FZXな日々

YAMAHA FZX750を 旅の友として 気ままなツーリングの記録

春の訪れ

2019年04月29日 | Weblog

千葉から大船渡に転居して4か月が過ぎた。今年は暖冬だと言いながら、大船渡では4月20日まで雪が降っていた。地元の人に聞くと、例年なら4月になるとスタッドレスタイヤを夏タイヤに履き替えるそうだが、今年は、思わぬ雪に焦ったドライバーが多かったそうだ。

私は4月14日に履き替えたが、その後の雪は幸い大船渡では積もるほどの雪ではなかった。

来た当初は寒さに震えあがったが、少しずつ体も慣れてきた。私は極寒の旭川で暮らした経験があるので、寒さなんか大したことはないだろうと思っていたが、岩手と北海道では、住まいのつくりも違うが、なによりも暖房器具が比べ物にならない。岩手では、関東で使っていたものと大差ないものを使っている。したがって、とても東北の寒さでは役に立たないのである。

そのせいか、1月末にはインフルエンザで1週間寝込み、すっかり体力を奪われてしまった。しかし、2月に入ると、朝雪が積もっていても、寒いとは感じなくなってきた。慣れとは有り難いものだ。

私のFZXはこんな人間の苦労を知ることもなく、昨年の9月に車検をとった後、近場を少し走っただけで、冬眠してしまった。岩手への転居に際しても、雪のある岩手の道を冬に走ることは有り得ないので、千葉に置いてきた。春になり、凍る日もなくなってくると、ちらほらバイクの姿を見るようになり、私の中でほとんど消えかけていたバイク熱がよみがえってきた。

そこで、3月下旬の天気のいい頃を狙って、千葉からバイクを運んできた。もちろん、運ぶといってもツーリングを兼ねてだったが、たまたまその週の気温が大船渡でも15度以上だったので、春用のライダースーツで千葉を走り出したら、常磐道のいわき辺りから10度を下回るようになり、真冬の気温となって震えあがった。しかたなくレインスーツを上に着こんで何とか寒さをしのぎながら、500kmを走りぬいた。

 

しかし、せっかく運んだのに前述したように、4月になってからは桜の便りと、雪の注意情報を交互に聞くというおかしな天気になり、結局1か月間1回も走ることはできなかった。

 

そんなこんなで、もうFZXな日々も終わりだと決めていたが、よく考えてみると、500km北に来たということは、今まで決して日帰りでは行けなかったところも手の届く距離になったということだ。しかも、今年はRWC(ラグビー・ワールド・カップ)が岩手県釜石市でも開催されるということで、地元では何とか観光客を呼び込もうとしているのだが、いかんせん「RWC、どこでやるの?」と関心はあっても情報がない。

 

せっかく岩手県民になったのだから、私も観光客のひとりになって、岩手探検でもしてみようかと思うようになり、大船渡を拠点としたツー・レポをご披露することにした。今まで応援してくださった皆様にご挨拶することもなく、休止状態のままだったので、とんだ無礼をお許しいただきたい。

 

前置きが長くなったが、4月も末になり久しぶりに良い天気だったので、3月に釜石市まで開通した三陸道を使って行けるところまで行くことにした。三陸道は仙台を起点として八戸まで続く国道45号の高規格道路である。仙台有料道路の利府JCTから鳴瀬奥松島ICまでは有料となっているが、その先は無料区間である。

 

現在宮城県内では気仙沼市内の一部区間が未開通であるが、岩手県に入ると、陸前高田市から大船渡市を通り、RWCの行われる鵜住居(うのすまい)復興スタジアムのある釜石北ICまで開通している。東北道からは、花巻JCTから釜石道を通って釜石北ICまで来ることができる。

 

三陸道の特徴としては、無料区間のためか、SAやPAは一切なく、トイレやGSはICで下りて地元の道の駅などを利用することだ。

 

私の家のそばにある大船渡碁石(ごいし)ICから三陸道に乗ると、20km先の三陸ICのそばに「道の駅さんりく」がある。

ここは越喜来(おきらい)という漁港が近いので、日頃から海産物の直売所として人気がある。今日もGWとあって、朝からウニとホヤの特売をやっていた。どれくらい安いかというと、ホヤは地元でも1個150円ぐらいで売っているのだが、今日は5個で300円という投げ売り価格だった。妻への土産として10個買った。

ホヤは、げんこつくらいの大きさで、象皮のような硬い殻に覆われており、その殻をはいで中にあるオレンジ色の肉を食べるのだが、昭和の時代には宅配便もクールはなかったので、傷みやすいホヤは地元でしか食べられない食材だった。しかし、保冷技術の進歩のおかげで、今では千葉のスーパーでも時折並ぶようになり、食べたことのある人が増えてきたはうれしいことである。「海のパイナップル」と言われるが、味は牡蠣のようなちょっとくせのある味である。

大船渡碁石ICから約50kmの釜石北ICで一旦下道(R45号)に下り、5kmほど北の大槌ICから再び三陸道に乗った。

三陸道は、津波の被害を避けるため海岸から離れたところを通っており、高架道路とトンネルがほとんどなので、景色は単調であり、コースも直線区間が多く峠道もない。時間短縮にはいいのだが走る楽しさはイマイチである。

前述したようにトイレもないので、休憩にはR45号の道の駅を利用するしかない。「さんりく」の次の道の駅は山田町にある「やまだ」で山田南ICが近い。

直売場には海の幸や山の幸が並んでいたが、さんりくで買い物をしたばかりなので、わかめラーメンもおいしそうだったが、わかめソフトクリームを食べた。

また、三陸道に戻ると、Pの標識があった。しかし、寄ってみるとただの空き地で、たぶんチェーンの脱着場なのだろう。

終点は宮古ICだった。ここから北の三陸道は、工事個所が多く、開通部分はバイパスとして供用されている。

大船渡からの走行距離がちょうど100kmを少し過ぎ、時刻も12時に近かったので、今日は宮古までで引き返すことにした。宮古といえば浄土ヶ浜が有名である。津波の被害も受けたが、ほぼ元通りに復興していると聞いていたので、行ってみることにした。

昔、私の子どもたちが小学生だったころ、夏休みのキャンプに来たことがある。8月だったのに雨の日続きとなり、海で泳ぐこともできず、テントの中で寒い思いをしたのを覚えている。平成5年ごろだったと思うが、もう25年も前のことで街を走っても記憶はなかった。

浄土ヶ浜の近くの港の周りは、4.5mという高い防潮堤で囲まれ、まったく海は見えなくなっていた。

防潮堤の外にある宮古港

駐車場は満杯だったがバイクはそれほど多くなかった。隣に止まっていたのは、宇都宮ナンバーと大宮ナンバーで私と同じような歳のライダーだった。

ビジターセンター

浄土ヶ浜の魅力は何といってもその景色にある。真っ白い岩が並んだその景色の美しさは、極楽浄土のようだというので、浄土ヶ浜と名付けられたと聞いたことがある。

案内標識には、お薦め絶景ポイントと書かれていたが、行ってみるとおおざっぱな地図のせいで、絶景ポイントにどうやって行くかがわからない。どうも、この地図は東日本大震災の前に作られた地図のようで、ビジターセンターも載っていない。

ビジターセンターに入ってみると、WiFiもあるようで、ガイドをスマホで見ながら巡れるらしい。英語、中国語、韓国語で説明があったのは親切だと思った。

https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/c1/64b7cbb9e4e467e930dbcc4bdc992699.jpg?1556633022

昔は陸中海岸国立公園だったと思ったが、三陸復興国立公園という名前に変わっていた。ビジターセンターの地下1階が海岸に通じており、展示を見ながら下りていくときれいな船着き場に出た。

遊歩道を歩いてトンネルを通り、御台場展望台を目指す。10分ほど松林の中を歩いて高台に出ると、海が一望できる御台場展望台に着いた。

25年前に見た時はもっと真っ白だったように思ったが、津波で汚れてしまったのかもしれない。夏には、あの浜で泳ぐことができ、あの白い巨岩にも登ることができた。水は澄んでおり、エメラルドに近いきれいな色をしている。

入り江にはスワンボートが泊っていた。

ここは、湖ではなく外洋のはずだが、波は大丈夫なのだろうかと心配になった。

ちょうど、山桜が満開で、きれいに咲いていた。小一時間を散策して過ごし、帰途に就いた。帰りは、三陸道ではなく国道45号の下道を行くことにした。

 

船越湾に入ると、防潮堤の内側は更地になっていた。ここも市街地だったのだろう。賑やかな街並みはなく、8年たっても、建物一つなかった。

防潮堤の外には穏やかな海と、牡蠣の養殖いかだが並んでいた。

海沿いを走る絶景の国道も、今は防潮堤が見えるだけだ。

何もない更地の先には三陸道の高架橋が見える。

少し高台になると、間近に海が迫る。遥か沖合まで、ホタテのいかだだろうか、養殖場が見える。

タブの大島と弁天島。四十八坂という、絶景地。

釜石市鵜住居(うのすまい)にあるRWC会場の鵜住居復興スタジアム。

 釜石市の名勝、釜石大仏。

釜石市から大船渡市へは、三陸道だとトンネルの連続だが、R45号では集落のある海岸を走ったかと思うと、急坂の峠道を上り、また険しい下り坂を経て次の集落へとアップダウンが激しい。こんな険しい上り下りは三陸海岸ならではの醍醐味である。

三陸道を走っている時も、ツーリング仲間に多く出会ったが、ほとんど皆挨拶を交わしあう。ピースサインの人は少なく、敬礼のような挨拶が多い。R45号の下道で出会うバイクは、ソロツーリングの人が多く、バイクもどちらかというと大排気量のツアラーではなく、ネイキッドが多かった。

R45号を外れて県道9号を行くと、津波の被害を受けないよう道路は高台の林の中をくねくねと走っており、昔ながらの家がポツンポツンとまばらに建っているだけで、車も走っておらず町人も全く見かけなかった。走るには楽しい道だが、何しろ海岸線に沿って蛇のように曲がりくねっているので、直線距離ではそれほどではない集落から集落が恐ろしく長い。

ようやく見慣れた大船渡湾に入った時は、正直ほっとした。大船渡のランドマークはセメント工場の大煙突。

本日の走行距離 210km。平均燃費 21.0km/L



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6 コメント

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待ってました!! (イタ)
2019-05-02 18:03:13
ご無沙汰してます。

お元気そうで何よりです。
私も昨年ですが、陸前高田から宮古までツーリングしました。
三陸道がところどころの開通だったため、海沿いを走りました。

海がとてもキレイで、津波があったことを疑うぐらい穏やかだったのを覚えています。

今年も東北方面にツーリング行く予定でいます。
その際には連絡させていただきますのでよろしくお願いします。

Unknown (キム@FZX)
2019-05-02 21:39:29
イタさん>
お久しぶりです。ツーリングをされていることを知り、心強く思いました。
今は、イタさんのような若い人の時代ですから、もっともっと情報を発信してください。そして、若い人はバイクに乗らない、という一般の見方を覆してください。

陸前高田から宮古というと、ほぼ私と同じコースですね。陸中は海の美しさで売っていたのに、海岸にそびえる防潮堤は本当に残念です。

今までの防潮堤が命を守れなかったのですから、自然の前にもっと人間の無力さを謙虚に反省して、自然と共に生きる道を探してほしいと思います。

東北においでの節は、ぜひご一緒しましょう。海の幸をご馳走したいです。
お久しぶりのブログですね。 (たかぴい)
2019-05-05 08:16:25
キムさん こんにちは
FZXを岩手に持っていかれたんですね。

これから夏は八幡平やら十和田湖やら
津軽やらが射程距離に入りますね。
(青森はちょっと遠いかも。)

震災の前にテレビで巨大堤防の番組を
やっていて、たまたまそれをみて、どん
な津波が来ても大丈夫ですよ。と言って
いたのを思い出しました。

結局、その堤防も決壊してしまったので
すが・・・

浜岡原発が海岸にペラペラの堤防を作っていますが、あの水圧にとても耐えられ
るとは思っていません。東名高速なみの
50m幅の堤防がいるのではないかと思っています。

ブログ楽しみにしていますので、東北
旅行記のアップよろしくお願いいたしま
す。






Unknown (kimurak02)
2019-05-05 13:51:00
たかぴいさん>
ご無沙汰でした。 GWはお子様方の帰省で賑やかだったでしょうね。

夏の八幡平は私も期待しています。昔2004年だったと思いますが、東北ツーの折に少し走っただけなので、温泉に入りながらいろいろ回ってみたいと思っています。

浜岡原子力発電所は、東海地震による津波とか、本当に心配ですね。人口が多い静岡県ですから、稼働を停止しない限り、不安は無くなりませんね。

皆んなで声をあげていかないと、子どもや孫に美しい日本を残すことが出来ませんね。
お元気そうで嬉しく思います。 (FireStorm)
2019-06-10 08:58:24
キムさん、こんにちは。大船渡に引っ越されても元気にされているようで嬉しく思います。また、FZXも引き取られたとのこと。さぞかし渋滞の少ない場所で走れることでFZXもさぞかし喜んでいることでしょう。
また、キムさんの楽しい東北ブログを楽しみにしています。
私は退職後はますます北海道に通うようになり退職後の生活を楽しんでいます。先日は利尻島を自転車で一周し、離島の魅力の虜になってしまいました。
8/15(木)、8/16(金)岩手に行きます。 (たかぴい)
2019-08-01 08:49:49
キムさん、こんばんは

8/15(木)、8/16(金)の2日間岩手の
北上にいます。

大船渡までは1時間弱で行けますが、
その期間、大船渡にいらしゃられますか。

私のブログは鍵コメができるので、よろし
かったらメールアドレスを教えてください。

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