私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

尽くし過ぎる女~8~

2016-11-12 21:27:59 | オムニバス恋愛小説
夏美の憎悪に満ちた表情に理沙はたじろいだ。
「どうしたの?」
「何か隠してないと言ってるのよ」
さらに語気を強めて言う。
「別に。夏美に隠していることなんて何もないわ」
「そう・・・」
数秒の沈黙の後夏美は言う。
「昨日誰と一緒だったの?」
「誰とって・・」
孝志と一緒だったと言おうとして息を呑む。
孝志に会ったことを口止めされていたことを思いだしたのだ。
「別に・・・会社を出て家に帰ったわ」
「そう・・・なるほどね」
「何?それがどうしたの?」
「猶予を与えたけど無理だったわ。あなた達は嘘をついている。
「あなた達って、誰のこと?」
「孝志とあなたのことよ。
今日昼に孝志にラインで確かめたの。昨日はまっすぐ帰ったって。
二人で口裏を合わせたのね。とぼけても駄目よ」
何が起きたのか?理沙は茫然とした表情で夏美を見つめた。
「どうしてわかったかって?妹が偶然2人でいるところを見たのよ」
「誤解よ」
「誤解ですって。妹は何度も孝志や、理沙と会っているのよ。
誤解するわけないじゃない」
違うわ。違う。誤解している・・・
夏美の形相はもはや何物もはじき返すほど強固なものになっていた。

続く・・・