ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

白井晟一の図面集を読んでみる<その一>

2018年06月06日 20時26分25秒 | 読書
戦後を代表する建築家で白井晟一と言う人がおります。白井氏は洋風建築と共に和風建築にも独創的な作品を残した人です。
その作品の一つに「呉羽の舎(くれはのいえ)」というものがあります。
その作品の設計図集がある事を知り、入手してみました。
それが表題のものです。

その書籍の名は「木造の詳細 3 住宅設計集」というものです。昭和44年の刊行でした。出版社は彰国社です。
白井晟一が手がけた「呉羽の舎」の全図面集が本書となっている。

次の画像を見ていただきたい。


「呉羽の舎」の門屋の一断面を表したものである。
実に詳細に納め方が書かれている事に、まずは感心する。
近頃のデザイナーにはできない図面である。デザイナー(設計者)は基本的な「意匠」を決めるだけであって詳細な納め方は現場の施工者に任せるという風潮はここにはない。
考え抜かれた設計がここにはある。

一見すると無謀とも思える意匠の根底には、それを実現する為に考え抜かれた設計がある事を知らせて呉れます。
白井晟一という建築家が何を考えて建築を建てたのかを読み解くことが、この図面集に与えられた使命なのだと思われる。

さて、建築家は文章家ではありません。
ですから建築家にとっては、描いた図面が「文章」なのです。描かれた「図面」がどのように建築として「具象化」されてゆくのかが、図面により表現されていかなければならないと思うのです。
昨今のデザイナー(設計者)はラフなスケッチを提示して、あとの作業は施工者の「施工図」に委ねることが、今は一般的です。
白井氏はそのような方法をとらなかった。白井氏はその意味においても優れた「実践者」であったように思われるのです。





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