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オバマさんのお辞儀

2009-11-17 | 信仰
今日の東京は一日中雨でした。寒かったし。

もう、冬が来るんですねエ…。


さて、オバマ大統領が14日に皇居を訪問したときの両陛下に対する「お辞儀」が、いろんな波紋を呼んでいます。

アメリカの保守系メディアは、オバマ大統領の「深々としたお辞儀」がアメリカ大統領の外交儀典上適切ではないと批判している…というのです。
FOXテレビなどは、わざわざ2年前にチェイニー副大統領が天皇陛下との面会で「全く頭を下げずに握手をした」場面も流した、とか。
「アメリカの元首たるもの、むやみにペコペコするな」ということでしょうか。

そんなアメリカの一部の反応に対して、日本では反発する人も多いようです。


私は、そのニュース画像を改めて見ました。そして、
「オバマさんて、良い人だなあ…」
と、ウレシク感じたことでした。

けして、わざとらしいお辞儀ではありません。だいいち、天皇陛下とは握手をしながらのお辞儀です。日本人ならエライ人にこんなお辞儀はしません。

その分、相手の地位への畏敬の念や年長者に対する自然な配慮が感じられたのです。
つまり、「人柄」ですね。


ケニヤ生まれでイスラム教徒の父親と後に人類学者になる母親の間に生まれたオバマさんは、三歳のときに両親が離婚したこともあり、インドネシアやハワイで小学生から高校生までを過ごしたそうです。
両親とも再婚したため、異父兄弟、異母兄弟合わせると九人もいるんですね。

こういう環境で育つとなかなか社会に適応するのが難しくなったりするものです。
実際、オバマさんも高校時代から酒、タバコやコカインにも身を染めていたようですが、もともとの優秀な資質と克己心で、ハーバードのロースクールを最優秀の成績で卒業するまでになりました。


複雑な環境で育った人には、もうひとつの特徴があります。
それは、「相手の出自に敏感になる」ということです。
つまり、相手がどんな環境で生まれ育ったか…ということに関心を持ち、しばしば強い感情を抱く…ということです。

これが悪く出ると、いわゆる非行に走ったりします。でも、その感受性を活かせば、常に相手の立場を配慮した優しい人格者にもなれるのです。

オバマさんは後者のもっとも素晴らしい成功例のひとつでしょう。オバマさんはきっと日本の皇室の歴史もキチンと学んでから来日したに違いありません。
そして、両陛下に対面してあの笑顔を見たとき、思わず、あの深々とした礼が感情表現として出たのでしょう。


私はオバマさんを見ていると、二人の政治家を連想します。

ひとりは、元南アフリカ大統領のネルソン・マンデラです。
反アパルトヘイトの闘士として27年間も投獄されたマンデラの労苦にはまだまだオバマさんも及ばないし、マンデラの人間評にはイロイロあるようですが。
あと、『マンデラの名もなき看守』は地味ですが、観て損はない映画ですよ。

もう一人は、ソビエト連邦の初代大統領ミハイル・ゴルバチョフです。
ゴルバチョフが出てきたとき、「これがソ連の最高指導者か?」という印象を持った人は多かったハズです。
それまでのソ連のトップの顔付きには、「いかにも陰惨な権力闘争を生き抜いてきました」みたいな、「粛清の影」が染み込んでいたものです。
でも、ゴルバチョフさんはまるでパリ市長のような(イメージですよ、イメージ)明るい開放的な印象で、ソ連も変ったな…と思ったものでした。
もっとも、その後の指導者は、エリツィン、プーチンと「ロシアの頑固親父顔」に戻るのですが。

実際、ゴルバチョフは大統領時代から今日まで、一貫して国内より外国での評価が高いのです。

どうも今後のオバマさんもそんな道を辿りやしないか…という危惧も感じるのですよ。
むろん、そうならないことを祈っていますが。


ところで、日本のお辞儀は東アジアでも独特な古い歴史をもつそうです。

ハニワにもお辞儀をしているものがあるとか。
また、『魏志倭人伝』にも日本人のお辞儀の習慣の表記があるそうです。
そう知ると、「お辞儀」の伝統は大切にしなきゃいけないなア…と思いますね。


また、「お辞儀」と書くようになったのは江戸時代からで、もともとは「お時宜」と書かれていたそうです。
つまり、「物事が成立するちょうど良い頃合いや状況」という意味ですが、それが「状況を見極めて対処すること」につながり、挨拶の作法を指すようになったというのです。

いわば「K・Y」の逆ですね。状況と相手の心情を察して行動すること。

そういう意味でも、オバマさんのお辞儀は、時宜にかなったまことに正しいものだったのでした。

どうも、ご退屈さまでした。




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