肘折温泉には3つの共同浴場があります。上の湯、河原湯、疝気湯、それぞれ個性があって素晴らしい温泉です。第17号で紹介した葉山館に泊まった際、せっかくだからと“はしご湯”と決め込みました。
まずは最も有名な上の湯に向かいます。それにしてもすごい雪です。屋根の上も道路端も街中の人が迫り来る正月に備え雪かきに追われています。ちなみにこの時(05.12月下旬)、気象庁のHPによると肘折の積雪は2メーターちょいでした。葉山館から徒歩10分ほどで上の湯に到着です。
思ったより立派な建物です。受付のおばさんに宿で貰った入浴券を手渡し、いざ入浴です。10~15人ほど入れそうな大きめで浴槽は、お地蔵さんの足下から温泉が出ています。投入量も結構あり営業終了時間のすこし前に入りましたがお湯もそれほどくたびれていません。飲泉用のコップも置かれていたため口に含んでみるとくせの無い昆布味です。同浴の先客もやがて上がり、しばし温泉を独占です。
次に向かったのは河原湯、地図を片手にウロウロしていると、湯浴み客らしき地元のおばあさんに遭遇し、道を教えてもらいます。入浴するには、なんとも説明しづらいですが、河原湯近くの民家でお金を払い、カードキーを借り、出たらまたお返しするという一風変わった入浴システムです。観光客にも解放はしていますがなんとも地元臭ぷんぷんの私好みの鄙びた建物です。
中に入ると狭い脱衣所に2~3人が入れる浴槽があります。客は私一人。早速入ってみると、、熱い!モーレツに熱いです!水で埋めたいところですが、先ほど出会ったおばあさんにお湯は熱いけど、地元の人は熱湯が好きだから、出来るだけ埋めないで。と言われていたので、桶で何度もかき回し自然冷却を試みます。結構な時間必死でかきまぜ何とか入れるくらいになりましたが2、3分が限度です。よって、熱いっ!としか記憶がありません。とは言っても地元の人に愛される共同湯はほぼアタリです。
はしご湯のとりを飾るのは疝気湯です。これまた地図を片手にウロウロと探しながら歩きます。迷いながらもなんとか辿り着き、場末のスナック風情のお店に入浴料を払い鍵を開けてもらいます。こちらは河原湯とは打って変わって温めのお湯です。入浴してすぐに30前半とおぼしきお兄さんと同浴となりいろいろと話をしました。
そのお兄さんは地元の方で、一時東京で働いていたようですが地元が恋しくなり、こちらに戻ってきたそうです。雪は多いけどたいしたことは無い、肘折が一番住みやすいよ!と言っていたのが印象的でした。昔は小学校にプールがなく温泉公園の前の堰堤で水泳をやったこと、同級生はほとんどが肘折を離れてしまったこと、いろいろと教えてくれました。私が静岡から来たことを知ると、泊まるとこはあるのか?明日はどこへ行くんだ?といろいろと気に掛けてくれました。地元の人とのやりとりは楽しいもんです。
夕食の時間が迫っていたためお兄さんに別れを告げ、疝気湯を後にしました。辺りはすっかり陽も落ち、ひっそりとした温泉街を足早に帰路につきます。小雪の降る中、肘折の夜は今日もふけていきます。
肘折温泉
上の湯 8時~18時 200円
河原湯 8時~18時 200円
疝気湯 9時~21時30分 200円