黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2005/05/31

2005-05-31 20:55:24 | 短歌
幻となった日本兵知る人も亡き銃後にもただ涙

冷たい湿気が独り寝の床に忍んでくるまだ待つの?と

コバルトの霞に浮かぶ淡路島マグリットが描きだしたよう

西日がビル街にエフェクトをかけるこれは醒めない夢ね、たぶん

紫外線と排気ガスと明るすぎるオレンヂで今日は幕引く

2005/05/27

2005-05-27 22:53:33 | 短歌
少しずつ汗ばむ季節に近づいて恋も愛も加速していく

ミュールから覗くカラフルな爪が未来を創るわけでないけど

麻のような身構えでいるのに奥底を誰も知らない奇妙

エメラルドごとく山は燃えるけれど私は燃えずただ待ちわびて

日本サマー

2005-05-21 19:40:15 | 短歌(副題付)
夏服とサンダルを身につけて白いカイトを聞いたら泣けてきた

明日も知らぬ明後日も知らぬ誰も知らぬでも朝顔は芽吹いた

右手に日焼け止め左手に日焼け止め心だけはひらいてある

瞼をすり抜けて水晶体に降り注ぐ紫外線AとB

カキ氷銀色の虫歯治療後を静かに侵略する