この本はおもしろい!後楽園の丸善で見つけ、一気に読んでしまった。
著者の三澤洋史さんは、新国立劇場の合唱指揮者である。新国立劇
場合唱団を率いていると言えばいいのかしらん。
三澤さんが、国立音大の声楽科出身で、中村健さんのクラスだとは知
らなかった。
その三澤さんが、自身のHPブログに綴った文章からアレンジしてまと
められたのが本書となった。
合唱指揮者のプロらしい、経験談が豊富だ。
英語の発音は、いつも苦労するが、プロにとってもやはり難しいようだ。
スペル母音のローマ字)と発音が1対1で対応していない部分が多いこ
ともその理由の一つではないかしらん。
また、合唱は単にハモればいいということではなく、合唱としての「音」
を作っていくことなど、いろいろな示唆を与えてくれる。
そして、また、オペラ指揮者リッカルド・フリッツァとの軋轢--フリッツァ
(以下F)は、合唱団に自分の指揮を見ることを要求する。しかし、合唱
団は全員が指揮者の棒を見られるわけではない。三澤さんはペンライ
トでFに合わせ、合唱団を指揮する。Fはそれが気に食わない。
そこで大きな軋轢が生じ、二人が正面衝突する。三澤さんはいいもの
(本物の芸術)を作るために絶対に負けない。最後は、Fも最後は理解
してくれる。そんな繰り返しのようだ。欧米人には堂々と主張すべき?
私は、この部分を読んで、畑中先生がある時、なかなかうまく行かない
練習中にご自分にも言い聞かせるように言われた「本物をやろうよ」とい
う言葉を何十年かぶりにちょっと思い出した。
本書には掲載されていないが、三澤さんのブログでは畑中先生のこと
も書かれている。→こちら。
いかにも畑中先生らしい。先生は勉強する人が好きだった。
三澤洋史『オペラ座のお仕事』
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