しかぜきょうこの1日1枚+

スペイン在住フラメンコ研究家/通訳コーディネーターによるフラメンコCD紹介

第33回 パシオン・ベガ

2005-12-13 13:59:51 | そのほか
パシオンつながりつーわけではないですが、今日はパシオン・ベガをご紹介。
この人、フラメンコの人ではないです。
スペイン的にいうとスペイン歌謡の人。
スペイン歌謡つうのは日本の歌謡曲、演歌にもどこか通じるところがあるジャンル。
でもフラメンコのすぐ隣組みたいなとこもあって、それが証拠にこのジャンルの大御所二人、
イサベル・パントーハとロシオ・フラードはいずれも
フラメンコも歌ってタブラオにもでてたという人なんですね。
その前の大御所、亡くなったローラ・フローレスは
フラメンコの大御所マノロ・カラコールとコンビくんでいたしさ。

でパシオン・ベガ。
マラガ出身の女性でございます。今はこのジャケットにあるような金髪おかっぱ。
でも前はショートカットでした。その装いからして新感覚派。
スペイン歌謡というとバタ・デ・コーラかロングドレスってイメージなもんで。
で、今や、スペイン歌謡という範囲にとどまらず、ふつーの“うた”うたい、って感じで
活躍中なんですね。
この人とにかくうまい。うますぎていやみなくらいと以前思ったことあるくらいっす。
でもね、CDで聴くと巧いなあ、でおわっちゃうんだけど
生できくとぜんぜんちがうの。もーこれがすごいの。
音が、声が、“生きて”いるのね。
ひとつひとつの声が、音が、意味を、方向性をもってるの。
説得力があるのね。
これってめちゃすごい!
ポルトガルのドゥルセ・ポンテスも、CDはきいていたものの生をきいてぶっとんだけど、
はい、パシオンもドゥルセとおなじく、ライブがめっちゃいいんです。

で、これは今年、セビージャのマエストランサ劇場であったコンサートのライブ盤。
しゃべりのぶったぎりかたとかおいおい、って感じだけど、
でも歌のうまさは、伝わってくると思います。

ちなみにこの11月、ロシオ・モリーナの作品にゲスト出演していました。
こんときも、ほーんと、泣かせてくれました。鳥肌たっちゃうのだ。
ききなれたクアトロ・ムレーロ(4人のらば飼い)なのに~

ちなみに本人にきいたところ、今まで一度もフラメンコを歌ったことはないそうです。
内輪でルンバやブレリアはちょっとあるけど、サエタだって歌ったことない!
んだそうです。
サエタとかよさそうなんだけどなあ。。。