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女達の恋愛事情~人妻久美の場合~6

2016-03-05 18:24:07 | オムニバス恋愛小説
京香との季節が終わろうとしていた。
私は京香を待った。
時に英語スクールの玄関で。
時に、京香の住む駅の改札口で。
時によく行ったイタリアンレストランで。
京香は私の姿を見つけると次第に不快感を露にした。

「京香ちゃんどうして軽蔑したような目で私を見るの?」
「別に」
無機質な京香の声が返ってくる。その度に深い失望が押し寄せてくる。
「京香ちゃん変わったわ。二人の時間楽しかったじゃない」
「何がですか?」
「ねっ、京香ちゃん今日いつものパスタ食べに行かない?」
「予定があります」
「どこに行くの?」
「久美さんに言う必要ありますか?」
入り込めない壁のようなものを感じる。
どうしたの?どうしちゃったの?
英語スクールの帰りに声をかける。
「ねえ、今日一緒に帰れない?」
京香は能面のような表情を向けた。
「予定があるって言ってるでしょ!」
私は意識を失いそうになった。
この場に倒れたらどんなに楽だろう。
何故?突然変わってしまったのか?
そして京香は冷やかに「最近のあなた気持ちが悪いです」と言った。
・・・あなた・・・これ以上の言葉のナイフはないだろう。
京香の態度は徐々に変わっていき、やがて私の姿を見つけると、
不気味なものを見るような視線を無遠慮に投げかけた。
そして、2人の人生に決定的な出来事がおきた。
ある日の深夜、
熟睡しているとベッドが揺れた。
その揺れは徐々に左右に激しくなりマンションが大きく揺れた。
「地震だ。でかいぞ!」夫も飛び起きた。
棚に飾ってある飾りの人形やぬいぐるみが落ちた。
私はベッドから起きると叫んだ。
「京香ちゃん!」
叫びながら財布だけを持つと部屋を飛び出した。

続く・・・