東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

朝雨の水辺で

2024年06月20日 | トンボ
この日曜日は夜から続く雨がまだ止まない朝。夜間に羽化を済ませて、朝には飛んでしまう、マルタンヤンマとオナガサナエの朝の羽化風景に出逢えるチャンスを願って水辺に向かった。すると...

マルタンヤンマ 雌(羽化後)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
お!と思ったけれど体色が着きすぎている様子に違和感があり、よく確認すると右上の翅にダメージ。残念ながら羽化不全。朝まで残っている個体は訳アリが多い。池から河川へ移動。

オナガサナエを捜索中、ふと、消波ブロックに眼を向けると、羽化殻にぶら下がるハグロトンボを発見。羽化殻はブロックに付着した植物片に擬態する。カワトンボの仲間は羽化殻の尾鰓が欠損している事が多い。そして成虫は黒に到達する前の段階で白から炭色に変化する時。アオハダトンボと入れ替わる様にシーズンがスタート。

ハグロトンボ 雌(羽化後)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
12"リフレクターを使用して下から反射光を当て羽化らしいツヤ出しテクニックを試すのもあり。

ハグロトンボ 雌(羽化後)

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
いやいや、余計な事はせずに自然光で撮るのが一番。残念ながらオナガサナエの羽化遅れは見つかなかった。夜間羽化するトンボは例え雨でも遅れる事は稀で、安易に朝の羽化風景は撮らせてくれない。自然界で遅れる事は命に関わるため許されないのかも知れない。

徐々に天気が回復する中、ミヤマサナエの羽化も見られるかと思ったが、この日はコオニヤンマの羽化が其処彼処で見られていた。

コオニヤンマ 雌(羽化)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
羽化は5月下旬からスタートなので、既に成熟した個体を水辺で観察することが出来る。
ここにはコカナダモが繁茂していたのでハグロトンボやイトトンボの産卵場所に相応しい。

コオニヤンマ 雌(羽化)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED

コオニヤンマ 雄(羽化)

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ミヤマサナエもコオニヤンマも羽化の時間帯は早朝以降の午前中。まるで号令をかけたかのように一斉に羽化が行われている事が多く、一斉に羽化した方が天敵からの犠牲を少なくできる戦略なのか。それなら、マルタンヤンマやオナガサナエのように、天敵の活動が少ない夜間の方がより安全性が高いと思ってしまう。白く目立つから河川に多いセキレイの仲間に見つかったらアウト。。。

写真以外の収穫はトンボの羽化殻

Nikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED
長女が羽化殻の標本制作に挑戦してくれているので集めている最中。
黒はマルタンヤンマ、茶色はオナガサナエ、ベージュはミヤマサナエ。
種類により羽化殻の色にも特徴があり面白い。採集時は水を染み込ませるとダメージなく取れる。

撮影日:6月16日


最新の画像もっと見る