<1. 去年の記者会見>
去年の衆院選前、記者クラブでの合同記者会見。橋本五郎氏(だろうか? 日テレの「ウェークアップ」のコメンテーターの一人)が質問した。「Facebookはご自分でやられているのか?」
当時、安倍首相のfacebookは「いいね!」先がアレだとか「ネトウヨ」系まとめサイトへのリンクを貼っているとかで、実名でやっている振る舞いとは思えない・・・と。ネット上では話題になっていた。公衆の面前で確認される機会があるとは!
安倍首相はあっさりと肯定した。暴走気味の担当者がやっているのかも、とちょっと期待していたのに。それなら管理不行き届きで済む。でも、本人なんだって! 私にはついていけない。そしてたぶん外国の政府なども日本の首相に失望しただろう。情報源はテレビと新聞がほとんどという世代も、この場で、ネットでの首相のああいう姿を知ることになるのか?
だが、橋本五郎氏は深追いしなかった。「そうですか。忙しいでしょうから、そんな細々としたことはせず他の人に任せて・・・(ごにょごにょ)」というようなことで結んで他の質問に移ったと記憶している。なんだ、質問の主旨はそうじゃなかったのかあ・・・(五郎さん自身は首相のfacebookの内容はどう思っているのだろうか)。
その後の質疑応答では、安倍首相は吉田証言や椿事件といった、私にとって当時はネット上でしか見ないような事柄を熱く(しつこく)語っていた。高さ速さのためややコンピュータ音声ぽい首相の声で、ネット情報が記者会見で再現されてるよ。新種のイベントを見てるようだ。
そんなふうに思いました。
<2. 今回の国会答弁(1)どんな手数料?>
首相が、facebookなどの手数料は官邸のものは公費でそうでないものは自分で払っている、と答弁したのが話題になっていた。国会のその動画も確認した。
首相の言葉から想像しようとしたが、登録作業は人にやってもらった・ログインくらいは自分でやるんだろうけど?・入力も自分でやるんだよね?・それとも、口述入力?・コメントなどは自分で読んでるよね?・管理(「友達申請」とかか)はどうなんだろう?・・・となんだかわからない。無料サービス利用で手数料が発生しているなら、入力や管理をバイトに任せているのだろうか?
そういうことではなくて、首相はいわゆる「ネット工作員」への手数料のことを言ったのだ、と推測する人もいる。ネット工作員。「原発ホワイトアウト」には電力会社が活用していると書かれていたが。真偽を確かめる必要はない。日本に限らず必ず存在する。ネットが生まれるよりはるか昔からそういうものはあって、ネットという新しい手段が増えただけだ。それを前提にしない意見は聞くに値しない。安倍首相がそういう業務委託をしているかどうかは不明だが、その気になれば優秀(仕事内容も秘密の保護も)な人達に依頼できることだろう。財力は十分にあるから(昔、田母神氏がYAHOO!の投票を根拠に「自分を支持する人は多い」と、公の場で答えるのを見たような覚えがある。ああいうアンケートが意外なほどに重視されているんだなあ、と驚かされた。まあ、呆れましたが)。
<3.今回の国会答弁(2)答弁のいい加減さの証拠>
経済・安保・社会保障他、どのジャンルの答弁についても、「首相の知識は十分であるか・誠実に答弁しているかどうか」は判別しにくい。だが、今回のfacebookと手数料問題はとてもシンプルなので、ある程度できる。
安倍首相は、facebookが無料サービスであることさえ知らないのに、官邸のものは公費で私的なものは自費で払っている、と堂々と断言する人なのだ。
・ 知らないこと・確信していないことでも、堂々と断言する。
・ 知ったかぶりをする見栄っ張りであり、誠実でない。
・ そのように嘘をつくことに慣れている。
・ 疎い私ですら知っているようなことで嘘をついてもごまかせると思っている(なめてるなあ。人をごまかしてきた経験が豊富なのだろう)。
<4. ネット上でのひどい引用>
動画を探す検索には時間がかかった。なぜか。検索結果にはいわゆる「まとめサイト」が延々と並んでいたからだ(まあ、私の検索が下手くそなせいもあるだろうけどさ)。そういうサイトでは、動画に辿り着けない。「民主党の議員が安倍首相をはめるようなくだらない質問をした。くだらないクイズ出題で国会を潰すな」というような書き込みばっかり。
動画を見れば、(1)質問した民主党議員はそもそもはビッグデータの扱いを聞きたかっただけで前振りとして首相のネット活用をほめることから入った・(2)なのに安倍首相はたぶん脊髄反射で「公費流用はしていない」とまず防御してしまった・(3)「手数料を払っている」という首相の予想外の発言に驚いた民主党議員が発言の内容を確認した・(4)首相がもやもやとごまかした・(5)民主党議員は深追いせず予定通りにビッグデータ関係の質疑を始めた・・・という流れが確認できる。民主党議員を非難する理由なんてある?
こういう例ばかりなので「まとめサイト」は情報源としてはあてにしていない(そのせいもあってあまり見たことがないので、決めつけてしまっていいものか少し悩みます)。だが、右な(私基準で)ツイッターやブログで引用している人はいる。
そのため、情報も議論もぐだぐだな感じで、時間が無駄なんだよね・・・。ネットを使って情報や意見を交換したいという気持ちはないんだろうなあ。そもそも、「まとめサイト」の目的はバナー広告収入なのだから(安倍首相からの手数料も入るのかしら?)、例えば安倍首相を盲信する人達が見に行きたくなるような記述を集めているはず。右な(私基準で)人達はそういう記述を見て満たされるだろうし、そうでない人達は同じ記述を批判的に見るしそうしない人達の思考回路を疑う。
つまり、「まとめサイト」は意見の相違を埋めるためには全く役に立たない、趣味の分かれる嗜好品でしかない。それが今回のように情報探しのじゃまになるし(あ~いらいらしたっ!)、私がたま~に見に行くツイッター(私基準で右で、仕事でもほどほど有名人で、自分であることを明らかにしている)の人はこういうサイトの情報が正しいという前提のツイートやリツイートを続けている。年齢的には分別盛りなので、ネットに限らず出回っている情報を疑ってもいいと思うのだが。ほんとになんで?