黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2005/03/29

2005-03-29 23:06:07 | 短歌
深紅の梅巡る深まる煮える春に咲き溢れ踊って舞って

ウグイスの鳴く音を聴かないそういう所ばかりで過ごす昨今

団地群小粋跳ね回る陽光コンクリートすら春に満ちる

静ず海に船が一艘他はなく光る魚を捕らえ積み行く

常緑の木々に芽吹く新芽に古参は威厳ありそうも不安

厄災の日々も春が安らぐ事教えてくれるのも紙一重

デマゴゴスな週刊誌が一番季節に敏感だったりする

沈黙は金咲く花も枯れてしまうような醜悪さテレビに

2005/03/26

2005-03-26 23:17:50 | 短歌
花開く事を待つ喜春城お酒一口後は華だけ

春の顔に戻った瀬戸内に安らぎ感じてはまた涙する

ストーブの前でなくたってもアイスクリームが美味しく感じられる

霞みの果てに淡路の灯台照らせるならこの航路も照らして

一桁の気温がラッキーセブンに「暖かい」以外を期待する

就職祝いはガム一枚分のプレイヤー夢を聴かせて

泣き腫らした目に光のどけき春の日は少し幸せに染みる

未だか未だか木蓮白く咲いて一人恐い夜道を照らしてよ

「バッチリお葬式」という本読む人の春のメイルシュトローム

2005/03/24

2005-03-24 23:31:44 | 短歌
白い吐息が懐かしいそんな季節が誇らしげもうここにいる

沢山積み重ねても粗末嵐が全て流してしまえばいい

散る花のこと忘れて桜を愛でたいつまらない明日も忘れて

闇に浮かぶ木蓮のこぼす光にさらわれて私も消えたい

2005/03/22

2005-03-22 22:44:46 | 短歌
昨日の清々しさを打ち消す雨の憂欝さ白鳥はいない

眠り眠り眠りどれだけ眠っても眠り眠り眠りに眠り

金ぺいとうは口に運ぶと梅の味がした世間は桜でも

雨が上がったら甘く美しく濡れる蕾を眺めましょうよ