黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2007/01/31

2007-01-31 22:39:42 | 短歌
印画紙に焼け付ける間も無く睦月飛ぶが如くに過ぎ去っていく

冬睦月積乱雲が隆起す歯車乱れ季節が巡る

vistaなど動きもしないパソコンでラストニュースブログに綴る

2007/01/27

2007-01-27 11:12:59 | 短歌
カウンター食らいながらもペダル踏み日々を回して額から湯気

アクリルのボアが首もと温める燃やせば地球も連れて温もり

ガスの中吐息も立てず眠るビル崩れ落ちるな、崩れ落ちるな

熟れし実を枝に残して花梨の木誰を待ちつつ歌うのですか

靄靄に姿を潜め猪は駆け下りる時ただそれを待つ

靄靄を浴びて照る照る岩しのぶ湿る袖にて夜露を払う

たらちねの母の落とした菜箸を拾うものなし午後六時半

闇濃ゆく夜が染み出す神楽坂笑顔寂しきペコちゃん焼き

列車が山手線をループするつい口に出る「環状線」

寝息すら揺らしはしない震度零それでも心敏に震える

人は死ぬ
(声がでないよ)
人が死ぬ
(これ以上を話すは出来ず)

不機嫌にラッシュアワー耐え忍ぶ他人が作る私千体

荒れた手でコンクリートを撫でてみる冷たく寒く絶望感ず

防寒具その下だけに及ぶ春素肌が踊る季節は遠く

雨迫る冬の晴れ間はラグナロク晴れ上がりすら想像つかず

おのころにかかる霞を大橋は全身纏い陽光浴びる

2007/01/11

2007-01-11 15:59:57 | 短歌
椿散る団地の脇を自転車体感温度は氷点下

朱色のパッチワークが土の上微かな暖を封じ閉じ込む

濃い桃が氷雨に混じり地に染みる地下水脈椿のかほり

散らせども首を落とせど花は咲き過日の夢を現と思う

艶やかにアントワネット生まれるも椿のごとく命を散らす

湯気曇る湯船の果ては富士の山今は欠片が過日を知らす

台車が祭り縫いする細い路地冬の空気がドライブをする

数学のテストみたいに切り抜かれそれを空とは認識できず

唇を撫でると指が滑らずに乾いた皮を弱めにえぐる

神様は居留地の直中にご鎮座為され冷気を保つ

2007/01/09

2007-01-09 20:38:10 | 短歌
一度だけ瞼の裏で出会えれば残像追わず暮らし生くのに

蒼天は果てまで続く冬の朝黒いピースに我は戻った

未知なるを開けてしまえばたわいなく我の前にも我の後にも

餅の上沈むことなく燦々と朽ちることなくだいだいは照る


2007/01/01-02

2007-01-02 17:34:53 | 短歌
雨の降る謹賀新年松葉濡れ松脂色に空気は染まる

福袋開けきるまでの淡い夢九時のニュース疲労を流す

チェーンの喫茶店すら清い風日の出のような丸型ライト

夜明けまで語らいながら社務室巫女のまねごとしながら過ごす

猪の母子寄り添い影数多数えるうちに幾匹増える

進めども後退みたく逸れていく亥の勢いを切に求める