「おれこのこと、ちっとも書いてないじゃないのさ」
家の近くのさいたま芸術劇場。
広くて落ち着いていて、素敵空間なので、お散歩がてら時々歩く。
この日は仕事の資料集めで訪れたのだが、あちこちで、いわゆる『芸能人』を見かけた。
私はなんでか知らないが、
芸能人(特に舞台人)をよく見かける。
これは同じ日の出来事だったので特によく記憶しているが、
下北沢で買い物をし、自由が丘の友達に会いにいったら、
両方の場所で、長塚京三さんを見かけた。
そのどちらの場所でも、
長塚京三さんは車を停車するところであった。
自由が丘で目があったときは、ぎょっとしていたようだった。
どう見てもそうは見えない(私)なのに、
フライデー関連の人と思われたのかもしれない。
そんな感じの「ギョ」だった。
銀座では、名高達郎さんが、
奥様のご親戚だかの老女の手をとり、
ホテルまで案内しているところに遭遇した。
そのときの案内の仕方がとても丁寧で、
やさしかったので、「いい人なんだな」と思った。
昔、婚約破棄騒動とかあったけど、
あの時も、結構男らしかった気がする。
ただ、老女には優しかったんだけど、
通行人の私にはなんていうか冷たかったのを覚えてる。
本当は人嫌いなんではないだろうか。
新宿では「写真とってくださらない?」と声をかけられ、
振り返って見ると、北林谷栄さんであった。
ボーイフレンドとご一緒なのだった。
頭の中で「メーイちゃーん」という声がしたが、
なるべく「まったく気付いてませんよ、あたし」風のオーラを出し、
お二人の写真を撮り、風のように去った。
北林さんはおどけて、
とってもチャーミングな格好をしていた。
とても『トトロ』のおばあちゃんの声だった方には見えなかった。
千駄ヶ谷で薬局の帰り、
すっごくかわいい車を運転している美輪明宏様に遭遇した。
一通を逆走しそうになって、車の中で何かわめいてらした。
これは見かけたのではないが、
猫のことで、水谷八重子さん(2代目)とは、
メールのやりとりをしたことがある。
舞台の人以外では、
地元の駅を歩いてたら、ドラマの撮影があって、
香里奈さんが、階段を駆け下りていた。
ちなみに同じ駅で、仕事帰りの夫は「東京事変」さんが、
プロモーションビデオ撮影をしているところ見たそうだ。
高校生の時には、学校の帰りに、
やはり地元のホテルであったが、なぜか、
パジャマ姿&スリッパで友達と走り逃げる本田美奈子さんを見た。
あの頃の彼女は和製マドンナとか呼ばれ無邪気な時代だった。
今はもう天使になっちゃったんだけども。
そして、今はあまり見かけないが、
電車で1時間くらい移動してるときに、
白島靖代さんとずっと一緒だったことがある。
かなり田舎だったのに同じ駅で降りたときには、びっくりした。
あちらもびっくりしていた。
なぜなら途中から車両には私たち二人しかいなかったからだ。
あとは、詳細は省くけれど、
フランソワーズ・モレシャンさん、
水野真紀さん、黒木瞳さん、ピーコさん、
・・・数えあげればキリがない。
中には、すっかり忘れてしまった人もいる。
しかもその殆どがプライベートなときである。
だからいまさら珍しいとも思わなかったが、
この日は東京にいたのではなく、地元さいたま、
徒歩、すっぴん、おまけに、犬と、家族と、お散歩だったのだ。
この方や、(おかんが大好きだ)
この方など。(夫が大好きなので喜んでた)
どうやら、この芝居の稽古らしい。
来月からだって。
久しぶりに舞台、見たいなあ。
加賀さんは必死でオーラを消していた。
私は殆どまったく気付かなかった。
マスクされていたからだ。
すれ違いざまにギロリ、と目が動き、その動きでわかった。
夫が大好きな「阿部ちゃん」だ。
黒木メイサ妊娠でどうなる『新参者』だけど、テレビシリーズは再放送で全部見た。
特別編も見た。
最終回の『加賀さん』と『容疑者』のやりとりが大好きなんだけど、
あれ、もし犯人があの役者さんじゃなかったら、あんな感じにはならなかったと思うよね~。
つまらなかったと思うの。
どんなに上手でも、釣り馬鹿ハマちゃんとか、津川雅彦先生とか、つまんなかったと思う。
あの容疑者はすごかったなあ~。
でもさらには、刑事が阿部ちゃんだったから面白かったのかもしれない。
あの『容疑者』は先述の本田美奈子さんが主役だった『ミスサイゴン』の舞台で、
結構重要な役どころで出演していたのだけど、その当時は『市村(篠原涼子夫)』がスゴイスゴイというので、
そちらのキャストで見たかったの。
諸般の事情でそれはあきらめなきゃいけなかったんだけど、結果、それでよかった。
失敗したな、と思ったのは、何度か見た『レ・ミゼラブル』で、山口祐一郎さんのジャン・バルジャンを見なかったこと。
これは失敗だったなー。だけれど一番の目玉、島田歌穂さんの歌は、そりゃもう、素敵だった。
ホイットニー・ヒューストンの東京ドームのライブより、正直、『通電』した。
いや、ホイットニーだってすごかったんですよ。
ライブ中ずっと、空中ブランコに乗ってる気分だったから。
そういや、あのとき、小さなボビちゃんが舞台に上がってきてね。
当時夫だったボビー・ブラウンとは、ボビーのアルバムに収録されてる曲を一緒に歌ってた。
ホイットニーがうますぎて、ボビーの歌は聞こえんかった。
昔、ほんとに昔だけど、小劇場ばかり回っていた頃があって、
その頃、渡辺えり子さんの主催する『劇団3○○』にはまっていたのだけど、
ずいぶんと時間がたった今になって思い出すのは、そのはまっていた舞台ではなく、
「暗くてきらい」と当時は思い込んでいたデヴィット・ルヴォー演出のチェーホフ関連の芝居、
(ベニサン・ピットもう取り壊されたかな)だった。中でも「三人姉妹」が印象的だった。
『よかった』っていうのではなくて、『忘れられない』が正解。
佐藤オリエさんが特に強烈だったのと、今テレビで大活躍してる高畑淳子さんがすごかった。
あの方、舞台の方がもっと映える。声が通るし、妙な存在感があるし、『怪女優』的ですばらしかった。
だけど一番心に残ったのは、倉野章子さんという女優さん。
子育てから復帰して、14年ぶりだかの舞台だったんだって。
だからか、感性がみずみずしくて、内側から強くほとばしるものがあった。
なんだけど、演技やキャラクター自体はおとなしくて抑える感じのものだったの。
そういえば、この方、舞台以前に、確か、テレビドラマの『あの日の僕をさがして』で、
仙道敦子さんのお母さん役(お父さんは石倉三郎さん)だったと思うんだけど。
あの方のひと色のおかげで、いい舞台がさらにいい舞台に感じられたのよねー。
あの、自我を抑圧するというか、魂を必死に抑えこむ感じの芝居が忘れられない。
時に激しい性格よりも、静かな、もの言わぬ人のほうが、迫力ある。
そういう人の感情の動きをみつけると、心をかき乱される。
そんな感じの女優さんだった。
この方に日本人の誰もが思い描く『心の中のお母さん』をやらせたら日本一かもしれないと思っている。
すごいなあ、と感服したのだった。
言い方は悪いかもしれないけど、私は、大竹しのぶさんの芝居(演技)より、
田中裕子さんの芝居(演技)の方が圧倒的に好きなんだけど、それと何か、通じるものがあるかもしれない。
それにしても倉野章子さんの件で一番驚いたのは、角野卓造さんの奥さんだってこと(意外)。
佐藤オリエさんもお母さん役をしていたことがあって、
確か『思い出に変わるまで』というヒットドラマで今井美樹のお母さん役(お父さんは伊東四朗さん)だった。
そのお母さんも切なくて、とてもよかったんだけど、ちょっと違和感があった。
華をもたせなきゃならない『娘たち』をかすめさせるようなパワーがある女優さんだったから、かも。
ちなみに去年、世田谷美術館に行ったとき、佐藤さんのお父様が亡くなられたばかりで、記念展をやってらした。
いつだったか、お父様が何か授賞なさった折に、オリエさんが父の手を引いて、舞台へ案内したのを覚えてる。
佐藤オリエさんは母親役なんて似合わない。あの人は何をもってしても『女』だ。
かのデヴィット・ルヴォーさんも、
「日本の女優さんには少ないことだけど、オリエはしっかりした主張を持ってる」
って感服してたそうだもの。そして佐藤オリエという女優が好きだとも言っていた。
この人はたくさんの女優さんを演出する機会があったはずなのに、佐藤オリエさんだけを印象的な女優だって言ったのよね。
舞台、いいよねえ。
大舞台も好きだけどさ、やっぱり小劇場もいいなと思う。
そうそう。
黒柳テツコさんのお芝居まだ見ていないので、お達者なうちに拝見したいと思っている。
昔よくセゾン劇場で素敵なポスターかかってたっけ。
和田誠さんじゃないかと思ってみてたけど、どうだったのかな。
ちなみに劇団3○○の舞台は、何度も何度も見に行って、
当時は友達の一人が新宿暮らしだったから、新宿は遊び場になっていて、
稽古帰りの『樋口浩二』さんと『土屋良太』さんが、
なにやら熱心に芝居論ぶっている姿を何度か目撃したことがある。
当時の舞台の台詞に樋口さんを称して「あの腐ったスマップみたいなヤツ?」というのがあったのを今思い出した。
きっと樋口ファンが多いに違いないのに、客席は大爆笑であった。
ちなみに3○○で好きな役者さんは杉嶋美智子さんと東銀之助さんであった。
そして腐ったスマップ、と言い放ったのは多分、杉嶋さんだったように思う。
久保内亜紀さんはどうしてるだろうか?
舞台もいいけど、バレエもね。
今年はローザンヌで日本人女性の菅井円加さん(しかも高校生!)が、
なんと、スカラシップ賞とコンテンポラリー賞の両方をとって、血沸き胸躍る、な状態だったのだが、
あの、ニーナ・アナニアシヴィリが来るっていうではないか!
しかも最後の来日かもしれなくて、最後のブラックスワンかもしれないという。
まあ、年齢考えてもそうだよなあ・・・。
こればかりは、見ておきたい。
ギエムとピエトラガラも同様だ。
それはそうと、オクサナ・シェスタコワは元気かなあ・・・。
でかすぎて、華奢の反対で、かわいかったが、性格は悪そうだった。
スワン・プリセツカヤはどうしてるんだろう。
もし。
これは本当にもしもの世界だけど、
もし、見られるのだとしたら、アンナ・パヴァロアの『瀕死の白鳥』。
プリセツカヤの瀕死の白鳥が死を目前にして尚、必死に生きようとする姿なのに対し、
パヴァロアのは死を迎合するというか死に飲まれるような姿なんだって。
これは数々のバレエ漫画でも言われてきたことだし、目利きの韋駄天お正に至っては、
「アンナ・パヴァロア以外の瀕死の白鳥は認めない」
ときたもんだ。
だけど私、あのひじの関節がない動きをする、
「本物の白鳥かしら?」
と思ってしまったプリセツカヤの瀕死の白鳥が、忘れられないのである。
だから『それ以上』があるのであれば、見たい。
そして見た上で、私の一番はマイヤ・プリセツカヤである、と納得したいのだ。
もしもの世界で一番体現したいのは、やはり競馬と相撲であろう。
『マルゼンスキー』と『ミホノブルボン』と『テイエムオペラオー』には競ってもらいたいし、
『双葉山』と『千代の富士』と『朝青龍』にも戦ってもらわねばならない。
八百長抜きで。
ところで明日は重馬場か。