先のブログ記事に掲載した資料〔=社会保障給付費の見通し〕によれば、少なくとも2025年度までは、社会保障費は伸び続ける見込みとされている。ではその後はどうだろうかと考える時、下の資料1〔=日本の人口の推移〕と資料2〔=今後の人口構造の急速な変化〕を踏まえておく必要がある。
資料2によると、退役世代(65歳~)を支える現役世代(20~64歳)の人数比は、2010年で2.77人→2030年で1.84人→2060年で1.26人と推移する。退役世代を支える現役世代の人数が漸減していく。
資料1によると、生産年齢人口割合は2010年で63.8%→2060年で50.9%、高齢化率は2010年で23.0%→2060年で39.9%と推移する。生産人口が漸減していく中で、非生産人口が漸増していく。
これを素直に直視すると、今後の日本ではあたかも、現役世代は退役世代を支えるためだけに働いているような社会になっていくように思えてしまう。こういう状況がわかっているからこそ、消費増税によって同世代間扶助に徐々に移行していこうとなる。しかし、それだけで社会保障財源を賄えるとは思えない。
消費税率はそう易々と引き上げられるものではないし、そうすべきものでもない。消費税や保険料を含む社会保障費の歳入規模は、簡単に大きくできるものではない。となると、社会保障費の歳出規模を削っていくしかない。そのためには、資料1の「生産人口割合」の折れ線グラフを横這いに戻し、資料2の「14~64歳」と「65歳以上」に当たる部分の面積比を大きくしないための制度改正をしていくことが唯一の手法となる。
年金支給開始年齢の引上げや高齢者医療費の自己負担率の引上げとは、こういうことだ。これまでも、これからも、これが内政上最大の政治課題である。
<資料1>
(出所:社会保障制度改革国民会議資料)
<資料2>
(出所:社会保障制度改革国民会議資料)