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気の広場

気の世界あれこれ・・・
  日常雑感あれこれ・・・

いのちの世界

2011-02-05 05:15:02 | Weblog
      小学生

                 堀口 大学

  先生

  植物学はうそですね

  樹木もやはり笑うもの

  梅が一輪咲きました



小学生の純真な眼は 梅が笑うのをはっきりみました。

そのおどろきの顔が見えるようです。


事実 梅は笑うのです。


それまでに蓄積していた精いっぱいの力を枝頭に集め

こまかな花弁に托して

  天地の恵みと期待に いまこそ応えようと

  ・・・ はじめてニッコリ笑ったのです。


時が熟したということは

  その時を 今日か明日かと待ちつづけてきたものにとって

  ・・・ どんなにうれしいことでしょう。


思わずほほえまずにはいられませんね。



人間は いや 私たちは生きています。

草や木も 生きています。

生きているもの同志の間には命と命の呼び合いが

  輝かしい命のサインが交わされるはずです。


梅が笑ったと感じるところに 感じたこちらが生きているのです。



鶯(うぐいす)を春告鳥と呼んだ心は

長い冬の間

  雪の下に悩んだものの希望とよろこびではなかったでしょうか。



山笑う ということばもありますが

命ある人間は 山が笑い 梅が笑う世界にこそ 実は生きているのです。



昔は 日も 月も 山も 川も ・・・ 生きていました。





* 2010.11  東ブータンで





冬のこころ

2011-02-05 05:14:02 | Weblog
    冬のこころ

                       松江 賢修

もろ葉みな おちつくしたり 大銀杏 冬空にして ただ寂然



春 新芽が出て

夏にはうっそうと生い茂り

秋は黄色に色づいて やがて散りはじめ

冬になると丸坊主になってしまった ・・・ 大銀杏(おおいちょう)。



樹にも骨格ありとすれば
 
  彼は骨格のみとなった ・・・ といえるかもしれない。


骨格となった銀杏は魅力がないであろう。

それは 人の眼を引くこともなく 黙々とそびえているが ・・・

四季それぞれの装いをして

  人目を楽しませたその元は この骨格にこそあるのではないだろうか。



人の心にも もし骨格ありとすれば ・・・ それは どんな姿であろうか。


血の気が多すぎるがために 迷い多く 悩み多き日々送迎して
 
  愚痴をこぼしつづけている我々の精神の骨格とは さて ・・・ 。





* 2010.11  東ブータンで





かすかな抵抗

2011-02-05 05:13:02 | Weblog
      かすかな抵抗

                 斉藤 茂吉

  水すまし 流れにむかひ逆(さか)ほぼる

  汝がいきほひよ かすかなれども



水すましが一匹 川の水面を流れに抗してのぼって行く。


水勢に押されて ともすれば流されるのであるが

  気をとりなおすかのごとく

  さらに勇を鼓(こ)して水上(みなかみ)へと泳いでゆく

  ・・・ そのりりしさ。

汝がいきおいよ かすかなれども ・・・ というところに

  ・・・ この歌人が水すましに捧げた賛辞です。



いわゆる時流に乗ることは

  保身の術として賢明であり 成功の確立も大きい。

時流に抗することは 報いられることもない。

しかし

真実一路を歩まんとするものは

  往々にして 時流に抗しなければなりません。



現代はあまりにも

  楽天的な科学技術文化のいわば横行の時代。

  マスコミの絶対支配の時代。


これに抗することは

  非常識 逆コースのそしりをまぬがれないでしょうね。

しかし

民族の 人類の遠い未来に思いをいたすとき

現代のいたずらに楽天的で 退廃的な傾向に対して

  背をそむけ時流に同(どう)じないものこそ

  ・・・ 生命(いのち)を嗣(つ)ぐものといわねばなりません。


エールリッヒ・フロム(米国の精神分析者)も

あまりに過剰な文化をただ漫然とうけ入れているだけでは

  平和の中にいて 人類は滅びるであろう と警告しています。


過剰な文化を追い求めることは

  経済的にも 精神的にも破綻をきたすだけではないでしょうか。

現代に必要なのは

  ・・・ むしろ拒絶の精神であろうと思います。



名もなき民の中に

黙々として地道な歩みをすすめている人々あることを

  ・・・ 信じて疑いません。

あたかも 水すましのごとくに ・・・



それにつけても・・・ 魂を失った幽霊が多すぎます。





* 2010.11  東ブータンで