食いしん坊ケアマネ の おたすけ長屋!

困ったら、悲しかったら、ツラかったら、
「長屋付き合い」を始めようよ!
現代版人情長屋に寄っといで!

ヒッキーの世界

2009-12-04 | いのち
今日も、午後八時半まで仕事をして、チャリンコ飛ばして帰りがてら、スーパーに
寄った。


いつもの焼酎、いつものサラダ、いつもとは少し違うフライを買って、遅めの夕食
をとった。
帰るなりすぐにパソコン点けて、いつものように気になるニュースを斜め読みし、
掲示板をチェックしたあと、You Tubeに移り、思いつくまま画像をクリックした。
そして、森山直太郎と、一青窈と、平原綾香を歌った。

いつものように。




数日前にご入居されたM様は、ほとんどお部屋から出てらっしゃいません。
スタッフが入れ替わり立ち代わりお部屋に伺い、

「お食事ですからぜひ食堂へ」
「お風呂の時間です。ごいっしょしますから、ぜひ大浴場へ」
「体操をしたあとおやつが出ますよ。ホールにいらっしゃいませんか?」

とお誘いするのですが、いつも均質な笑顔を作り、穏やかに、でも毅然と拒絶され
続けておられます。



私は今日、初めてお部屋で二十分ほどお話を伺いました。
そして、「自分の生きてきた軌跡をきっちり大事にします」という意志を感じまし
た。

それは、全く当り前のことだと思います。



私はケアマネジャーという役職上、部屋に引きこもりがちなご入居者には、できる
だけ「他者との交流によって社会性を取り戻し、心身の健康を増進する」ようにア
プローチします。

そうしないと、色んな方面から怒られ、立場上マズイからです。
でも内心では、「それは、ときと場合によるよ…」と思っています。

まだまだ私はM様のことを知りませんが、二十分接して、
「M様は、若い頃からひとりを好む、内向的な方なのではなかろうか…」
と、直感しました。

そういう方が、「しばらくは部屋でひとりで過ごしたい」と願うのは当然のことで
す。それを「引きこもり老人」などと紋切り型に捉え、「皆さんと同じ空間へ出て
頂いたほうが幸せにきまってる」とアプローチするのはいかがなものか…と思うの
です。



80歳の方の気持ちは、80歳になってからでないと判らないに違いありません。

しかし現状は、50~60代の学者や識者が「老年心理学」なるものをこしらえ、
40~50代のケアマネジャーがその「学説」に従って計画を立て、20~30代
の介護職員が「よりアクティブに」という見地からケアをしています。

置き去りにされているのは、「当事者の実感」です。


これは全く空想ですが、私が80歳になって老人施設に入ったとしたら、
ほっといてくれ…と芯から願うでしょう。

けれど、自分より五十歳以上若いスタッフから、
「モトイさん、皆さんといっしょに愉しみましょうよ」
と言われたら、気の弱い私は、後難を恐れてシブシブついていくかも知れません。



でも、よく考えてみましょう。
世代を問わず、今の日本に生きる人々は「引きこもり」傾向にあり、しかもその「自分の世界を」、やすやすと冒されたくない…と感じているのではないでしょうか。


私は夢想します。

もし私にケアマネジャーがついて、ケアプランを立てられたら?
「飲酒量の制限」「毎日適宜に運動する」「近隣住民との交流を通して社会性の向
上を図る」
などという目標を立てられ、「ケアスタッフ」がわらわらと寄ってきたら…。

間違いなく「やかましいわい!放っといてくれ!」
と、突っぱねるでしょう。
(気が小さいし、気力も衰えてるだろうから、それも無理かな…)



でも、しばしば、
「われわれは相手が老人であるのをいいことに、同じようなことをしてるのではな
いか?」
と考えるのです。

































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