
楽しい旅もいよいよフェリーに乗って帰宅する日となった。しかし、困ったことに台風20号が北海道に接近し、天気が怪しくなってきた。来た時と同じように深夜便を予約していたのだが、天気予報では深夜便が出港する時刻にもっとも台風が苫小牧に接近するようだ。
もし台風のため欠航にでもなったら旅程が大幅に狂ってしまう。三井商船フェリーの大洗ー苫小牧ルートには、真夜中に出航する深夜便のほかに、夕方便という7時間前に出航する便がある。これに乗れれば、台風の進行方向と逆に向かうため遠ざかることになるし、7時間前なら多少荒れていても欠航にはならないかもしれない。
一縷の望みを託して予約サイトを見てみると、なんとオートバイの空きが1台とある。これは奇跡だと思い、即予約ボタンを押したら、受け入れられた。友人は最後の夜は回転寿司に行こうと言ってくれたのだが、泣く泣くその誘いを断り事情を話して午後2時に岩見沢を出発した。
苫小牧フェリーターミナルまでの約80㎞の道のりは何とか雨に降られず、着いた日の夜とは違って、最後の走りを楽しむことができた。この国道234号線は苫小牧の手前の安平町を通っているのだが、9月6日の北海道胆振東部地震では震源に近い厚真町や安平町は大きな被害を受けた。あの国道はどうなっただろう。
苫小牧フェリーターミナルに着き、運航状況を聞くと、到着予定時刻は大幅に遅れる予定だが、欠航はしないとのことだった。ターミナルで乗船手続きをし、乗り込みを待っていると雨が降り出し、やがて風も加わってきた。
最初は、数台だったオートバイが時間とともに増え始め、100台近くになった。
みんな何とかこの船に乗ろうと集まってきたのだろう。
どのバイクも荷物を満載したツーリングのつわもの達だ。ツーリング中に台風に遭遇しなかったことはラッキーなことだ。隣にいたバイクがたまたま千葉ナンバーだったので話しかけると、HONDAの700ccだったが、買ったばかりの大型バイクで初北海道ツーリングだという。私と同じ年代だった。
夕方便は「さんふらわあ ふらの」という船だった。深夜便の「だいせつ」と「しれとこ」が客室はデラックス2部屋と他はすべてカジュアルという1タイプだけなのに、「ふらの」は豪華客船並みにスイート、プレミアム、プレミアム(バリアフリー)、スーペリア、スーペリアwithペット、コンフォート、ツーリストと7種類に分かれていた。
こちらがプレミアムの一例
これはスーペリアの一例
こちらがツーリスト
季節によって運賃は異なるが、お盆を除く7・8月は、プレミアムは30740円、スーペリアが21510円、私の乗ったコンフォートは15900円、一番安いツーリストでも11310円だった。この他に乗用車やバイクの運賃がかかる。ちなみにFZXは14400円だった。
料金の高さにはびっくりしたが、ちょっとしたビジネスホテル並みの広さの豪華な客室を見ると料金の高さもうなづけた。
私はツーリストで十分だと思ったが、コンフォートしか空きがなかった。コンフォートはいわばカプセルホテルだった。
2段になったベッドルーム
40人ぐらいで1部屋になっている
毛布やスリッパ、イヤホン付
TVもついている
エントランス・ホール。キャビンアテンダントは若い女性
吹き抜けのロビー
浴室内部
コインランドリー
レストラン(ビュッフェ形式)
ゲームコーナー
便利だなと思ったのはWiFiで、無料WiFiは3G回線で陸地とつないでいるとかで、あまり使い物にならなかったが、船内にSunFlower Smart QuestというWiFiがあり、航空機のVideoサービス並みにいろいろな映画作品が観られた。
心配した台風は、予報通り津軽海峡を通過するという最悪のルートを通ったが、定刻の18時45分に出航し、1万4千tの巨船は暴風雨の中を突き進んだ。揺れが激しいため風呂は1時間ほどで閉鎖され、通路を歩くのにも手すりにつかまらないと歩けないくらいだった。
しかし、船内は風雨の音は聞こえず、エンジンの音が低く響くだけで、床について寝てしまえば、それほど危険性は感じなかった。
朝6時ころ目覚めると、上下の揺れは続いていたが昨夜ほどではなかったので、甲板に出てみると台風一過の青空が広がっていた。
大洗港まで残り約8時間の船旅も、レストランで朝食を食べたり、タブレットで映画を見たりして、あっという間に過ぎていった。
下船準備
かなり到着時刻は遅れるという案内だったが、スピードアップしたのか定刻通りの14時に入港した。
大洗港
北海道ツーリングのお約束で、本州(内地)に戻ってくるとまた35℃を超す猛暑だった。北海道に移住したいと切実に思うのも、ツーリングのお約束だ。
帰途に就くべく大洗ICに向かう道で、事故っている大型バイクを目にした。2台がそばに停まっていたので、3人グループだろうか。荷台のキャンプ道具を見ると、今さっき下船したうちの1台に違いない。大した怪我でないことを祈りつつ通り過ぎた。
行こうか行くまいか迷いながら、思い切って出かけた北海道だったが、旧友たちにお世話になり、やりたかったことの8割ほどは実現できたツーリングだった。
十勝岳望岳台の白樺林を走ることができなかったのは心残りだが、またいつか機会をとらえてリベンジしてみよう。FZX、無事に走り続けてくれてありがとう。
総走行距離 1,126km。
フェリーてすごいですね。あの台風の中で
も欠航とならないなんて。
伊勢湾フェリーもとんでもない大しけの中
出航し、マジ?って思ったこともありまし
た。
乗船料金も30000円!
これは貯めて置かないと無理ですね。
本州に戻ったときに暑さ、北海道では楽園
だったのにと思うのですが、これから北海
道は厳しい寒さに向かっていくんですね。
最近、超遠乗りは車でばかりなので、たま
にはバイクで行きたくなりました。
私の場合、腰に爆弾がありますので、体調
次第というのが悲しいです。
バイク事故に遭われた方、お気の毒です。
八戸ターミナルを降り、私もあわや…と
いうことがありましたが運がよかったです。
お元気でしたか?
私は8年ぶりの北海道ツーリングでしたが、あの開放感とひんやりとした北の大地の空気感はいつ行っても裏切らないものですね。
いつもは八戸港からのフェリーだったので、積荷の一つと化して油臭い船室に横になるのもフェリーの楽しみだと思っていましたが、大洗港からのフェリーの夕方便は別世界でした。深夜便も多少は快適になっていましたが。
そろそろFZXな日々も卒業かなぁと思いながらのファイナルツーリングでしたが、まだまだやり残したことがありそうです。
ツーリング中の事故だけは、細心の注意をして避けたいものですね。
私も腰に爆弾を抱えていますが、毎日5000歩歩いて鍛えています。
行く先々でスイフトを見かけるたびに、たかぴいさんを思い出しています。車には車の楽しみがありますから二刀流で良いと思います。
キムさんの後を追いかけるように旭川空港から富良野に入りました。
目的は美瑛で開催されるセンチュリーライド。2日で160kmを走破
するものですが、内地の暑さを忘れて涼しい中を走れることの幸せ。
キムさんの書かれていた十勝岳温泉に続く道にある白樺並木。
何度来ても新しい発見があります。
キムさん素敵な場所を紹介頂きありがとうございます。
急に秋が深まった感があるこの頃ですが、自転車で北海道を走るとは素晴らしいですね。ツーリングの途中も多くのライダー(チャリダー?)を目にしましたが、前後に大きなバッグを付けた彼らには、頭が下がります。特に峠を越える時には、声援を送ります。
十勝岳温泉までの道は長い登りが続く大変な道ですね。体調に気を付けて楽しんでください。無理をなさらないように。
美瑛はジャガイモでも有名ですね。収穫の秋ですから、美味しい食事も堪能してください。
お元気そうで何よりです。
北の大地気持ちよさそうで憧れます。
キムサンのそのパワーはどこから来るのでしょう?
還暦を過ぎた方とは思えない行動力で頭が下がります。
自分も「いつかは北海道」を目標に頑張っていますが、なかなかいけないですねー
でも、後悔はしたくないのでいつかは行きますよ!!
もちろんFZXで!
ご無沙汰しています。
北海道は私にとって第2の故郷ですので、日程さえ取れれば気軽に出かけられます。もちろんバイクで、となるとお金もかかりますが、まあ北海道を走る魅力の方がそれに勝っているので、特にパワーは必要としません。
それよりは、九州や山陰地方のまだ走ったことのない道の方が私にとってはハードルが高いです。いつかは、というイタさんの北海道ツーのように、いつかは山なみハイウェイや日本海沿いの道を走ってみたいと思っています。
心の年齢は身体の年齢とは正比例しないようですので、これからも夢を実現していきたいと思っています。
イタさんも北海道ツーが実現するまで頑張ってください。