黄色い拍子

言うよりも詠うことにて喜びをひそか硯の奥に隠して

2004/05 02

2004-05-02 01:11:27 | 短歌
壁如く生命弾けて萌える山その誇り高い姿に酔う

白鷺が咲いているみたいに川面水面ゆれずまた空に飛ぶ

薔薇の門をくぐり抜けて行き着くは知らぬ所と覚悟している

サツキ咲く門扉足元花が積むとき同じくに皐月も終い

水ぬるみ空気乾いて彩ひかり麗らかに入水していく

芽吹き出て空を吸い込み朝顔のいつぞ開くはその色の花

焼ける肌日を吸い込みて荒ぶるもまさに生きたる証そのまま

打球は思うよりもずっと遠くそれほどにこの気持ちも行かん

まどろみに流されていくこの午後の湯気の向こうにはアゲハチョウ

高くなる日のガラス片的な光が海原を切り裂いている

夕暮れの駐車場で出会うあなたによく似た誰かと夢

日が暮れて明星が輝きてなでる涼風髪が乱れる

ウェハアス食んで流れる午後三時グラスにアイス珈琲を注ぐ

2004/05 01

2004-05-01 01:10:55 | 短歌
突然の嵐の中で勇猛に泳ぐ緋鯉の姿に惚れる

新緑大地を覆う白殺し如くに部屋にターングリーン

住み慣れた空気を脱いで五月晴れ知らぬ町並み知るため歩む

水は寝て濡れたる裾のいとましさ落ち沈みたる花びらさえも

走り抜けて颯爽皐月芝生にて戦う人の気高き姿

湿りて眠れぬ夜の独り芝居始まりは音たて入れる水

テーブルに並ぶグラスにぽつねんと氷のみあり気温は高し

激しくてメイストーム吾の身体野蛮に支配されど満たされて

路に吹く風に踊る傘の華憂いとは別に咲き散りたる

心捨て夜をむさぼり生きてやるされど萌える新緑勝る