起きて半畳 寝て一畳

株式投資の記録を中心に、日々感じた事や考えたこと、読んだ本のことなどなど

大人になるというのは

2005年06月10日 23時31分57秒 | エトセトラ
 以前書き込みをしてくれたよしださんの就職が決まったそうです。正直嬉しい。
 彼女は未だ17歳、私とは30年以上の差がある。残された時間が長いということは、嬉しいこと、悲しいこと、傷つくこと、辛いこともこの先一杯経験するということだ。

 なにか言葉を贈りたいと思ったが何も思いつかない。


『汲む-Y・Yに-』(茨木のり子 詩集『鎮魂歌』より)

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背伸びを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたしもかつてあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

コメント
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