night garden > reboot
by Kenny Seed





 今日は新海誠監督の3作を WOWOWでまとめて放送していた。

 これまで多分千本を超える映画を観ていると思うが、映画を観て泣くことはしばしばあれど、声を上げてぼろぼろ涙をこぼして号泣してしまったのは、ダグラス トランブルの " Silent Running " 「サイレント ランニング」 と新海誠監督の「ほしのこえ」の二本だけだ。


「サイレント ランニング」を初めて見たのは確か小学4年生のころサンテレビの放映を観た時だ。

(若干、ネタバレ注意)
 ラスト、主人公の植物学者の決断の後、瓶に入った手紙の如く宇宙に放たれた植物ドームの中、健気に花の世話をするドローン ロボットの姿。
 思わず声をあげて泣いてしまった。
 なぜあのラストにあれほど強く心を揺さぶられるのかは、未だによく分からない。
 その後も、LDやDVDでこの映画を見る機会は何度もあるが、みる度に程度の差はあれ、涙が出てしまう。
ネタバレここまで


 それから随分と年月が経って、またぼろぼろ泣いてしまったのが、新海誠監督の「ほしのこえ」だった。

 なんかね、ああも人の感情に直に触るのはずるいですよ(笑)
 ストーリー、映像、音楽、セリフの一つ一つが、自分が過去に忘れて来たもの、を思い起こさせて。
 あるいは、もし別の人生を歩んでいたら出会っていたかもしれないもの。
 そういうものが沢山あるのだということを突き付けられたような、そんな感覚とともに、いい歳してるのにオイオイと泣いてしまったのです(笑)


 そして今日、また「秒速5センチメートル」を観て泣いてしまった。
 ああ、確かに自分もああいう感情を持っていた頃があったんだ、と。
 あるいは、あの時、あのポイントで別の人生を進んでいたら、こんな事があったのかもしれないと。
 それは映画のストーリーとも重なるところがあって。
 ああ、これが「映画の涙」なんだな、と今更ながらに。

 この懐かしさで締め付けられる感じは「ずるい」(笑)
 これでは泣かずにいられない(笑)



 実はこれは秘密なのだが。
 実家に20年以上中身を出さずに置いてあるカバンがある。

 高校生の頃、アメリカに行った時に持っていったカバンである。
 滞在中に濡れた石鹸をそのまま入れてしまったので石鹸のにおいがしみついてしまった。

 帰国後、しばらくしてふと中身を出そうと開けて、ふっと石鹸のにおいがした瞬間。
 シアトルの朝の乾いた空気、透けるような青い空、夕方の風の匂い、夕焼けや朝焼けの赤い色、草や山の色と匂い、おいしかった食事、風景や思い出や笑顔がわぁっと頭の中でよみがえって湧きあがって。
 カバンをぎゅっと持ったまま、声を上げて泣いてしまった。

 あれは生まれて初めて経験した「ホームシック」だったんだと思う。

 だからそれから、そのにおいが消えないように、ずっとそのまま置いてある。


 新海誠監督の作品を観た時に湧きあがってくるもの、それは「アメリカのカバン」を開けた時と、同じでもあるんです。


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