イタリア北西部の山岳地帯に、東西に走っていて小さな谷がいくつも流れ込むアオスタ渓谷があります。アルプス越えのための二本の交通路をもつ重要な戦略的位置にあり、昔から交通の要所です。この地域には先史時代から人が住んでいて、紀元前25年から支配を始めたローマ帝国が州都のアオスタ市をはじめとする町をつくりました。
今も残るローマ街道 ・ この地域の典型的な村
カトリック教会
11世紀から第2次世界大戦直後までアオスタ渓谷はサヴォイア家が統治する地域で、この間断続的にごく短い年数フランスに支配されたこともありますが、19世紀の中頃イタリア王国の一部となりました。昔はフランス語を話す地域でしたが20世紀にイタリア語が母国語である人々が大量に移り住み、特にファシズムの時代にはフランス語が禁止されるなどしてイタリア化が強引に進められたのです。現在はイタリア語とフランス語の両方が公用語になっています。この州は特別自治州で一部独自の立法権が認められているとのことです。ワインとチーズ製造などの農業と旅行産業が盛んで、最も小さく最も人口が少ない州ですが最も裕福な州のうちの一つです。
その州都である人口約35000人のアオスタ市は渓谷のほぼ中央に位置しています。私たちはここに11日間滞在したのです。山歩きの毎日でしたが、一日だけ市内観光をしました。
アオスタ市役所 ・ 教会の入り口
ローマの遺跡 1 & 2
昔の修道院 ・ 凱旋門
アオスタ市の観光をしたときに、重くて油っぽいイタ飯ではなくて和食の昼食をとることにしました。小さな町なのに和食屋が数軒あるのです。そのうちの一軒「OISHII」は中国人の経営です。昼食時のサーヴィスメニューがあり、リストから2品選んで約千円、3品で約千五百円で500mlのミネラルウオーターが付きます。
偶然同じ料理になりましたが、私と妻が選んだのは握り、エビの中華風ピリ辛、そして天ぷら盛り合わせでした。
握り寿司
握りのタネは良くも悪しくも普通のヨーロッパレベルでしたね。でも寿司飯がやわらか過ぎなく米の一粒一粒が見えて、美味い。山岳地帯で食べる寿司にしてはレベルが高いと思いました。
エビのピリ辛 ・ 天ぷら盛り合わせ
中華風ピリ辛のエビはプリプリで新鮮。結構でした。天ぷらは天つゆの風味が日本のそれに劣りますが、衣をサクサクと揚げていて、たぶん腕のいいコックが揚げたのでしょう。
観光地なので中心部にはいたるところにレストランとカフェがあります。食後に「OISHII」の近くのカフェで飲んだエスプレッソ (イタリアでは普通のコーヒーという) が美味しかったのです。さすが本場。
〔2017年7月〕〔2023年7月 加筆・修正〕