あるタカムラーの墓碑銘

高村薫さんの作品とキャラクターたちをとことん愛し、こよなく愛してくっちゃべります
関連アイテムや書籍の読書記録も紹介中

LJ読者は、この記事を必読せよ!

2005-10-16 02:23:23 | 何となく、タカムラー気分(お知らせ含む)
  ネタバレあり

『レディ・ジョーカー』 (毎日新聞社) を既読の方は、下記のリンク先の記事をまずはご覧下さい。

2005年10月15日の朝日新聞be 「逆風満帆」元大阪府警本部長 四方修(中)

「うっわ~!」・・・と思われたでしょ? 『LJ』 で起こった事件の内容と、ほとんど違いがありませんから。

つまりこの方は、神崎秀嗣・警視庁捜査一課長 のモデルにあたられるのかしら? ラングスティーヌのソース・アメリケーヌ風 を 食べたられたの!?(←違います)

ちょこっと記事の内容を引用して、『LJ』 と比較してみましょうか。前者が記事、の後者が『LJ』 です。

84年3月に起きた江崎グリコ社長誘拐事件  95年3月に起きた日之出ビール社長誘拐事件
自宅で入浴していた社長をピストルで脅して連れ去り  自宅の前に帰宅したばかりの社長を気絶させ誘拐
現金10億円と金塊100キロ  現金6億円(これは表向き。実は請求金額は20億円)
当時の滋賀県警本部長が辞任直後に本部長公舎で焼身自殺  管理官が公園で焼身自殺(実は犯行グループ<レディ・ジョーカー>の一人と疑われている某刑事の元上司だったため、抗議のために焼身自殺)
アベックを襲い、男性を現金の運び役にした  アベックを襲い、犯行グループ<レディ・ジョーカー>のダミーに仕立て上げた


・・・などなど。

***

ある時代を語る時に欠かせない、社会的にも重大で、しかも未解決の事件。
ある人は 「三億円事件」 を挙げるかもしれませんし、ある人は 「グリコ・森永事件」 を挙げるかもしれません。

「グリコ・森永事件」 の発端、「江崎グリコ社長誘拐事件」が起こった当時、私は小学生でした。(だから「三億円事件」は、リアルタイムには知りません)
お菓子屋さんやスーパーマーケットから商品が消え、しばらくして並べられても、過剰包装された商品を見て、親に買ってもらうのを躊躇した覚えがあります。
だってその頃の小学生にとっては、「おやつのお菓子」が何よりの楽しみだったんですもん。

現実には未解決になってしまった、「グリコ・森永事件」『LJ』 でも未解決といっていいほど、うやむやのまま物語は終わります。
『LJ』 の書評・感想を綴られる方で、その点を指摘して非難される方もいらっしゃるようですが、現実はそんなに甘くもなく、丸く収まらないものです。感想を述べるのは自由ではありますが、「勧善懲悪」・「大団円」でなかったからと否定するのは、おかしいのではないかと思います。

それよりも現実の事件をモデルにして、膨大な資料と確実な取材を糧に、ご自身の中で消化し、再構築して、素晴らしい物語を作り上げた高村薫さんに、畏敬の念と感謝の意を表します。

ああ、この方の作品を読めて、ホントに良かった!


コメントを投稿