは何考えてるんだ? って話になりますが、これは「バカだから」で結論づけていいのではないでしょうか。
全国各地の店長、FCのオーナーの皆様におかれましては、拙著『ネットのバカ』をぜひともお読みくださいませ。ネットの使い方と現状についてかなり詳しく書いております。あと、17日19時から下北沢B&Bにて「中川淳一郎×漆原直行 ネット階級社会の現実を直視せよ! ~ネットの世界は誰のものなのか~」やりますので、こちらも是非。って、宣伝かよ。