本当ですから!!
ただ フラグが回収しきれてないだけですから!
「っと・・・、この辺か」
武中は排気口から出た、かなりの時間をあの狭い場所を這っていた。当然体全体が硬い、それを少し伸ばしてから進んだ。
「もう少しだぜ・・・、博」
目つきが鋭くなる、この男が言った”博”という人物が関係しているらしい。ライフルを強く握り締め、次に誰かに会えば容赦なく撃ち殺すつもりでいる、そんな気迫があった。
誰もいない廊下だがゆっくりと進む、物音を立てずに目的地の場所はわからないがこの先を進めばいずれ見えてくる。
なんとなく空気がにごり始めたような気がした、緊張が全身をめぐる。この先に自分の探している敵がいる。息子である博を殺した犯人、いやこのゲームの首謀者の1人。
「何だね?君は」
突如声が聞こえた、どうやらいつの間にか背後を取られていたらしい。それは濁った空気に気をとられて、自分がどこにいるのかを把握していなかった武中のミスである。
「やあ、なんだ・・・参加者か、ならここはゴールだよ。おめでとう」
武中はあたりを見回す。誰もいる気配はなさそうである。
「賞金は君のものだよ、渡すから受け取りにきたまえ」
さらっと、まるで飴玉でも渡すかのような口ぶりで言い放った。その言葉に逆上してしまった武中は銃を向ける。
「何のつもりだね?それではせっかくの賞金も無くなるぞ」
「・・・・俺は金目的じゃねえしな、俺は、息子の無念を晴らしに来たんだ」
銃を構えたまま近づく、目の前の男は全く動じる気配はない。その様子を見て武中は心中穏やかではない、自分が圧倒的不利な状況で尚、この余裕。
武中は引き金を引きたくて仕方なかった、だが今すぐに殺すわけにもいかない。
他の人間の場所も聞かないとならない。
「なぜ・・・こんなバカなゲームをやってる」
気を静める為に言葉を発した、だがこれが逆に自分の判断を間違えさせる結果になる。
「なぜ?さあ、暇つぶしだろうか」
この言葉には耐えれなかった、引き金にかかっている指に力が入る。だが、目の前にいるはずの相手には届かなかった、なぜか背中に冷たい感覚が走る、その次には鋭い痛みに襲われた。
「ぐぁっ・・ぐっ・・・」
「おいてめぇ・・・何ころされそうになってるんだよ」
「ああ・・・・君か、広末君」
広末は目の前に現れた人間を次々殺しこの部屋へとたどり着いた。返り血はもう黒く変色してまるで漆黒の衣を羽織った悪魔のような、そんな風貌を思わせるものだった。
「てめぇっ・・・ごほっ」
武中は最後の力を振り絞って立ち上がる、もう銃など構える余裕などないはずなのに銃口を広末に向ける。
「邪魔をするな!! 俺は息子の博の無念を晴らすまでは死ねないんだ!!」
銃口を突きつけて引き金を引こうとする、だが負傷の為動きが鈍い。当然即座に対応した広末のナイフが先に当たる、首を切られた武中は噴水のように血しぶきを上げて倒れた。
「っち・・・、テメーこんなつまらない殺しをいつまで続けさせるんだよ」
「つまらない殺し?君は”自由に人が殺したい”と私についてきたのではないのか?」
「ちげーよ、俺はよ自分の望む殺しがしたいんだよ、喚き騒ぎそして豚のように無様に逃げ惑うような」
「まだ他にも人数がいるじゃないか、全員殺し終えたら次のゲームを考えてやる。さっさと全員殺すんだな」
複数の足音が聞こえた、恐らく5人以上はいるだろう。それは広末が通ってきた道から聞こえてきた。その音を待ちわびてたかのように表情が濁る、瞳孔が開き口がまるで何かをむさぼってるかのように開く。
「きた・・・きたぜ・・・きたきた」
「何のことかね?」
「俺が仕込んでた面白い玩具だよ」
足音が止まる、広末の目の前には向島達が居た。
「玩具だと?ふざけるな!」
「いいな、怒りの表情は、ひねり潰したくなる」
そういいナイフを構える。
「コイツは人を殺しすぎて刃がボロボロなんだ・・・・楽には死ねないぜ?」
「っく・・・ん・・・」
岩崎は目を覚ました、何者かに体をゆすられているようだった。
「・・・っちゃん」
何故か蝉の声が聞こえた、そして懐かしい匂い木々達が発する穏やかな匂いに包まれていた。
「けんちゃん、危ないよ・・・帰ろうよ」
誰かが岩崎の腕を引っ張っている、その腕はか細く子供のようであった。ふと岩崎はこれが子供の頃の記憶だという事に気づく。
「大丈夫だって、さっきあの洞窟に逃げていくのが見えたし!」
岩崎とその友人である田中は洞窟に入っていった、幼い頃の遊びといえばヒーローごっこなどである、岩崎達は洞窟を敵のアジトと称して入り浸っていた。
だが、この日は運がなかった。
稀に見る大雨であった、それになぜか水滴が凍えるように寒い、着ていたシャツは一瞬にして濡れて体にへばりつき、着ている者の体温を奪っていった。
「けんちゃん・・・・寒いよ・・・助けてよ」
目の前で弱っている友達、そして自分自身もその寒さに意識が朦朧としていた。
「君達!!!大丈夫か!」
「!!!!!」
岩崎は目を覚ました、体が思うように動かない。だがこのまま寝ていてはダメだと体が言っている。
「俺は・・・ずっと悪夢でも見てたのか?」
手足のしびれ、そして吐き気。普通だったら立ち上がる事などは無理だとわかっていたが体が勝手に動いていた、そして武中のように排気口を空けてそこを這いずるように進む。
目的地は決めていた、あの時見捨ててしまった少年達、例えいまさらでもこの子達を守らないとダメだ。
岩崎はただその一心だけで動いていた。
「はははは!!!!どうした!来ないのか!!」
「っく・・・」
声が聞こえた、どうやら広末の声らしい。もしかしたらと思い排気口から覗いてみた、そこには広末と戦っている向島の姿がある。
「つまらねえな!!! 仕方ねえ」
そういい向島の足を刺した、激痛のあまりか悲鳴も上げずにしりもちをつきその場にうずくまる。
「こいつ等をいたぶり殺してやるよ、それからお前も殺してやるからよ」
そういい他の面々のいる場所に向かっていく。
岩崎はこのタイミングしかないと思った、恐らくアイツと自分の実力差は大きすぎる。まともに戦ったらすぐ殺されて逃げる時間さえ稼げないかもしれない。
そう思いポケットから液体を取り出す、そしてそれを頭からかけた。
「まずは・・・そこの弱そうな男共だな、女はお楽しみに取っといてやるか」
その瞬間、天井から大きな音が聞こえた。一瞬の出来事でさすがの広末も体がこわばる、その一瞬の隙をついて懇親の右のパンチをお見舞いした。
しかし、広末の対応も早い、次の瞬間には岩崎を視界に捉えていた。
ナイフを持っている広末、当初は一発入れたら相手のナイフを叩き落すつもりだったが落としてはくれなかった。
この作戦が失敗した事によって状況は一気に不利になった。
「アンタ・・・・」
「すまない、君達。俺は・・・何か大事なものを見失ってたみたいだ」
「高田が・・・死んだよ、それに翔も」
「ああ・・・、償うつもりだよ。それは俺にでもできる、たとえ許してもらえなくても俺は一生をかけるつもりだ」
「ああん!ごちゃごちゃしゃべってるなよ!切り刻むぞ!」
広末は岩崎達の会話など気にもしないで攻撃を開始した、ナイフを避けるので精一杯である当然の如く丸腰である岩崎はピンチだった、だが諦めてはいない当然武器を持っている相手に対する技もある。
だが広末は素人ではなかった、その技を事前に察知して中々使える状況にしてくれない。こうなっては岩崎は殺されるのを待つばかりだった。
「死ねっ!!!!」
体勢が崩れた岩崎をナイフで狙う、こうなってはもう逃げれない。刺される覚悟をしたそのときであった。
「そのまま倒れろ!」
声が聞こえた、間一髪ではあったがワザとからだを転ばし逃げる、だがこのままでは追撃があると思い必死になって転げた。そして立ちたがった岩崎が見たのはナイフを叩き落とされていた広末の姿だった。
「へへ・・・俺にはこれぐらいしか手伝えねえからな」
辰也が隙を見て武器を叩き落としてくれたのだった。
「てめえ・・・女だと思ってたらナメやがって」
「っは、残念だな。俺は男だよ!」
一瞬辰也に気がとられていた隙に岩崎は広末を投げる姿勢に入っていた。
「うぉおおお!!」
「武器ってのは常に1つしか持ち歩いてないわけじゃないんだぜ?」
拳銃を取り出して発砲する、この距離からなら外れる事はない。だが、拳銃は正常に発砲されなかった。まるで火の粉をまい散らすように爆発を起こした。
「ぐぁっあ・・・!!ってめぇ・・・なにしやがった」
「ガソリンを・・・かぶっておいたんだよ、最悪の場合を考えてな・・・」
人を殺しすぎて鼻が効かなくなっていた広末は気づかなかった、岩崎は排気口からでる前にガソリンをかぶっていたのだった、揮発性と引火性の強いガソリンをかぶった男相手に至近距離で拳銃を撃つなどまさに自爆である。
「くぁ・・・くそっおおお!!」
雄叫びを上げる広末だったが爆発のダメージは計り知れない、仰向けに倒れてから動かなくなってしまった。
「岩崎さん!」
刺された足を引きずりながら向島が岩崎の方へとやってきた。
「・・・はは、君達を裏切った罰かな」
「そんな事・・・・」
言葉が出ない、確かに岩崎さんは俺たちを裏切った。だが最後は自分の命を賭けても助けてくれた。
これは生半可な覚悟では出来ない、この人の本音がようやく聞こえたような気がした。
「素晴らしいよ、うん。私が望んでいたのはこういう展開だ」
先ほどから後ろでずっと事の成り行きを見ていた男が前に出てきた。
「アンタは・・・・?」
「ああ、私か、名乗る程のものではないよ。そうだな・・・、このゲームの主催者とでも言ってこう」
その言葉に一同は騒然とした、目の前に自分達がこんな目にあった張本人がいるのだから。
「さて、賞金を皆に渡さないとな」
そういい、着いてきたまえとだけ言ってから歩き始めた。
「ここに約束の賞金がある、ただ・・・これを貰うに当たって1つ契約をしてほしい」
「契約・・・?」
あれから1年後
俺は使い切れないほどの大金を手に入れてからも働き続けた、というよりも家でじっとしていてもあの時のことを考えてしまうだけだからだ。
最後に言われた契約というのは実に簡単なものだった、ここで起こったこと全てを公表しない、そうすればこれからの暮らしの安全を全て保障するというものだった。
最初はこんな事件に巻き込んでおいて何を言うのだと思ったが、瀕死の岩崎さんを助けてくれるという条件をつけてきたので飲むことにした。
俺は家に帰ってから多少の休憩の後、この事件について検索をかけてみた。だがネットで噂にもなっていない、これだけの大掛かりな事をやってのけた人間達がネットでの証拠隠滅程度をやっていないとは考えづらかった。
あれから一年も経つとあの事件は全てゲームだったのかと思えてくる、だが、そんなはずはなかった。
あのゲームで死んだ人間は、何らかの形で死亡したとニュースで流れた。
ピピピ・・・
携帯が鳴る、音楽が設定されていないので恐らく岩崎さんからである。
「もしもし・・・、向島です」
「やあ、早速本題なんだが・・・、2時にいつもの場所でいいかい?」
「はい、判りました」
俺は手短に準備を済ませて岩崎さんの言われた通りの場所に向かう。
岩崎さんとはあれから数度連絡を取っていた、そして2人で誓い合った。このゲームの首謀者を確実に突き止めると、その為に協力すると。
あとがき
あ・・・本当にごめんなさい。
ごめんなさい orz
最後の最後まで読みづらいストーリーになりました、なんでだろう・・・。結構練った作品だったのになあ。この作品は実は今まで書いてた小説で出そうと思ったのに出せなかった裏設定のキャラなどを中心に盛り込んでいます。
総勢・・・5人ほどでしょうか。主役級から敵のラスボス級のキャラを盛り込んだだけでこういう、回収しきれないフラグを落とす形になってしまいました。
これに関しては大いに反省して次の作品ではもうちょっと感情移入しやすくしたいと思います。
本当に読んでくださった方、そして読んでなかった方・・・。
ありがとうございます。
完結!!
というには程遠い内容な気もします orz
いやぁ・・・・
どこかで見たことあるようなストーリーに・・・
とりあえず 軽いキャラ紹介的なあれを・・・
主人公 向島 あれ・・・下の名前って・・・?
すみません フルネーム忘れた挙句に思い出せません orz
いやあ、あれですね。全く特徴をつけなかったのは理由があるんです、成長していく過程を書きたかった・・・。
全くダメでしたが。
高田 あれ・・・ 確かフルネームは死亡時に・・・
書いてないし!!
あれ・・・またフルネーム忘れた orz あ、ちなみに裏テーマで格闘技関係者の名前を組み込むってやってたので・・・
ええ、今やバラエティやドラマなどで活躍もなさってる高田さんがモデルです。
名前だけね。
岩崎 確か岩崎健吾、良い名前だーとおもったらとある格闘漫画のやられキャラのもじりだったorz
テーマとしては裏切る大人、そして曲がった正義を振りかざす大人。
にはなれなかった。やはり理想だけを背負い込んだダメ人間になってしまいました。
でも、フルネーム覚えられてるだけまだマシ。
武中 裏テーマは復讐者その1。
劇中で微妙に語られてましたが、息子がその昔このゲームに巻き込まれて死んだ事を知り復讐という普通のストーリーを組み込みました。
わりとキャラが立ってたクセに出番がなかったオッサン。
ちなみに渋い感じではなく、普通のオッサン風。
広末 コイツもフルネーム知らない・・・、キャラを多すくしすぎた弊害である。
コイツは他の小説で考えた”暴力警官”がコンセプトだったキャラのリメイク。
ぶっちゃけコイツと岩崎を混ぜて使った方が話が盛り上がった気がした。
イメージ的にはアゴがとんがってる感じ。
薊&翔 珍しくフルネームが存在するキャラ。
翔はぶっちゃけ付き人なので適当な設定。
薊は違う小説(推理物)の犯人役で考えていたキャラ。某漫画にでてきたキャラに思いきり影響を受けてる。
いろんな業界にコネがあり、それを駆使して戦うタイプにしたかったのに。世間とは孤立した無人島という状況下で全く実力が出なくただの我侭娘になった。
ちなみに翔はマッチョです。
佐田 フルネーム佐田風成だったハズ、ちなみに有名な亀○親子がモデルではない。ダレだったか忘れた。
凡人クラスの才能だが練習量と作戦で世界と戦うすごいヤツってコンセプトだったけど。
結構負けてる。
これも他の小説で考えたキャラだけど、上手く動いてくれなかった。
鈴木 鈴木辰也、リトルガールと言えば記憶にあるようなないような。ぶっちゃけこのふたつ名は出すかかなり迷いました。今でも後悔している。
元手品師で、もう一度手品で返り咲く為に賞金を手に入れたくて組織側で参加。
このキャラはオリジナルさんです、女装男子がウケると勝手に決め付けたので作られたキャラ。
文字だけだと男だか女だかわからない。
雀里 確か名前は愛莉だったかな。
この子は実は結構後半で絡むはずだった、そう向島さんと。そして薊とぶつかるはずだった。
まあ、タダのモブに成り下がりましたが。
ちなみに死んでいません、生き残りました。
カジ・幸平・あと男たち
幸平はぶっちゃけ、フレーズだけしか考えてなかった。
カジはカラオケの店長で、実在します。どこにいるとは言わない。他の男たちも役目も与えられずモブ以下の風景になりさがった。
多人数が出る小説の難しさを思い知らせてくれた貴重な人材である。
まあ、適当にこれだけ書きました。
ははは・・・
orz
あ、ちなみに今書いてる小説が出来たらまた載せます。
今度はショートなストーリーを何度も分けて、ええ。この小説に飽きてもう10話ぐらい作ってあります。
来週ぐらいにのせますねー。