ロードサービス

職場からの帰り道、いつもの渋滞を抜けホッとしたとたん、ヘッドライトが消えた。あれっ、球切れかなと思いＨＩＧＨとＬＯＷをカチカチ切り替えてみたが、点かない。

両方同時に切れるはずはないと思い、路肩に寄せ、ヘッドライトのＯＮ・ＯＦＦをやってみるが、まったく点かない。それどころか、テールランプやポジションランプも消えている。何が起こったのだろう？エンジンは動いているし、ニュートラルの緑灯も点いている。

以前、メインキーの接触が悪く、プレートランプが消えていたことがあったので、それかなと思い、メインキーをＯＦＦにしてみた。再びＯＮにして、エンジンをかけようとセルボタンを押したが、反応がなかった。

あららら。。。。こんなところで。。。。。ニュートラルの緑灯とウィンカーだけが生きている。エンジンは動いていたのだから、バッテリートラブルというより、ヒューズがとんだのだろうか。

こんな時のためにロードサービスに入っている。以前、燃料ポンプの不調のため、高速道路上でエンストしたことがあった。その時はロードサービスに未加入だったので、３万円近く搬送費を支払った。

それに懲りて、年会費２０００円と言う格安のロードサービスを紹介され入会したのだ。これを使わない手はない、と電話してみる。まず会員番号を聞かれ、状況を話すと、現在地と車名を尋ねられた。そして、何分で行けるか調べて電話するとのこと。応対はとてもいい。

自宅に電話し、帰りが遅くなることを告げる。いよいよこのバイクも寿命かな、新しいバイクを探し始めた方がいいのかな。。。と内心複雑。時刻は午後７時４０分、温度計は５℃と表示している。素手でいるとだんだん手がかじかんできた。さいわい近くに自販機があったので、缶コーヒーを買って手と体を温める。

ロードサービスから電話があり、３０分ほどで到着するとのこと。ただ、１０ｋｍを超える搬送は、ｋｍあたり６００円実費になるという。ここから家までは１５ｋｍちょっと。１０ｋｍだけ運んでもらい残りの５ｋｍを押していくわけにも行かないので、しかたなく了承した。

ツーリング途中でお世話になる時は、１０ｋｍなんてどこまで運べるだろう。ガソリンスタンドか、バイク屋が近くにあればいいが、遅い時刻だったらどうしようもない。ロードサービスの使い方も考えておかねば。

３０分も暇なので、リアＢｏｘから工具を出し、ヒューズを調べることにした。確かバッテリーのそばにヒューズＢｏｘがあったはずだ。シートを外し、懐中電灯を出してヒューズＢｏｘを開ける。１０Ａが４本と１５Ａが２本並んでささっている。


１本１本取り外してみるが、切れていない。最後の１５Ａを外してみると、プラスチックが焦げている。これだ！


その時、６本のヒューズの端の１０Ａと１５Ａが列から少し離れてあることに気づいた。あれ？もしかしてこれは予備のヒューズでは。。。と思い、１５Ａを抜いて焦げていたヒューズの位置にさしてみた。

その時、大きな音に気づいて目を上げると、荷台が空っぽの４トンくらいのトラックが近づいてきた。運転手が窓を開け、「○○さんですか？」と聞いてきた。「そうです！」と応えると、「今、Ｕターンしますから」と言ってバイクを止めていた空き地に車を寄せた。

「ヒューズが切れたらしいので、今交換したところです。エンジンを掛けてみます。」といってキーをＯＮにすると、ヘッドライトが点灯した。一旦ライトを消し、セルボタンを押すと勢いよくエンジンがかかった。

やったー！やはり予備のヒューズだったようだ。でも、このトラックはどうすればいいんだ？？？と心配していると、「良かったですね～。ここにサインだけください。」と書類をよこした。「あの～、出張料とかはどうなります？」と聞くと、「サービスから支払われますから、ご心配なく」と言ってくれた。

ああ、もう少し冷静に対処してから呼べばよかった、と反省したが、まさか予備のヒューズがあるとは思いもしなかった。でも、かえってロードサービスを試せて良かったとも思える。

トラックの運転手に礼を言って現場を後にしたが、ヒューズがとんだ原因は不明なので、いつまたとぶかもわからない。何とか家までもってくれ。。。と祈るような気持ちでスロットルを握った。

無事、家にたどり着いた時は、よく走ってくれた、とうれしかったが、新しいバイクを探すべきかどうか、ますます悩みそうである。