黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2004/01 04

2004-01-13 00:32:09 | 短歌
春早し古池の中ひきがえる凍えなくともいとさみしそう

歩き来てファミレスにて午後三時チョコレートケーキと語らう

春撒きの葱の種買い待ちきれず暖冬だからと撒いてしまう

大きなガラス光を通し暖める季節外れの汗に戸惑う

こんな風に汗をかくのはあの時似ている温度吾を忘れたり

西日強かれドど冷え夕方に一人いるのは気貴く思う

カップから逃げていくのは熱ばかり手の質感はあの頃のまま

2004/01 03

2004-01-03 00:31:34 | 短歌
みかんの木 棘みたいな トゲあれど 子を失いて 鋭さは無く

例年に無く陽気な日 咲く梅はまだ寒波を知らず

好きだとは 言えないとても ハルトオシ いつか起こして 陽が当るなら

燃える焚き火 踊る原始 目に燃える  氷柱も燃えるを映す

少し死にたくなるなんて大寒の夜に思うは陳腐すぎるね

風吹かれ凍るハンカチなびかずに私は何を目印にする

神棚に備えし榊眺めれば晦日の騒ぎと白い花あり

冬空に輝ける星多かれど月光の冷たさに劣る

日中氷張る池で水鳥愛しと思い寄り添う姿

日高くも氷張る池で水鳥ああなりたいと思う昼過ぎ

2004/01 02

2004-01-02 00:30:53 | 短歌
手渡され  走る稲妻 静電気 引火する事 愛のごとくに

レガシーで 飲む缶コーヒーの 甘さ シートにもたれ 流れる景色

逢えぬことも 楽しみかな 休日 濡れた窓越し 寒椿

薄氷 踏みつけ歩く 日曜の 真に寂しき 唇ひとつ

走り去る 吹きさむ吹雪に 目を閉じ 其れでもいまだ 心は枯れず

口に今 チョコレートを ひとかけら どんな嘘も つく事ができるよ

襟に媚薬 バーバリ少し 香り 胸になる音 待つ春の鐘

耳にいる アンダーワールド 頼って 霜を踏みいく 日々の戯言

手に入るもの 皆全て溶けいるは 紅茶に落とした砂糖のように

固形的 立方的に 完璧な スィートブラウン チョコレエト

2004/01 01

2004-01-01 00:30:23 | 短歌
わたし嫌 手に入らない こんな恋 せめて希望を 弥生に託し

寒中 お伝えします 私事ですが 心の園に 桜咲くこと

雪を見て ついつい思わず それを食み 無味の氷を 愛しく思う

頂に 参りましては 白銀を すべる恋人 スノウボオダア

子が言う 雪降る様を 知らないと 顔をなでるは 都会のかをり

雪かぶる 草原の果て 何処までも 声湧き上がる 春は何処と

町抜けて 新しい風 待ち受けて 鳴らぬ携帯 木枯らしのよう

節分の 豆放る手は 幼くて それでもひとつ 豆は増えたり

木漏れ日も 冷気をまとう 如月に 光束ねて 明日を思う

午前四時 目を覚まして 耳を澄まし 冬きしむ音 オリオンを見る