カウンター食らいながらもペダル踏み日々を回して額から湯気
アクリルのボアが首もと温める燃やせば地球も連れて温もり
ガスの中吐息も立てず眠るビル崩れ落ちるな、崩れ落ちるな
熟れし実を枝に残して花梨の木誰を待ちつつ歌うのですか
靄靄に姿を潜め猪は駆け下りる時ただそれを待つ
靄靄を浴びて照る照る岩しのぶ湿る袖にて夜露を払う
たらちねの母の落とした菜箸を拾うものなし午後六時半
闇濃ゆく夜が染み出す神楽坂笑顔寂しきペコちゃん焼き
列車が山手線をループするつい口に出る「環状線」
寝息すら揺らしはしない震度零それでも心敏に震える
人は死ぬ
(声がでないよ)
人が死ぬ
(これ以上を話すは出来ず)
不機嫌にラッシュアワー耐え忍ぶ他人が作る私千体
荒れた手でコンクリートを撫でてみる冷たく寒く絶望感ず
防寒具その下だけに及ぶ春素肌が踊る季節は遠く
雨迫る冬の晴れ間はラグナロク晴れ上がりすら想像つかず
おのころにかかる霞を大橋は全身纏い陽光浴びる