黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2007/02/23

2007-02-23 23:54:08 | 短歌
雨に逝く散り降り積もる梅の花あの人の名をあの人の名を

闇纏う春の夕方御堂筋羊羹みたく甘く潤う

舞いながら袖を湿らすしだれ梅瞬く刹那飛ぶように行く

2007/02/22

2007-02-22 23:41:48 | 短歌
風は凪ぎ波は静まり橋映す瀬戸内の春戻らず進む

判で押し姿を作るリクルート形崩れぬ時は短い

散り咲いて散り咲いて繰り返す春あしたの冬は夜には融ける

すでに散り始めた梅の傍にて老夫婦笑み和む温もり

寝息立てネットカフェの方丈住処とすなる子の地獄変

紅い梅手を振り誘う白い梅春は染みたりうつくしいくに

メディアが鬼の首刈る処刑場にくいしくつう人等の世界

足元に緑が芽ぶく薄の穂春の足跡確かに見たり

私はただ座りたいと思うだけレールの上の車両にて

2007/02/19

2007-02-19 00:11:28 | 短歌
空に雲弱い風にて糸棚引く名前ばかりの北風一人

紅梅にモザイクかかる立春鳥はまだ来ず花が静止す

乱反射次から次へ乱反射乱れる白髪瀬戸内の冬

霜がおり雪や雪やと子等の声温む地球泥濘む明日

悲しくもスキャンダルは無縁なり日々はSO-SO-明日もSO-SO-

やまぎわはぼやけてくすみやぶれたるはなのにおいをふとかいでみる

夕闇が迫る茜の空を縫う銀糸が一糸飛行機の雲

青さ増す春が間近の夕闇に菜の花並ぶスーパーに行く

彼岸入り無縁仏とふきのとうただ春の日が祝福する

2007/02/06

2007-02-06 23:37:23 | 短歌
地震雲私みましたみましたよと伝聞して心震わす

人に満つ通勤経路立ち止まり振りさけ見ればひとり頬濡れ

高見よりギヤマン板が落下する散るだろ破片散るだろ風に

蜘蛛の糸氷点下を区分けする上がアンタで下がワタクシ

硝煙安息日を破壊する夏の終わらぬエデンの東

絡む格子からこぼれる立春のひかりを編んで歌を一首

あしたの体今日にはなく日が暮れていく睫濡れ睫凍む

砂浜に流れ着いては朽ちていく船出は二度と訪れやせず

昨日消し今日も消して明日も消す足跡だけがロギングされる