田島俊介と初めて会ったのは6歳時、幼稚園の帰りでした。
ファミリーレストランで待ち合わせていた田島に
田島俊介さんよ。ご挨拶なさい」と母は照れたような表情で言いました。
私はにこやかに笑う田島俊介に頭を下げました。
笑った唇から黄ばんだ歯が見えました。・・・煙草を吸っているんだわ・・・
と思いながらあまりいい気分はしませんでした。
何故か歯の汚れた感じと彼の奥の本性がリンクしたのです。
その日は三人でとりとめのない話をして食事をしました。
そうしたことが何回かあり、ある日の夜母が言いました。
「田島さんと一緒になるわ」
私がどう思うかなど聞かずに、母は田島と結婚することを決めているようです。
学生結婚をして私を出産したが、男は私と母を捨てて故郷に帰ってしまったこと、
すべての事情を知って結婚してくれると言うのです。
「彼ね、すべてを受け止めるって言ってくれたの。心の広さに感激しちゃった」
少女のように頬を赤らめています。おめでたい人です。
田島は親にも親戚にも一度も会わせてくれません。
子供の私でも不信感を感じるのに母は浮かれています。
田島は裏の顔がある、闇を抱えている、直観で感じました。
田島を観察していると柔和な笑顔、柔らかい口調は
嘘なんじゃないかと感じていました。
私は二人の会話を聞いている時に時折見せる田島の歪んだ表情を
見逃しませんでした。
母に笑顔を見せながら、時折見せる裏側にある闇がその歪んだ表情にみてとれました。
ある時、食事をしている時でした。
ふいに田島と視線がぶつかりました。
田島は私の顔をじっと見つめています。
不快な感情と、説明のできない不気味さを感じたことを今でも忘れません。
悪魔のような淫靡な日々はすぐそこまで訪れていました。
続く・・・
ファミリーレストランで待ち合わせていた田島に
田島俊介さんよ。ご挨拶なさい」と母は照れたような表情で言いました。
私はにこやかに笑う田島俊介に頭を下げました。
笑った唇から黄ばんだ歯が見えました。・・・煙草を吸っているんだわ・・・
と思いながらあまりいい気分はしませんでした。
何故か歯の汚れた感じと彼の奥の本性がリンクしたのです。
その日は三人でとりとめのない話をして食事をしました。
そうしたことが何回かあり、ある日の夜母が言いました。
「田島さんと一緒になるわ」
私がどう思うかなど聞かずに、母は田島と結婚することを決めているようです。
学生結婚をして私を出産したが、男は私と母を捨てて故郷に帰ってしまったこと、
すべての事情を知って結婚してくれると言うのです。
「彼ね、すべてを受け止めるって言ってくれたの。心の広さに感激しちゃった」
少女のように頬を赤らめています。おめでたい人です。
田島は親にも親戚にも一度も会わせてくれません。
子供の私でも不信感を感じるのに母は浮かれています。
田島は裏の顔がある、闇を抱えている、直観で感じました。
田島を観察していると柔和な笑顔、柔らかい口調は
嘘なんじゃないかと感じていました。
私は二人の会話を聞いている時に時折見せる田島の歪んだ表情を
見逃しませんでした。
母に笑顔を見せながら、時折見せる裏側にある闇がその歪んだ表情にみてとれました。
ある時、食事をしている時でした。
ふいに田島と視線がぶつかりました。
田島は私の顔をじっと見つめています。
不快な感情と、説明のできない不気味さを感じたことを今でも忘れません。
悪魔のような淫靡な日々はすぐそこまで訪れていました。
続く・・・