DrKの株日記

現役医師が仕事の合間をぬって株と格闘するブログ

作業員は汚染水をバケツリレーしてるだけ

2011年04月22日 | Weblog
汚染水の流出ルートについてはほぼ理解できた。

ここで自分は恐ろしいことに気づいた。
原発にいる作業員て何をしてるんだろう?
何を修理しているんだろう?


背筋に冷たいものが走る…
結論を書く。

作業員は汚染水をバケツリレーしてるだけ

びっくりした。
正直、ただただ驚いた。

まずは福島原発がどのような構造になっているかを知っていただきたい。
これほとんど詳細が書かれてないので
理解するのにものすごく苦労した。

BWR発電所の鳥瞰図

BWRが福島原発で
向かって図の左にあるのが原子炉建屋で右にあるのがタービン建屋。
ここでものすごく重要になることがある。
図の地面のラインを良く見て欲しい!
なんとこの二つの施設は半分地下に埋まっているのである!

マスコミの報道を見ているとなんか地下室みたいなのが原子炉やタービン建屋の下の方になぜか分からないけど作られてるってニュアンス。
これが全くの誤解である。

原子炉建屋、タービン建屋の地下ってのはそれぞれの施設の地面より低い所のことをそう呼んでいるのである。

原子炉建屋の一番低いところには格納容器に入ってるサプレッション・チャンバーがある。
ここから汚染水が流れでたらどうなるか?
地下にたまるのである(笑)
だってサプレッション・チャンバーって地下にあるんだもの。

…でよく見ると配水管て格納容器の真ん中よりちょっと上
圧力容器のあたりから赤いパイプがタービン建屋に伸びていて
どうやらそのレベルが地面と同じレベルに見える。
何のことはない
原子炉建屋の地下が全部水没して地面と同じ高さまで水が満たされ
配水管を伝ってお隣りのタービン建屋に入っていったんだ。

右のほうのコイルみたいな形してるのがタービンだと思う。
これほぼ地面と同じ高さ。
これの下に構造から言って復水器があるようだ。
廃棄物処理施設ってのがどこにあるかは不明だが
おそらく海の近く図の奥のほうにあるんじゃないかな?

なにもしないでいたらおそらくタービン建屋が地面と同じ高さまで
水が満ちてきてその地下が水没するんだろう。
それで打ち止め。
あとは海に流れでるだけ。

原発の写真に騙されてるけど実際は地下に埋まってるとこが
ものすごく大きいってのがミソ。

作業員はなにやってるの?
結局、タービン建屋の中でポンプを設置して
同じ建屋内で汚染水の場所を移動させているだけなんです!
そうバケツリレーしてるだけ。
何も修理なんてしてません。
最終的にはタービン建屋の地下が水でいっぱいにならないように
屋外に汚染水を汲み出す準備してるだけ。

循環なんて100%不可能です!
水棺って
結局タービン建屋もすべて水没させて水を外に流す施設を作るってこと?
放射能どれだけ出るんですか?

でもこれだけ水で埋もれてたら爆発はないか…
この図の地面より低いとこが全部水で満たされてるとこ想像してください。

1~3号機建屋、がれき散乱 ロボット映像で判明

ねえ、ロボットってどこ見てたわけ?
圧力容器の配水管のあるところが1階じゃないかな?
だから、水がなくってロボットが入っていけた。
だって地上だし…でその下は全部水没ね。
ロボットのいたところって
圧力容器のてっぺんあたりの階ってことね。

もし海への放水路が地上より低いところにあったら
汚染水が全部海に流れちゃうの当たり前じゃない?
…っていうか本当に他には地上より低い外への配管はないのか?

作業員は水中じゃ作業できないし
外への水の流出を食い止めることはできるのか?

格納容器と圧力容器の地面より上の部分は
水で浸すことができないだろう
それが一定以上水位が上がらないってことか?
地面までで打ち止め。
ここは爆発しないのか?


まとめ。

原子炉建屋とタービン建屋という地面の高さででつながっている
二つの大きなバケツの中に
ひたすら海水をポンプで入れ続けているのが現状。
作業員はそのうちタービン建屋の方のバケツから
少しづつ中の汚水を小さなバケツで外に汲み出す準備をしている。



なんの役にも立たない集中廃棄物処理施設(集中環境施設)

2011年04月22日 | Weblog
福島第1原発 トレンチ水位2センチ低下 2号機

まずは本日の記事から見ていただこう
東京電力は20日、東日本大震災で被災した福島第1原発2号機で、トレンチ(トンネル)内の高濃度の放射性物質を含む汚染水を集中廃棄物処理施設(集中環境施設)に移送する作業を続けた。午後6時現在、トレンチの水位は前日より約2センチ下がった。東電は「移送作業は順調に進んでいる」と話す。

この記事を読んだ人はどう思うだろうか?
汚染水は処理施設に運ばれて順調に処理されている…
恐ろしいミスリードである。

<福島第1原発>「集中環境施設」建屋を汚染水タンクに利用
「集中環境施設は本来、1~4号機から出た放射性物質を含む水を処理する施設。地下だけで約5万4000トンの水をためることができる。汚染水の貯水先として候補になっている建屋は、汚染水を蒸気にし、放射性物質を分離して取り除いたり、フィルターを通すことで放射性物質を除去する設備を持つが、津波で被災した。
処理施設というのは名ばかりでただ単に汚染水の貯蔵タンクとして利用されてるだけ!
だから、処理作業が順調なのでなく処理水を移す作業が順調なんだよ。

福島第1原発:2、3号機の復水器は満水…汚染水移せず
現在、原発で起きている事について理解に困難を極めているのは
東電が敢えて理解させないように仕向けているからだ。

まずは、原子炉建屋タービン建屋があることを理解しておく。
タービン建屋には復水器がある


そしておなじみ東北地方太平洋地震と福島原発メルトダウンから引用ね。


原子炉建屋地下室に溜まり水はあるか?
1-3号機すべての地下室は水没している。4号機は無論、水没していない。

1-3号放射能とタービン建屋地下の溜まり水の流出経路はどこか?
原子炉建屋地下室から主蒸気配管と給水管を通すトンネル経由でタービン建屋に流れ込んでいると推定するのが妥当であろう。

タービン室地下および配管・ケーブル・トレンチの溜まり水
1号のタービン室には18日ころから溜り水が見られるようになり、水深は40cm、放射能濃度は2.9MBq/ccと判明。炉心から流れ出した水が格納容器の破損部経由で原子力建屋地下室に溜まり、あふれてトンネル経由、タービン建屋地下に流れでていることは組成から断定できる。27日から仮設ポンプで復水器へ戻し始めたがすぐ復水器は満杯になり、30日ではタービン室は水深さは半分になっただけ。

2号のタービン室に27日ころから水がたまり始める。溜まった水の水深は1m、放射能濃度は2.9GBq/cc(通常の10,000,000倍)と発表された。しかしこれは間違いで、通常の100,000倍(29MBq/cc)だという。炉心から流れ出していることは組成から断定できる。もれた水量はタービン室地下で長さ100m、幅10mに溜まり仮に水深1mとすれば100m x 10m x 1m = 1,000tonとなる。復水器は一杯で収容できない。そこで東電はこれを復水タンクに移そうとしたがこれも満水。3日かけてサージタンクに復水タンクの水を移し、復水器の水を復水タンクに移す玉突きをやろうとしている。4月9日にようやく完了した。4月10日にタービン室地下から復水器へ汲み上げ開始するという。

3号のタービン建屋地下で24日作業員被曝。溜まった水の水深は1.5m、放射能濃度は3.9MBq/cc(通常の10,000倍)と判明。炉心から流れ出していることは組成から断定できる。復水器は一杯で収容できない。復水器内の水の組成は発表なし。

さてこの溜まり水を復水器に収容しようとしたところ、1号を除きほぼ満水だった。そこで東電はこれを復水タンクに移そうとしたがこれも満水。3日かけてサージタンクに復水タンクの水を移し、復水器の水を復水タンクに移す玉突きをやろうとしている。4月9日にようやく完了したという。

このほか海水配管を通すトレンチが満水で1号機は大部分海水のようだが、2号機は間違いなくタービン建屋の溜まり水が流れこんだ模様。3号機は未調査。海水ポンプや海水スクリーンの電力ケーブルを通すトレンチにも同じ溜まり水が流れ込み、4月1日、海水スクリーン横から高濃度汚染水が取水口の海に漏水しているのが見つかった。これはセメントで漏れ止めしたが止まらない。吸水性高分子ポリマーを流し込んでも止まらない。コンクリート製トレンチの下に敷いた敷石層が水脈となって流出していると見られる。流出量は7ton/h程度、2号機への注水量とほぼバランスしている。敷石層に水ガラス(珪酸ソーダ)を注入して流量は少なくなり、ついに4月6日完全に止まった。濃度はヨウ素で300,000Bq/cc。セシウムで排出基準の1,100,000倍という。

4号機のタービン建屋の地下には水は溜まっていなかったが4月18日になって溜まりはじめたという。1-3号機の汚染水をこれに移すことを検討中と報道される。

5、6号室の地下にも地下水の湧出はあるという。

東電は4月11日からタービン室地下とピットの溜まり水の排水のとりかかるとしている。たとえこれに成功しても原子力建屋地下に溜まる水をどう排水するという大問題がある。ものすごい放射線の下で働くロボットを投入して、また原子力建屋の外から厚いコンクリート壁に穴をあけて排水を始めても、水面がサプレッションチャンバーの破損個所まで下がれば放射性ガスが多量に大気中に漏れ出す。こうして12-16日の悪夢に戻る。現在、この溜まり水が曲がりなりにも水封の原理でガス漏洩を防止しているわけだ。(無論これは私なりの独自の推論で、東電と政府は認めたくなく、目をそらしているが)だから原子炉建屋の排水はここで頓挫するわけ。

通常、化学プラントでは可燃物を扱うから海水配管やケーブルは直接埋葬して可燃物がたまらない構造にする。しかし東電は土木屋が強いからものすごい金がかかるが、世界一高い電力料金を取っているから意に介さない。土木工事量を多くしようとする社内のパワーバランスなのか、巨大な海水配管すら地中に巨大なトンネルを構築してその中を通すことを好む。直接埋設のほうが周囲の土壌から優しい力で支えられるのだが、コンクリート・トンネル内の配管は固定点に集中加重をうけるので破壊されやすい。著者が係わった東京湾の扇島のLNG基地も世界の標準は配管は海上のトレッスル上に設置するが、東電は海底トンネルを掘ってここにパイプを敷設せよと要求する。いつかガス漏れ事故を起こすのではないかと心配だ。

汚染排水の回収作戦
玉突きのやりくりはタービン建屋の地下の汚染水が危険すぎて多分不可能と考えていたが、案の定、10日間空費した挙句、集中廃棄物処理施設にある10,000トンの低レベル汚染水を海に放流して開けたスペース3万トンに2号のタービン室地下の水を回収するという。総量5-6万トンの汚染排水があるという。不足する2万7000トンのタンクを1ヶ月で新設するという。現時点でも7ton/hという高濃度のトレンチの漏れは発見後4日後の4月6日にようやく止めることができた。静岡市がもっていたメガフロートを東電が買い上げて横浜の三菱重工で漏れなどチェック後、福島に持ってゆくことも決まり、4月7日には横浜港に向け曳航中の映像をみた。これは長さ対深さ比が45もあって通常のバージの12に比べ、極端に薄い。荒天で曳航すればホギングやサギングで折れてしまうおそれがある。防波堤などの守られた海面でないと汚染水と一緒に失うおそれがある。

当初、塩の蓄積を回避するために米軍が提案した横須賀から運んだ米軍のバージは着岸したが、4月3日現在配管接続がまだうまく行っていない。もう1隻並べて着岸させ、汚染排水の一時保管タンクにするようだ。

1号機:4月14日未着手、復水器は満杯。

2号機: 4月12日にようやく汚染排水を復水器に移す作業が開始し、14日に660ton移して完了。地下室のレベルは8cm下がったが、再びもとにもどって上昇中である。国際的非難をあびながら中味を海にすてて空にした次の移送先の集中廃棄物処理施設は水漏れ対策中で当分使えず。移送作業は4日19日にはじまったが1万トン移送するのに26日間かかるという。3万トンの容量がるが漏れの可能性があるので地下水位より低い液面とすると1万トンが限度だという。5月末までに別に1万トンの仮設タンクを建設し、メガフロートも接岸させるという。

3号機:4月14日未着手、復水器は空。

これで役者は揃った。
でも、やはり理解不能なので次にまとめを書く。

<汚染水の流れ>

海→ポンプ車→圧力容器→サプレッション・チャンバー→格納容器
→原子炉建屋地下(完全水没)
→タービン建屋地下 

ここまで同じ、次に別ルートに分かれる

①配管・ケーブル・トレンチ→取水口→海(高濃度汚染水)→水ガラスで封鎖
②集中廃棄物処理施設→海(低濃度汚染水)
③復水器→復水タンク→集中廃棄物処理施設(修理中でまだ使用できず)