恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


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クロフネハロウィン~譲二の場合~その4

2016-10-27 06:16:28 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

 

手抜き(>_<)昨年の記事の再掲です。

 

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)

吉恋本家の番外編、『クロフネハロウィン』には譲二編がない。

だから、譲二編を自分で作ってみた。

高校時代で、付き合い始めて間がない頃。

この設定は他のルートと同じ。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


クロフネハロウィン~譲二の場合~その4

カラカラーン~♪


理人「マスター、衣装もらって来たよ」

譲二「あ、ご苦労様」

理人「当日まで、みんなに見られないところに隠しておいてね」

譲二「OK!」

理人「じゃ、今日はもう帰るね」

譲二「え、すぐカフェオレ淹れるから飲んでってよ」

理人「カフェオレか~。じゃあもらおうかな」


譲二さんがカフェオレを作りに厨房に入った。


百花「ねぇ、りっちゃん、私の衣装もあの中にあるんだよね?」

理人「そうだよ。百花ちゃんのは、マスターのたっての望みの…」

百花「え?何?」

理人「エヘン…。それは当日のお楽しみ」


りっちゃんは結局、私が何の仮装をするのか教えてくれなかった。


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


その夜。


譲二「ねえ、百花ちゃん…。ちょっとハロウィンの衣裳を着てみてくれるかな?」


譲二さんが持ってきたのは…。


百花「これって、メイド服ですか?」

譲二「うん。百花ちゃんにはメイド服が絶対似合うだろうな~って思って、りっちゃんにリクエストしてたんだ」

百花「でも、りっちゃんは当日のお楽しみだって…」

譲二「そうなんだけどさ…。当日まで、なんだか待てなくて…。いい?」

百花「私は構わないですけど…」


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


二階で着替えて降りてきた。



百花「譲二さん、似合いますか?」


譲二「……」

百花「どこか変ですか?」

譲二「…あ…いや、すごく可愛いよ…」

百花「そんなに見つめられると、ちょっと恥ずかしいです…」

譲二「ねえ、百花ちゃん。…『ご主人様』って言ってみて?」

百花「ご、ご主人様…」

譲二「……」


譲二さんは私を抱き寄せるとぎゅっと抱きしめた。


百花「…譲二さん」

譲二「参ったな…。すごく可愛いんだけど…。こんなに可愛い姿を他の男たちには見せたくないよ…」



譲二さんは腕を緩めて私の顔を覗き込むと呟いた。


譲二「それに…そんな顔しちゃダメだよ…」

百花「そ、そんな顔って?」

譲二「こんなことをしたくなっちゃう…」

百花「え……んっ…ん」

譲二「メイド姿で、こんな色っぽい顔、俺以外の男の前じゃ絶対にしないでね」


(わたし…どんな顔してるの?)


譲二「それにしても弱ったな…。あいつらにはとても見せられないよ…」


譲二さんは何度も『弱ったな』『弱ったな』と呟きながら、その合間に優しくキスをしてくれた。


(▼∀▼)†その5へつづく



クロフネハロウィン~譲二の場合~その3

2016-10-26 05:23:57 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

 

手抜き(>_<)昨年の記事の再掲です。

 

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)

吉恋本家の番外編、『クロフネハロウィン』には譲二編がない。

だから、譲二編を自分で作ってみた。

高校時代で、付き合い始めて間がない頃。

この設定は他のルートと同じ。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


クロフネハロウィン~譲二の場合~その3


譲二の話『ジャック・オ・ランタン』


昔、怠け者でずる賢いジャックという男がいた。

あるハロウィンの夜、酒場でジャックが酒を飲んでいると地獄から来た悪魔に出会った。

悪魔はジャックの魂を取りに来たのだ。        

ちょうど飲み過ぎて、酒代を払えなかったジャックは悪魔に言った。

「俺の魂をお前にやろう。だから、この世の別れにあと一杯酒を飲ませてくれ」

悪魔はそのジャックの最後の望みを聞き入れ、約束を交わした。


そしてジャックが酒を一杯飲むと、悪魔は、ちょうど酒代を払えるだけの6ペンスコインに化けた。

しかし、ずる賢いジャックは悪魔が化けたコインを銀の十字架で押さえつけ、悪魔が元に戻れないように自分の財布に閉じ込めてしまった。

元の姿に戻れず困った悪魔へ、ジャックは再び取引をもちかける。

「おい! ここから出して欲しいなら、これから10年間、俺の魂を取りに来ないと約束をしろよ」

その条件を飲んだ悪魔は、ようやく財布の中から解放された。


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)

それから10年の月日が経った。

ジャックが田舎道を歩いていると再び、あの悪魔と出会った。

約束の刻限が切れたので、悪魔は今度こそジャックの魂をいただこうとやってきたのだ。

しかし、ジャックもむざむざ魂を取られたくはないので、一計を案じた。

「わかった。俺も覚悟を決めた。ただし、死ぬ前にリンゴが食べたい。俺の魂をやるから、この木の上に登ってリンゴを取ってきてくれないか」

そうジャックは言った。

悪魔の方は「どうせこれで魂は俺のものなのだから」と思い、木に登ってジャックにリンゴを渡してやった。

ところが、悪魔が木に登ったスキを付いて、ジャックは持っていたナイフで木の幹に十字架を刻んでしまった。

悪魔は十字架が怖いあまり木を降りる事ができず、ジャックにまた取引を持ちかけられてしまった。

ジャックの願いは「今後二度と、自分の魂を取りに来ないこと」。

その約束を取り付けたジャックは、悪魔をようやく木の上から降ろしてやった。

その後、悪魔は約束通りジャックの前に二度と現れることはなかった。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


さて、そののち、色々と悪行を重ねたジャックも天寿を全うし、この世と別れることになった。

しかし、ジャックは悪い行いしかしなかったため、天国へは入れてもらえなかった。

そこで仕方なくジャックは地獄へ行く事にした。

地獄の入り口にたどり着いたジャックは、そこで三たびあの悪魔と出会った。

地獄へ入れてくれと頼むジャックに悪魔は

「お前が生きていた時に交わした約束がある。だから、お前の魂を取るわけにはいかない」

と地獄に迎える事を断った。



天国へも地獄へも行けず困り果てたジャックは訊ねた。

「ああ…どこに?俺は、どこへ行けばいいんだ…?」

悪魔は首をすくめると答えた。

「さあね。『元いた所』へでも帰るんだね。でも、お前に安住の地なんて無いだろうよ」

仕方なくジャックは来た道をとぼとぼと引き返した。


しかし、道はとても暗いうえ強い風が吹いていた。

「これはたまらん」

そう思ったジャックは悪魔に「灯りをくれ」と頼んだ。

悪魔はその最後の頼みを聞き入れ、地獄の業火の炎をジャックに分けてやった。

ジャックは道端に転がっていたカブをくり抜いた。

そして、その中に炎を入れて、ランタン(提灯)を作ると、ジャックはその灯りを頼りに旅に出た。


ジャックは今も、地獄の炎のランタンを手に、この世とあの世を、行く宛てもなく永遠に彷徨い続けているという…。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)



理人「え? かぼちゃじゃないの?」

譲二「うん、元はカブだったらしいね。元々この祭りはアイルランドの土着の祭りだったんだ。
そして、キリスト教が入って来た時に、キリスト教の万聖節(11月1日)の前夜祭として今の姿になったらしい」

剛史「ハロウィンはアメリカ発祥かと思ってたけど、アイルランドだったのか」

竜蔵「アイルランドってどこだ?」

春樹「イギリスの西隣りにある島…というか国だよ」

譲二「それで、アイルランド人がアメリカに移住した時にハロウィンもアメリカに広まったんだけど、ジャック・オ・ランタンを作るためのカブが栽培されてなかったために代用品としてたくさんあったかぼちゃで作ったらしいよ」

一護「でも、カブよりもかぼちゃのほうがそれらしいな」

譲二「そうだよね。カブよりも大きいし、色もオレンジで鮮やかだし、それでかぼちゃはハロウィンに欠かせないものになったんだろうな」


(ジャックさん、なかなか大変な目に会ってたのね)

私は大きなオレンジ色のかぼちゃをそっと撫でた。


(▼∀▼)†その4へつづく



クロフネハロウィン~譲二の場合~その2

2016-10-25 06:35:01 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

手抜き(>_<)昨年の記事の再掲です。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)

吉恋本家の番外編、『クロフネハロウィン』には譲二編がない。

だから、譲二編を自分で作ってみた。

高校時代で、付き合い始めて間がない頃。

この設定は他のルートと同じ。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


クロフネハロウィン~譲二の場合~その2


クロフネでハロウィンのイベントをすることになった。

そこで、みんなで担当を分けてみた。


チラシとポスター…春樹

メニュー…竜蔵

衣裳係…理人

土産のスイーツ係…一護

飾り付け…剛史


え~と…。

若干色々と心配な人はいるけど、そこは私と譲二さんがフォローに入ることになった。


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


春樹「出来た! 下書きだけど、こんな感じでどうかな?」

ハルくんの声に、そのポスターを覗き込んだ。

(…なんか、とってもおどろおどろししい。みんなが言ってたようにハルくんの美的センスが破壊的ってこういうことなんだ)

百花「この丸いのは…もしかしてかぼちゃなの?」

春樹「そうだけど…。分からなかった?」

(まあ、オレンジ色に色付けすれば大丈夫だよね)

百花「ううん。…あ、でも、この『お土産もあるよ』とか『ハロウィン限定メニューあり』とか、分かりやすくていいよね?」

春樹「そうなんだ。この部分、手書きの文字でポップみたいにしたいんだけど、佐々木が書いてくれる?」

百花「私? でも字はハルくんの方が綺麗じゃない?」

春樹「でも佐々木の方が女の子らしく可愛いく書けると思うから…」

百花「分かった。任せといて」


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


ハロウィンを数日後に控えて、八田青果店からかぼちゃが届いた。


竜蔵「ほい! これは食べられない種類のかぼちゃだからな」

百花「うわぁ、すごい。大きいね」

竜蔵「こんなにでかいのに食べられないとはな…」

譲二「やあ、リュウ、ありがとう」

竜蔵「ジョージ、保管場所に気をつけろよ。食べられないとはいっても生の野菜だからな」

譲二「涼しくて薄暗くて、風通しのいいところ、だっけ?」

竜蔵「それと湿気にも気をつけろよ」

譲二「分かった」

春樹「さすがリュウ兄だね」

理人「それでいつジャック・オ・ランタンをつくるの?」

竜蔵「切り込みを入れると腐りやすくなるからな…」

百花「前日にやった方が良さそうだね」

一護「当日に腐ってたら、意味ねーからな」

剛史「だけど、ハロウィンにはなんでこのかぼちゃお化けを飾るんだろうな?」

理人「タケ兄、かぼちゃお化けじゃなくジャック・オ・ランタンだよ」

譲二「そのジャック・オ・ランタンにはこんな伝説があるんだ」


譲二さんはジャック・オ・ランタンにまつわる伝説を話し始めた。


(▼∀▼)†その3へつづく


クロフネハロウィン~譲二の場合~その1

2016-10-24 05:43:42 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

手抜き(>_<)昨年の記事の再掲です。

でも、私の大好きな話なの。


(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


吉恋本家の番外編、『クロフネハロウィン』には譲二編がない。

だから、譲二編を自分で作ってみた。

高校時代で、付き合い始めて間がない頃。

この設定は他のルートと同じ。

(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)


クロフネハロウィン~譲二の場合~その1


百花「マスター、テーブルの片づけ終わりました」

譲二「あ、ありがとう。ケーキの試食があるから、百花ちゃんもこっちへ来て」

百花「わぁ、すごいですね。こんなに種類があるんだ」

一護「オヤジがなんか張り切ってんだよ。それで、秋らしいケーキを作ってみたんだとよ」

百花「アップルパイにかぼちゃのタルト、モンブランも美味しそう、こっちの紫色のは…」

竜蔵「紫芋だ。その芋もかぼちゃもりんごもウチが卸してるからな。新鮮だぞ」

春樹「素材がいい上に倫護おじさんが腕によりをかけたんだから、どれも旨いよね」

剛史「このショコラマロンての、貰った」

理人「あ! それ僕が狙ってたのに…」

竜蔵「早い者勝ち、だからな」

理人「リュウ兄、しっかり紫芋のモンブランを確保してるし」

竜蔵「うちから納めた紫芋がしっかり働いているか見届けないとな」

理人「変な理屈…」

譲二「百花ちゃんも早く選ばないとみんなに取られちゃうよ?」

百花「はい…」

(でも、どれも美味しそうでなかなか決められないよ)



(▼∀▼)(▲ω▲)†(▼皿▼) †(▲∀▲)(▼ω▼)



一護「うへぇ、やっぱり甘い! このかぼちゃのタルトは甘みを抑えてみた、なんて言ってたくせに…オヤジのヤツ」

剛史「ケーキなんだから、甘くて当たり前だろう」

一護「くそっ、思いっきり食っちまったぜ! 」

百花「フフッ」

ポカッ!

百花「痛い! 一護くん、やめて」

春樹「一護! 気に入らないからって、佐々木に当たるのはやめろよ」

一護「んだよ!」

譲二「はいはい、そこまで。一護も気やすく百花ちゃんを叩かないでね」

剛史「マスター、目が笑ってない」

理人「あ~あ、またマスターが、百花は俺のものオーラ出してる」

春樹「え~と、かぼちゃと言えば、来週末はハロウィンだね」

竜蔵「かぼちゃと言えば、冬至だろう?」

理人「リュウ兄それは一ヶ月以上先の話だよ」

春樹「せっかくだから、クロフネをハロウィン仕様にしてみない?」

剛史「ハロウィン仕様?」

百花「ハロウィンの飾り付けをするってこと?」

春樹「うん。それだけじゃなくて、メニューにも何かハロウィンのものを取り入れるとかさ」

一護「ハロウィンのメニューと言えばかぼちゃを使ったレシピを考えないとな」

剛史「そこまでするなら、チラシとかも作った方がいいんじゃないか?」

百花「そうだね。お客さんもたくさん来てもらえるかもね」

竜蔵「つーか、ハロウィンっつったら、やっぱ変身だろ!」

百花「アハハ、リュウ兄、子供の頃も変身って言ってたよね!」

竜蔵「お前、そんなのよく覚えてんな」

理人「ていうか、変身じゃなくてコスプレって言うんだよ、リュウ兄」

竜蔵「コスプレ…なんか、楽しそうな響きだな」

譲二「みんな…、俺のためにそんなに一生懸命考えてくれて…」

(えっ! 譲二さん、もしかして泣いてる!?)

竜蔵「ジョージのためならこのくらいお安い御用だぜ!」

理人「まあ、クロフネでイベントすれば僕らも楽しいからね」



というわけで、クロフネでハロウィンのイベントをすることが決まった。

 

 

(▼∀▼)†その2へつづく


七夕〜その4

2016-07-10 06:16:14 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

今年は七夕のお話書けるかな…と思い、書き始めたものの。

何しろ取り掛かりが遅かった。

思いついたのが7月入ってから。

「七夕までに書ければいいや」と暢気に構えていたら、パソコンの機嫌が悪くなるわ、雑事が入るわ。

言い訳がましいけど、なんとか七夕当日に間に合ったので、許してね。


さて、七夕のお話で以前書いたのは『七夕』in〈吉祥寺恋色デイズ〉


恋人同士の譲二さんとヒロインのお話でした。

今回は恋人になる前の二人の話。

だから、ラブラブのシーンというのは特にないのですが、子供時代も挿入して作ってみました。

 

その3より続き



☆☆☆☆☆

七夕〜その4

〈百花〉
七夕の日。

幼なじみのみんなとクロフネに集まって七夕パーティーをした。

笹飾りにはそれぞれの願いごとが吊るされている。

ただし、名前は書いてないから誰が書いたかはわからない。


理人「これは絶対にリュウ兄だよね『美味しい野菜がたくさん育ちますように』」

竜蔵「おう、美味しい野菜がたくさんできねぇと、うちの店が困るからな」

理人「だからって、わざわざ短冊に書かなくてもいいのに」

一護「そういうお前は何書いたんだよ」

理人「へへっ、内緒」

一護「これか? 『百花ちゃんともっと仲良くなりたい』」

理人「どうだろうね。もしかしてそれ書いたのはいっちゃんなんじゃないの?」

一護「俺がそんなこと書くかよ!」

春樹「こんなのもあるよ『百花に悪い虫がつかねーように』」

理人「あっ、ソッチの方がいっちゃんらしいな」

一護「うるせー」

理人「『漫画を読む時間がもっと欲しい』…これはタケ兄だな」

剛史「まあな」

竜蔵「まんまじゃねぇか。ていうか、漫画読む以外に時間の過ごし方はねぇのか、タケ」

剛史「……」

竜蔵「だめだ…もう自分の世界に入ってやがる」

理人「コレ絶対ハルくんでしょ。『みんなが仲良く暮らせますように』」

春樹「だってさ~、佐々木がせっかく吉祥寺に戻ってきてくれて、みんな一緒に過ごせるようになったんだから、ずっとこのままでいて欲しいじゃん」

百花「そうだよね。来年も再来年もみんなで楽しく過ごしたいよね」

理人「僕は百花ちゃんと二人だけで過ごしたいな、イテッ!」


私の肩を抱いたりっちゃんをいっちゃんが引き剥がす。


一護「百花に気安く触るな! エロガキ」

理人「いっちゃんだっておんなじこと思ってるくせに」

剛史「ここにもあるぞ『大好きな人とずっと一緒に過ごせますように』」

理人「え! これ誰?!」

春樹「大好きな人と…なんだから、誰でも当てはまるよね」

理人「誰でもって……もしかして百花ちゃん?」


りっちゃんに名指しされてドキッとした。


百花「う、うん」

一護「大好きな人って誰だよ?」


いっちゃんが怖い顔して覗きこむ。


百花「…えっと。みんな…かな?」


りっちゃんが口を尖らせる。


理人「みんな? そこは僕でいいじゃん」

春樹「そっか。結局、佐々木は俺と同じ願いなんだね」


ハルくんが私にニッコリ微笑む。


春樹「いてっ、一護! 背中押すなよ!」



ずっとみんなで暮らしたい。

ハルくんの言うとおり、ここに戻ってきてから、私もそう思うようになった。


そして、子供の頃の『みんな』には入ってなかったけど、今はそこにもう一人入ってる。

ううん。

みんなの中の一人というより、誰よりもずっと一緒にいて欲しい人。

それは…。




譲二「百花ちゃん。みんなの飲み物ができたから、運ぶの手伝ってくれる?」

百花「はい! マスター」

私は急いで厨房に入りマスターを手伝った。

譲二「サンドイッチも作ったからそれも運んでね」

百花「はい」


その後はマスターも私たちの仲間に加わり、いつもの楽しい集まりになった。


みんなと軽口を叩きあうマスターをぼんやりと眺めた。


マスターは大人の男性で、私みたいに子供じみた高校生は恋愛対象にはならないのかもしれない…。

時々湧き上がる諦めに似た感情が私を落ち込ませる。


譲二「百花ちゃん、どうしたの? さっきから大人しいね」

百花「あ、いえ。ケーキとサンドイッチでお腹いっぱいになっちゃって…」

譲二「そっかぁ。あいつらと同じペースで食べてたらすぐお腹いっぱいになっちゃうよね」


あ、また、マスターの笑顔。


私の願い。


マスターのこの素敵な笑顔をいつも見られますように。

ずっとずっとこの人と一緒に暮らせますように。


心の中で思っただけなのに、頬はほんのりと染まってしまった。


☆☆☆☆☆

〈譲二〉
百花ちゃんは覚えているだろうか?

子供の頃いっしょに七夕の短冊に願いごとをしたじーじのことを?



臆病な俺は彼女に子供の頃のことを言い出せずにいる。



笹飾りを見上げる彼女の白い横顔を見つめながら、短冊に書けなかった願いごとを心の中でつぶやいた。

 

 

『七夕』おわり