私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~5

2016-08-16 11:12:50 | オムニバス恋愛小説
男の肌に触れた時に不覚にも目頭が熱くなった。
これほどまでにこの肌を、この温もりを求めていたのかと自分の心に驚いていた。
眠気から覚めた男は慣れた手つきで首から乳房へ、
乳房から腰へ移動して柔らかなオンナに触れた。
そして、私の中に乱暴に挿入する。子宮が痙攣する程の男の動き。
どこかで、同じ動きを感じたことがあると思うのは錯覚か?
そして何度も意識を失う程の快感の世界へ導かれ
泣きながら果てた。
「ずっと会いたかったの」
男は煙草を口にくわえた。
不安定な煙が空をさまよっている。
部屋の中を見渡す。
六畳とキッチン風呂とトイレのある1KDの部屋。部屋の中にはベッドだけ。生活用品が何もない。
この男は一体何者だろう。不安と疑心暗鬼の中でまたも身体の芯が疼く。
煙草を吸う唇、その下品な表情、虚ろな瞳、生きることを放棄したような荒廃した雰囲気、
自分の中に生まれた言葉にならない感情、情熱?高揚感?恋情?性欲?支配欲?嫉妬?
「腹減ったな。飯食べに行く」
男はベッドから起きると傍にあるシャツとジーンズに着替えた。
振り返りながら「来たかったら一緒に来れば」そっけなく誘う。
私は、素早く着替え男の後をついていく。
数分程歩くと定食の看板が視界に入った。
男がドアを開けると初老の男が驚いた表情で声をかけた。
「おう、いらっしゃい!久し振りだね。元気だった?」」
初老の店主は横にいる私を見たがすぐに視線を元に戻した。
「今日のおススメ料理は何?」
「今日はサンマの刺身だね」
お店の壁には紙に書いたメニューがギッシリと貼られている。
マグロ、ハマチ、アジの刺身、煮付け、揚げものやてんぷらなどのメニュー。
男はサンマと、ハマチの刺身、むつの煮付けとほうれそうのおひたし、
トマトとアボカドサラダ、そして、ご飯と味噌汁を注文した。
ビールを飲んで料理を待つ。
しばらくすると、注文の品がテーブルに並んだ。
新鮮なサンマの刺身を、口に入れる。
「う~ん、おいしい!秋がお口の中で広がっていくわ」
無邪気に喜ぶ私を見て男の顔が緩んだ。
白く光るご飯と一緒にハマチの刺身もほおばる。
「久しぶりにおいしい食事ができて幸せ」
「大袈裟だな」
二人の間に郷愁にも似た感情が生まれていた。


続く・・・