手のひらで明日を決めるサイコロを知らないうちにころがしている
手首から先が働き紡ぎ出すそのシステムは欲望が為
病臥す老犬撫でるこの手には病消し去る力など無く
手足すら自由もがれる熱帯夜闇の後ろでもののけわらふ
左手に光るわっかを奪い去り雨の線路に放り込みたい
蛇の目を玩具のような左手で不器用に差した遠い昔
蚊に刺され休むことなく動く手のその世話しなさは蝿に似たり
手錠をいいえ荒縄皮ひもをそんなものでは心縛れず
手段を選ぶことなく狡猾に生きていくのはずるい気がする
手首すら時に不要と成るほどに体が軽いそんな明け方