2005/10/31 2005-10-31 22:06:35 | 短歌 カシミヤ製マフラーの優しい手触り要らぬほどの小春日和 飛行機一機雲一つ無い空を静寂にて飛び去って行く 遠足の隊列かつての私もこうして誰かの過去を揺さぶり
北浜にて 2005-10-28 18:05:04 | 短歌(副題付) 階段を駆け上がると三越はすでに消滅していた或る日 香料商社玄関のステンドグラスにハイカラが暮らす 背広の波の中紅いカーディガンで日常からエスケープ リストランテ浅いアフタヌーンの深い親密美味しい食事 凌辱的なプレイの果て美食に至る鶉の人生 冷えた洋梨のコンポートが喉にイバラ絡むこと忘れさせる エレクトリカルに処理される本日の商いの静的な様 夕日の下紅に至らない色で燃える薔薇の心地よい香り 手で触れれば壊れてしまう壊してしまう誰かの心のように 澱む土佐堀の底で本当の春が来るのを耐える魚一尾
2005/10/27 2005-10-27 22:49:38 | 短歌 ウェハースを噛み砕く歩道の落ち葉を踏み砕いて歩くように 振りまいた半端な優しさが喉をかさつかせている事知るべき 自分が嫌われるのが嫌なだけじゃないか!まるで感冒如く!
2005/10/25 2005-10-25 20:27:17 | 短歌 早くもマフラーなど首に巻いて過保護と思われないか自分に 白墨空に流し遊ばす天津神の多忙の中の一服 瞳に映るイルミネーションもうひとつの世界を知らず生きる
2005/10/24 2005-10-24 20:51:33 | 短歌 毛布の肌触りを感じながら明鏡止水の夜を過ごす 魔法瓶覗き込み予め希望など仕込まれていないか見る 蜃気楼がそびえた気がするもうすっかり冬色の海の果てに
2005/10/20 2005-10-20 23:35:13 | 短歌 夜明け前吐息を吐くと白くなりましたもう後には引けません 水に浮かんだまま眠りむさぼる白鳥の見るシベリアの夢 枯れ葉を踏みしめてウィスパー収集する砕ける囁きを
2005/10/19 2005-10-19 22:03:59 | 短歌 こんなに青くて蒼い空さえ果てがある地球という現実 袖口から体内へと流れ落ちた冷気の行き先が気になる 陽光さえ食欲に溢れる季節にこのか細い体では