賢太郎の物書き修行

IT系と政治関連の事件を中心にコラム風に書いています。趣味は舞台、だけど最近は殆ど観てないな~。

政治家の世襲批判にあえて反論してみる

2008-09-29 14:59:51 | 政治

小泉元首相が政界引退を表明すると同時に後継者として次男の応援を頼んだことがマスコミで批判されている。自民党をぶっ壊すと言った人が世襲とは・・・と批判されている。

政治家の世襲 「民主国家として許しがたい」
国会議員が「世襲」で埋め尽くされる日

だが、、、この世襲批判に敢えて反論してみようと思う。

政治家にとって政治が「家業」になっていて、世襲を繰り返しているのは、政治家という「職業」が後継者難で事業承継が難しいという点にある。

政治家という言葉で思い起こされるのは「汚職」とか「金権」とか「腐敗」などというネガティブなものばかり。肉体労働を3K(きつい、汚い、危険)というが、政治家も精神的には3Kとも言える。小泉首相時代にウシオ電機の牛尾会長が入閣を打診されたときに娘から「朱に交わると赤くなるから止めて」と言われ入閣を断ったという。分別も社会的見識もある人でも政治家というものは「敬して遠ざく」ものと認識しているということを感じ当時非常にショックだったのを覚えている。
更に、政治家は「選挙落ちればただの人(以下)」と言われるように身分保障が非常に脆弱である。なので、政治家という職業に挑戦するのは起業家精神にも富んでいないといけない。また、「公人」と言われる政治家にはプライバシーが制限されるという私生活上の問題もある。
さて、こんな職業で後継者が次から次に生まれてくるだろうか。3K職場は常に人材難に悩まされている。同じように政治家も人材には事欠いているわけだ。すると安定的に人材を供給する方法が必要で、その一つが血縁や姻戚による人材調達ということになる。事業承継と同じく、理念や思想を安定的に継続するためには相当程度の時間をかけて受け継がないといけない。子供や姻戚であればその時間を十分にとれる。

そうであれば、どうすれば政治家の世襲を無くすことが出来るだろう。一つには政治家という職業が「魅力ある」職業として認知されなければいけない。少なくとも小学生の将来の夢にランクインする程度には。しかし、政治家という職業はことさらにマスコミなどでは悪い面が取り上げられるため、職業全体として悪いイメージが根強い。必要だけど近寄りたくないと「下水道」に例える人も居る。その様なイメージを払拭するキャンペーンが必要であろう。尊敬される職業としての政治家というものが必要なのだと思う。
そして、政治家という職業への入り口をもっと増やすことも必要だ。政治系シンクタンクや民間任用の政治ポストがもっと必要だと思う。政治家を選挙民が選ぶとき、実績を元に選ぶことは難しい。どんなに素晴らしいマニュフェストを訴えたとしても、それを実現する力がなくては適わない。世襲が多いのもその実績を担保するという面もある。でなければ官界で実績を上げた官僚が政治家になるという程度しか政治家への道は用意されていない。
自民党が世襲政治家が多いのは伝統政党ゆえのことだし、民主党が官僚出身の政治家が多いのは新興政党ゆえのことなのだ。だから、もっと政治家になるためのキャリアパスが多くなければ多様で活力のある人材の流入は望めないだろう。

現時点の政治を取り巻く環境で世襲が多いのは当然だ。また、それが悪いことともいえない。しかし、より多様で活力のある政治家を望むのであれば、よりオープンな政治環境ということになるのではないだろうか。政治家の私生活や人格ではなく、主張する政策をオープンに批判するメディアも必要だ。


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