久しぶりにやろうかと。
他の皆さんもとっくに比較してるかもしれませんが、私は私なりにやってみます。
但し合田さんは膨大すぎて手を付けられないので、加納さんのみ。 正確に言えば、<合田雄一郎視点の加納祐介>が大半です。
裏を返せば、私の愛は「義兄>義弟」というだけのこと。 だけど義兄弟への愛は∞(無限大)です。
誰か合田さんの比較、やって下さい(他力本願)
タイトル通り、☆単行本『冷血』を前者、★雑誌連載「新 冷血」を後者に並べ、色分けしました。 その方が加筆修正が分かりやすいかな、と。
いかにも「冷血」っぽい色を探したのですが、いかがでしょう?
あ、加納さんが「冷血」という意味ではないですよ、念のため。
全部ねたばれになってますので、未読の方はここでお引き取り下さい。
☆加えてこの正月は、いまは大阪の官舎暮らしの元義兄の男と一緒に、独り身同士、琵琶湖の湖北と兵庫県の豊岡を回る計画もあったのだった。否、計画といっても、新幹線とレンタカーの予約を取っただけだったし、そもそも地裁判事でもある相方はたんに琵琶湖の鮒鮨が目当て、片やこちらはいつの日か買えるときが来るのかどうかも分からない売り農地の下見が目当てという、いい加減な話ではあった。元義兄は二十年も先の定年後に住む土地を探すのかと嗤うが、いざとなれば、こうしてほんとうに爪を土で黒くして野菜畑を這い回っている自分自身を観察するに、余生を土とともに生きたいというのはたぶん本気なのだ。どこまでも〈たぶん〉だが、それで何の不都合がある。 (『冷血』上巻p179)
加納さんとの現時点での関係をそれとなく描写しているこの部分は、連載時からかなりの加筆修正がみられます。
次の「サンデー毎日」掲載分を2つ、合わせる前に余分なものを抜いて、こねくり回して調味料加えておいしく焼き上げました、という感じ?
まずはひとつめ。
★気楽な独り身でも年末年始はそれなりに予定があり、この正月は一寸思うところがあって、琵琶湖の湖北と、兵庫県の豊岡を回るつもりにしていたのだった。それほど綿密な計画を立てていたわけではなく、新幹線とレンタカーの予約だけ取ってあったのだが、西が丘の現場を見れば、予約は問答無用でキャンセルだった。こんな事態もあろうかということで、いまは大阪の官舎暮らしの元義兄にも「行くかもしれない」という程度の言い方しかしなかったし、久しぶりの遠出と言っても、所詮は彷徨に毛が生えたような大人の気まぐれだったから、「また今度」と自分に言い聞かせればいいだけの話ではあった。 (「サンデー毎日」2010年9月26日号 連載第22回)
連載では、合田さんの方が「行くかもしれない」と非常に曖昧。
単行本では、しっかり計画が立てられてる。
続いてふたつめ。
★翌日、雄一郎は数年前から何となく考えてきた兵庫県の山林を一つ買う決心をしていたが、 (「サンデー毎日」2011年10月9日号 連載第73回)
連載も終わる頃に唐突に、山林購入を考えてる合田さんが出てきたら、そら読者も吃驚仰天ですわ。
単行本では、「山林」→「農地」に変わりました。
☆それから、自分の携帯電話を開いた勢いで、元義兄の官舎の留守番電話にも短いメッセージを入れた。今日、北区の事件に駆り出されたので正月が無くなった。また手紙を書く、と。 (『冷血』上巻p180)
★それから、携帯電話を開いた勢いで、元義兄の官舎の留守番電話にも短いメッセージを入れた。今日、北区の事件に駆り出されたので、正月が無くなった。また手紙を書く、と。 (「サンデー毎日」2010年9月26日号 連載第22回)
ここはほとんど変わってませんね。
単行本で「自分の携帯電話」と追加されただけ。
☆そうして日付が変わるまでと決めて、雄一郎も溜まっていた個人用の携帯メールを開いた。『残念。君の時間が空くときに備えて、正月は小生が現地の下見に行き、後日写真を送ろう。早期解決を祈る』 (『冷血』上巻p222~223)
「サンデー毎日」にはありません。
唯一と言ってもいいほどの追加部分。(加筆修正ではなく、純粋に追加部分)
明確に「元義兄から」とか「加納祐介から」とは書かれてませんが、内容から加納さんからと判断できますね。(こんなメールは義兄しか打たれへんわ!)
返信が来たのは加納さんだけではないけれど、合田さんが最初に読んだのは加納さんのメール。
☆あと半時間ほどで新年になるというとき、めずらしく大阪地裁判事の元義兄から携帯電話がかかってきた。「そっちはどんな様子だ?」そう聞くので、「年明けに動きがあるかもしれないし、ないかもしれない」と答えると、「そうか、少し期待してもいいということだな」という返事があった。どちらも家庭をもつのか否かの決断を先送りにしながら四十を越えてしまい、互いに相手が先々の人生をどう考えているのかを探り合いながら、たまには小旅行でもしようと話し合ったのが夏のことだった。結局、片方の予定が立たず、今度もまた二人しての旅行は霧散してしまったが、こうして新年を迎える前に、元義兄は元義兄でまた懲りずに何かを期待し、雄一郎も何かを期待して、「じゃあ、よいお年を」と言い合う。 (『冷血』上巻p246)
★あと半時間ほどで新年になるというとき、めずらしく大阪地裁判事の元義兄から携帯電話がかかってきた。「そっちはどんな様子だ?」そう聞くので、「年明けに動きがあるかもしれないし、ないかもしれない」と答えると、「そうか、少し期待してもいいということだな」という返事があった。互いに四十を越え、相手が先々の人生をどう考えているのかを探りながら、たまには小旅行でもしようと話し合ったのが夏のことだった。こうして新年を迎える前に、元義兄は元義兄で何かを期待し、雄一郎も何かを期待し、「じゃあ、よいお年を」と言い合う。 (「サンデー毎日」2010年11月21日号 連載第30回)
ここは見逃せない箇所がいっぱい! あえて個別で取り上げる。
★互いに四十を越え、相手が先々の人生をどう考えているのかを探りながら、
が、単行本では
☆どちらも家庭をもつのか否かの決断を先送りにしながら四十を越えてしまい、互いに相手が先々の人生をどう考えているのかを探り合いながら、
ですよ! ちょっと、いろいろ裏読みしてしまうじゃないの!
ツッコミどころもう一つ、単行本で追加されたところ。
☆今度もまた二人しての旅行は霧散してしまったが、
・・・つまり、義兄が大阪で暮らすようになってから、「二人しての旅行」の計画が何度かあり、お流れになったということ?
ここで思い起こされるのが『太陽を曳く馬』。
合田さんは加納さんに「ニューヨークへ行くべきだ」と勧めてました。
それを受けて加納さんは「年末にニューヨークに行こうと思う」と手紙で返事しました。
(但し確実にニューヨークへ行ったのかどうかは不明)
『冷血』下巻では、合田さんは戸田吉生に「去年(※)の三月、一寸ニューヨークへ行ってきたんだ」と話してました。(※2002年)
ということは、二人は一緒にニューヨークへは行かなかった、ということか?
では、最後のツッコミどころ。
★元義兄は元義兄で何かを期待し、雄一郎も何かを期待し、
が、単行本では、
☆元義兄は元義兄でまた懲りずに何かを期待し、雄一郎も何かを期待して、
と、ここも追加。
「また懲りずに」・・・って、もしや合田さん、加納さんを生殺し状態にしてるのか?
それともコナをかけているのは加納さんの方?
いざというときの、「言葉」が足りないよね、この義兄弟は。手紙やメールでのやりとりで、安心しきってるんじゃないの?
こういうところがもどかしくて、好きなところではあるんだけど。(空想と妄想の余地があるからね)
☆またその間に、大阪の判事宛てに《神戸市長田区駒ケ林町はどんな町? 時間が空いたら返信乞う》と送っておいた私用メールに応えて、元義兄から短い返信があった。それに曰く、『明石出身の事務官に聞いた。古い漁師町で、小さな漁港がある。震災で壊滅する前からさびれていたそうだ。住宅は少しずつ再建されているが、復興住宅へ移った世帯も多く、市道も海岸通りもまったく人けがない。いまはイカナゴ漁が始まっているが、駒ケ林地区から出ている漁船は少ない。JRからも少し距離があり、昔からある商店街はシャッター通りになっているが、ハイカラな神戸らしからぬ田舎町の風情がある、といったところだ。ひょっとして、朗報か?』
いつもながら簡潔で文学的なメールだった。 (『冷血』上巻p283)
★またその間に、大阪の判事宛てに《神戸市長田区駒ケ林町はどんな町? 時間が空いたら返信乞う》と送っておいた私用メールに応えて、元義兄から短い返信があった。それに曰く、『明石出身の事務官に聞いた。古い漁師町で、小さな漁港がある。震災で壊滅する前からさびれていたそうだ。住宅は少しずつ再建されているが、復興住宅へ移った世帯も多く、市道も海岸通りもまったく人けがない。いまはイカナゴ漁が始まっているが、駒ケ林地区から出ている漁船は少ない。JRからも少し距離があり、昔からある商店街はシャッター通りになっているが、ハイカラな神戸らしからぬ田舎町の風情がある、といったところだ。ひょっとして、君のほうは朗報か?』
いつもながら簡潔なメールだった。 (「サンデー毎日」2010年12月26日号 連載第35回)
単行本で「君のほうは」が省かれた。
逆に「文学的な」が付加されたのが、いかにも加納さんにふさわしい。
『レディ・ジョーカー』でも根来さんに、私人としての加納さんはこんな感じだって、見抜かれてたもんね。
それでは下巻。
☆「私たち一人一人にとって、世界を埋めるものは多かれ少なかれ異物なのだ。私にも、もう四半世紀も付き合っている男友だちがいるが、考えてみれば、そいつは私にとって誰よりも大きな異物なのだと思う。異物だから、それについてあれこれ考えるのだと思う」 (『冷血』下巻p220)
★「私たち一人一人の世界を埋めるものは、多かれ少なかれ異物なのだ。私にも、もう四半世紀も付き合っている男友だちがいるんだが、考えてみれば、そいつは私にとって誰よりも大きな異物なのだと思う。異物だから、それについてあれこれ考えるのだと思う」 (「サンデー毎日」2011年8月21・28日号 連載第67回)
『冷血』中、合田雄一郎・最大の告白。
だけど加納さんに向かって、直截告白してないんだよね。
ああ、加納さんに聞かせてやりたい。どんな反応するのか、見てみたい。
☆そうしてクリスマス前には、大阪の元義兄から今年は湖北に正月の宿を取ったから間違いなく来いよと電話があって気持ちがふとそちらへ飛んでいったり、 (『冷血』下巻p261)
★また少し自問自答する雄一郎がおり、かと思えばクリスマス前には、大阪の元義兄から今年は湖北に正月の宿を取ったから間違いなく来いよと電話があって気持ちがふとそちらへ飛んでいったり、 (「サンデー毎日」2011年10月9日号 連載第73回)
合田さんは2004年の年末から2005年の年初めまで、加納さんと過ごしたようです。
めでたし、めでたし。
が。
加納さん好きとしては、唯一許し難いのは、
貴代子の名前の表記はあるのに、加納祐介の「か」の字も「ゆ」の字もない!
ということ。
高村さんお願いします。 十数年後の文庫化では、せめて一度くらい「加納祐介」の表記を入れてください!
他の皆さんもとっくに比較してるかもしれませんが、私は私なりにやってみます。
但し合田さんは膨大すぎて手を付けられないので、加納さんのみ。 正確に言えば、<合田雄一郎視点の加納祐介>が大半です。
裏を返せば、私の愛は「義兄>義弟」というだけのこと。 だけど義兄弟への愛は∞(無限大)です。
誰か合田さんの比較、やって下さい(他力本願)
タイトル通り、☆単行本『冷血』を前者、★雑誌連載「新 冷血」を後者に並べ、色分けしました。 その方が加筆修正が分かりやすいかな、と。
いかにも「冷血」っぽい色を探したのですが、いかがでしょう?
あ、加納さんが「冷血」という意味ではないですよ、念のため。
全部ねたばれになってますので、未読の方はここでお引き取り下さい。
☆加えてこの正月は、いまは大阪の官舎暮らしの元義兄の男と一緒に、独り身同士、琵琶湖の湖北と兵庫県の豊岡を回る計画もあったのだった。否、計画といっても、新幹線とレンタカーの予約を取っただけだったし、そもそも地裁判事でもある相方はたんに琵琶湖の鮒鮨が目当て、片やこちらはいつの日か買えるときが来るのかどうかも分からない売り農地の下見が目当てという、いい加減な話ではあった。元義兄は二十年も先の定年後に住む土地を探すのかと嗤うが、いざとなれば、こうしてほんとうに爪を土で黒くして野菜畑を這い回っている自分自身を観察するに、余生を土とともに生きたいというのはたぶん本気なのだ。どこまでも〈たぶん〉だが、それで何の不都合がある。 (『冷血』上巻p179)
加納さんとの現時点での関係をそれとなく描写しているこの部分は、連載時からかなりの加筆修正がみられます。
次の「サンデー毎日」掲載分を2つ、合わせる前に余分なものを抜いて、こねくり回して調味料加えておいしく焼き上げました、という感じ?
まずはひとつめ。
★気楽な独り身でも年末年始はそれなりに予定があり、この正月は一寸思うところがあって、琵琶湖の湖北と、兵庫県の豊岡を回るつもりにしていたのだった。それほど綿密な計画を立てていたわけではなく、新幹線とレンタカーの予約だけ取ってあったのだが、西が丘の現場を見れば、予約は問答無用でキャンセルだった。こんな事態もあろうかということで、いまは大阪の官舎暮らしの元義兄にも「行くかもしれない」という程度の言い方しかしなかったし、久しぶりの遠出と言っても、所詮は彷徨に毛が生えたような大人の気まぐれだったから、「また今度」と自分に言い聞かせればいいだけの話ではあった。 (「サンデー毎日」2010年9月26日号 連載第22回)
連載では、合田さんの方が「行くかもしれない」と非常に曖昧。
単行本では、しっかり計画が立てられてる。
続いてふたつめ。
★翌日、雄一郎は数年前から何となく考えてきた兵庫県の山林を一つ買う決心をしていたが、 (「サンデー毎日」2011年10月9日号 連載第73回)
連載も終わる頃に唐突に、山林購入を考えてる合田さんが出てきたら、そら読者も吃驚仰天ですわ。
単行本では、「山林」→「農地」に変わりました。
☆それから、自分の携帯電話を開いた勢いで、元義兄の官舎の留守番電話にも短いメッセージを入れた。今日、北区の事件に駆り出されたので正月が無くなった。また手紙を書く、と。 (『冷血』上巻p180)
★それから、携帯電話を開いた勢いで、元義兄の官舎の留守番電話にも短いメッセージを入れた。今日、北区の事件に駆り出されたので、正月が無くなった。また手紙を書く、と。 (「サンデー毎日」2010年9月26日号 連載第22回)
ここはほとんど変わってませんね。
単行本で「自分の携帯電話」と追加されただけ。
☆そうして日付が変わるまでと決めて、雄一郎も溜まっていた個人用の携帯メールを開いた。『残念。君の時間が空くときに備えて、正月は小生が現地の下見に行き、後日写真を送ろう。早期解決を祈る』 (『冷血』上巻p222~223)
「サンデー毎日」にはありません。
唯一と言ってもいいほどの追加部分。(加筆修正ではなく、純粋に追加部分)
明確に「元義兄から」とか「加納祐介から」とは書かれてませんが、内容から加納さんからと判断できますね。(こんなメールは義兄しか打たれへんわ!)
返信が来たのは加納さんだけではないけれど、合田さんが最初に読んだのは加納さんのメール。
☆あと半時間ほどで新年になるというとき、めずらしく大阪地裁判事の元義兄から携帯電話がかかってきた。「そっちはどんな様子だ?」そう聞くので、「年明けに動きがあるかもしれないし、ないかもしれない」と答えると、「そうか、少し期待してもいいということだな」という返事があった。どちらも家庭をもつのか否かの決断を先送りにしながら四十を越えてしまい、互いに相手が先々の人生をどう考えているのかを探り合いながら、たまには小旅行でもしようと話し合ったのが夏のことだった。結局、片方の予定が立たず、今度もまた二人しての旅行は霧散してしまったが、こうして新年を迎える前に、元義兄は元義兄でまた懲りずに何かを期待し、雄一郎も何かを期待して、「じゃあ、よいお年を」と言い合う。 (『冷血』上巻p246)
★あと半時間ほどで新年になるというとき、めずらしく大阪地裁判事の元義兄から携帯電話がかかってきた。「そっちはどんな様子だ?」そう聞くので、「年明けに動きがあるかもしれないし、ないかもしれない」と答えると、「そうか、少し期待してもいいということだな」という返事があった。互いに四十を越え、相手が先々の人生をどう考えているのかを探りながら、たまには小旅行でもしようと話し合ったのが夏のことだった。こうして新年を迎える前に、元義兄は元義兄で何かを期待し、雄一郎も何かを期待し、「じゃあ、よいお年を」と言い合う。 (「サンデー毎日」2010年11月21日号 連載第30回)
ここは見逃せない箇所がいっぱい! あえて個別で取り上げる。
★互いに四十を越え、相手が先々の人生をどう考えているのかを探りながら、
が、単行本では
☆どちらも家庭をもつのか否かの決断を先送りにしながら四十を越えてしまい、互いに相手が先々の人生をどう考えているのかを探り合いながら、
ですよ! ちょっと、いろいろ裏読みしてしまうじゃないの!
ツッコミどころもう一つ、単行本で追加されたところ。
☆今度もまた二人しての旅行は霧散してしまったが、
・・・つまり、義兄が大阪で暮らすようになってから、「二人しての旅行」の計画が何度かあり、お流れになったということ?
ここで思い起こされるのが『太陽を曳く馬』。
合田さんは加納さんに「ニューヨークへ行くべきだ」と勧めてました。
それを受けて加納さんは「年末にニューヨークに行こうと思う」と手紙で返事しました。
(但し確実にニューヨークへ行ったのかどうかは不明)
『冷血』下巻では、合田さんは戸田吉生に「去年(※)の三月、一寸ニューヨークへ行ってきたんだ」と話してました。(※2002年)
ということは、二人は一緒にニューヨークへは行かなかった、ということか?
では、最後のツッコミどころ。
★元義兄は元義兄で何かを期待し、雄一郎も何かを期待し、
が、単行本では、
☆元義兄は元義兄でまた懲りずに何かを期待し、雄一郎も何かを期待して、
と、ここも追加。
「また懲りずに」・・・って、もしや合田さん、加納さんを生殺し状態にしてるのか?
それともコナをかけているのは加納さんの方?
いざというときの、「言葉」が足りないよね、この義兄弟は。手紙やメールでのやりとりで、安心しきってるんじゃないの?
こういうところがもどかしくて、好きなところではあるんだけど。(空想と妄想の余地があるからね)
☆またその間に、大阪の判事宛てに《神戸市長田区駒ケ林町はどんな町? 時間が空いたら返信乞う》と送っておいた私用メールに応えて、元義兄から短い返信があった。それに曰く、『明石出身の事務官に聞いた。古い漁師町で、小さな漁港がある。震災で壊滅する前からさびれていたそうだ。住宅は少しずつ再建されているが、復興住宅へ移った世帯も多く、市道も海岸通りもまったく人けがない。いまはイカナゴ漁が始まっているが、駒ケ林地区から出ている漁船は少ない。JRからも少し距離があり、昔からある商店街はシャッター通りになっているが、ハイカラな神戸らしからぬ田舎町の風情がある、といったところだ。ひょっとして、朗報か?』
いつもながら簡潔で文学的なメールだった。 (『冷血』上巻p283)
★またその間に、大阪の判事宛てに《神戸市長田区駒ケ林町はどんな町? 時間が空いたら返信乞う》と送っておいた私用メールに応えて、元義兄から短い返信があった。それに曰く、『明石出身の事務官に聞いた。古い漁師町で、小さな漁港がある。震災で壊滅する前からさびれていたそうだ。住宅は少しずつ再建されているが、復興住宅へ移った世帯も多く、市道も海岸通りもまったく人けがない。いまはイカナゴ漁が始まっているが、駒ケ林地区から出ている漁船は少ない。JRからも少し距離があり、昔からある商店街はシャッター通りになっているが、ハイカラな神戸らしからぬ田舎町の風情がある、といったところだ。ひょっとして、君のほうは朗報か?』
いつもながら簡潔なメールだった。 (「サンデー毎日」2010年12月26日号 連載第35回)
単行本で「君のほうは」が省かれた。
逆に「文学的な」が付加されたのが、いかにも加納さんにふさわしい。
『レディ・ジョーカー』でも根来さんに、私人としての加納さんはこんな感じだって、見抜かれてたもんね。
それでは下巻。
☆「私たち一人一人にとって、世界を埋めるものは多かれ少なかれ異物なのだ。私にも、もう四半世紀も付き合っている男友だちがいるが、考えてみれば、そいつは私にとって誰よりも大きな異物なのだと思う。異物だから、それについてあれこれ考えるのだと思う」 (『冷血』下巻p220)
★「私たち一人一人の世界を埋めるものは、多かれ少なかれ異物なのだ。私にも、もう四半世紀も付き合っている男友だちがいるんだが、考えてみれば、そいつは私にとって誰よりも大きな異物なのだと思う。異物だから、それについてあれこれ考えるのだと思う」 (「サンデー毎日」2011年8月21・28日号 連載第67回)
『冷血』中、合田雄一郎・最大の告白。
だけど加納さんに向かって、直截告白してないんだよね。
ああ、加納さんに聞かせてやりたい。どんな反応するのか、見てみたい。
☆そうしてクリスマス前には、大阪の元義兄から今年は湖北に正月の宿を取ったから間違いなく来いよと電話があって気持ちがふとそちらへ飛んでいったり、 (『冷血』下巻p261)
★また少し自問自答する雄一郎がおり、かと思えばクリスマス前には、大阪の元義兄から今年は湖北に正月の宿を取ったから間違いなく来いよと電話があって気持ちがふとそちらへ飛んでいったり、 (「サンデー毎日」2011年10月9日号 連載第73回)
合田さんは2004年の年末から2005年の年初めまで、加納さんと過ごしたようです。
めでたし、めでたし。
が。
加納さん好きとしては、唯一許し難いのは、
貴代子の名前の表記はあるのに、加納祐介の「か」の字も「ゆ」の字もない!
ということ。
高村さんお願いします。 十数年後の文庫化では、せめて一度くらい「加納祐介」の表記を入れてください!
昨年は、からなさんのお陰で、更に深い妄想の世界へ足を踏み入れることが出来ましたこと、重ねてお礼申し上げます。m(__)m
そして、早速の加納さん登場シーン、連載と単行本の違い記事!
こうして比べてみると、違いがすごく分かりやすいです。
私は、連載は読みっぱなし、単行本もやっと下巻に入ったばかりなので、確かこんな記述あったよね???ってうろ覚えで、こうして書いて頂くと、その僅かな違いから、更に深い妄想へと浸れます。
そして、ずぶずぶ・・・。もう、這い上がれない(笑)
単行本、まだ完読していないとは言え、気になるあにシーンやこのシーンは、即チェックしましたので、ネタバレの心配無しで、読ませて頂きました。
今年も、からなさんの深い高村作品検証を指針として、こっそりと、やっぱり捩れ目線で作品を愛していきたいと思いますので、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます!!!
コメントなさったのは「ああ、あなたですね」(←古畑●三郎にあらず)と、だいたい見当ついてるんですが(アクセス解析をしてないので正確には分からないのです)、もしかしたら間違えているかもしれません。
というわけで、少々返信しづらいです・・・ごめんなさい。
まだハンドルネームは決めてらっしゃらない? ・・・ということにしておきましょう。
決まったら、またお知らせくださいね。
>ネタバレの心配無しで、読ませて頂きました。
あ! ネタバレ警告出してませんでしたね。 先ほど追記しました。
あまり出て来ない加納とのやり取りの部分だけを取り上げても、
けっこう違いがあるのですね。
まだ単行本を一読しただけなので、次は付箋紙を片手に、
じっくり読み込んでいきたいと思います。
読めば読むほど、地どりがしたくなります。