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「ごんぎつね」4年生でなぜ学ぶ? 10歳の壁に合わせた「心の教科書」

2016年12月13日 | 新聞や雑誌の記事
 小学4年生の教科書に登場して60年になる。児童文学者、新美南吉(にいみなんきち)がつづった「ごんぎつね」。1980年代からは、全検定教科書に掲載されるようになり、今も子どもたちに読み継がれる。償いや心の交流がテーマ。ほのぼの、ハッピーエンドの物語でもない。4年生には少し難しすぎるようにも思えるこの教材。なぜ教科書から消えることがないのか。

教材の重みも増していく

 佐賀県武雄市の市立武内小学校。周囲には、物語にも登場する小川や稲田、彼岸花の農村風景が広がる。5年ぶりに4年生の担任になった橋本澄子教諭(49)は今秋、あらためてこの教材と向き合うことになった。

 小学校の新任教諭の多くは中学年を担任する。橋本教諭も1年目、4年生を担任し、国語で「ごんぎつね」を教えた。

 「あのころは段落ごとに読み進め、どんなことがあった? ごんはどんな気持ちだった? 兵十(ひょうじゅう)は? ひたすら問い掛ける授業で精いっぱいでした」

 教諭として年を重ねるに連れ、この教材の重みも増していくのだという。

 「情景って言葉ありますよね。人の心と場面が重なり、深く伝わってくるような。子どもたちはまだ、その言葉自体は知らないんだけど、その感覚を初めて知る教材だと思う」

子どもたちにとって教科書で長文を読み込むのは初めて

 ごんは人間で言えば何歳ぐらい? なぜ、兵十にクリやマツタケを届け続けたの? それは、いたずらへのつぐないの気持ちだけだったのかな? ごんの思いは最後、兵十に通じた?

 めあて(学習目標)を変えながらの授業は14こまに及び、10月初めから始まった。

 本文だけで18ページ。子どもたちにとって、教科書でこれほど長文を読み込むのは初めて。根気と集中が求められる。物語の「起承転結」という言葉を初めて学ぶのもこの教材だ。

 家や学校での音読、視写(書き写し)を繰り返し、授業が核心に入ったのは連休明けの11日から。教室の机の配列も、みんなで話しやすいよう「コ」の字型に変わった。

 物語の主題の一つが「つぐない」。本文には一カ所登場するが、子どもたちは意味が分からず、辞書を引く。〈あいてにかけたそんがいを、おかねや品物でうめ合わせること〉。小学生向けの辞書にはそう記されているが、ぴんとこない。「最初は『恩返し』と同義語と捉える子もいました」と橋本教諭。

 ごんはなぜ、いたずらを繰り返したのか? 「ひとりぼっち」もキーワードの一つ。その背後に孤独・疎外感があり、やがて母を亡くして同じ境涯になる兵十への共感にもつながっていく。「自分の気持ちを伝えたかった」「だんだん、やさしさが増している」「力になりたかった」。子どもたちは、それぞれの感想や意見を発表し合い、心情理解を深めていった。

 10歳の壁-。子どもたちは、10歳前後で思春期へと向かい、心や言葉の変化、成長の試練を迎える。この物語は、そうしたタイミングに合わせた「心の教科書」でもあるように思えた。


物語のクライマックスはどこだろう?

 松尾寛教頭(50)は「低学年の国語では、文章に書かれていることを学ぶ。でも、この教材では記述から想像力も働かせ、見えない心をどう読み解くのかがポイント」。国語の教材としてだけではなく、自己理解や他者理解、人として成長していくための学びも含まれている。

 物語のクライマックスはどこだろう? 一連の授業終盤、橋本教諭は問い掛けた。

 兵十が火縄銃でごんを撃つ場面を挙げる子どもが多いかと思ったが、そうではなかった。〈ごん、おまい(おまえ)だったのか〉〈兵十は、火なわじゅうをばたりと取り落としました〉。それは普段、あまり意見を発表しない子だったりもした。

◆「ごんぎつね」あらすじ

 ひとりぼっちの小ギツネ「ごん」はいたずら好き。村で暮らす青年「兵十」が川に仕掛けた網に入っていた魚やウナギを逃がす。やがて、兵十の母が亡くなり、ごんと同じようにひとりぼっちに。ごんは「つぐない」のため、魚やクリ、マツタケを、兵十の家にこっそり置き続けるが、その思いは届かない。ある日、家に入るごんを見た兵十は、火縄銃でごんを撃つ。兵十はそのとき、ごんの思いを知る。

西日本新聞社

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