さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「水雷屯」(爻辞)

2024-09-01 | さわやか易・講座

「乾為天」と「坤為地」の次に来る六十二卦の始めであるので、説明するが、爻にかけられた言葉・爻辞はその卦の世界、時代に各爻がどの様に処すべきかを示すものである。

「初九、磐桓(はんかん)す。貞に居(お)るに利し。侯を建つるに利し。」

ここでの初九はこの卦の主爻である。最も重要な爻である。「磐桓(はんかん)す」とは磐は大きい石、桓は大きい柱で磐桓とはどっしりとしていることである。初九はどっしりと動かずに、正しさを守り、将来の国造りに備えている。私はこの初九を若き日の西郷隆盛を連想している。

「六二、屯如(ちゅんじょ)たり、邅如(てんじょ)たり。馬に乗りて班如(はんじょ)たり。寇(あだ)するに匪(あら)ず、婚媾(こんこう)するなり。女子貞にして字(あざな)せず、十年にして乃ち字(あざな)す。」

六二は下卦の中にいて陰爻として位置も正しい。屯難の時代に結婚を望んでいるが、中々果たせず、十年の年月に耐えた末に結婚する。屯如も邅如も班如も行き悩む様であり、困難を乗り越えて、あせらず、屯難の過ぎるのを待っていたのである。「字(あざな)」は結婚である。

「六三、鹿に即(つ)きて虞(ぐ)无し。唯だ林中に入る。君子は幾(き)す。舎(や)むに如かず。往けば吝(りん)。」

屯の時代にしてはならない行動を戒めている。六三は位不正な陰爻である。鹿狩りに行くのに、「虞(ぐ)无し」案内役をつけずに、林中に入るという無謀なことをしてしまう。「君子は幾(き)す。舎(や)むに如かず。往けば吝。」君子であれば、幾微(微妙なるきざし)をみて、さっさと引き返すだろう。深入りすればろくなことはない。

「六四、馬に乗りて班如たり。婚媾(こんこう)を求めて往く。吉にして利しからざる无し。」

六四は大臣の位置。柔弱ではあるが賢明である。屯難を救おうとして、出かけようとするが、行き悩み引き返す。今度は初九の豪傑を頼って、手を結ぼうと行動する。吉であり、適切な判断である。

「九五、其膏(あぶら)を屯す。小は貞にして吉。大は貞にして凶。」

九五は天子の位。陽爻として中を得ているが、今は屯難の時。「其膏(あぶら)を屯す」徳もあり恩沢もあるが、その力を発揮出来ない。小さな事は良いが、政治では正しくても上手くいかない。

「上六、馬に乗りて班如たり。泣血(きゅうけつ)漣如(れんじょ)たり。」

上六は引退した天子の位。屯難の時を嘆いて、手を打とうとするが、「班如」行き悩みどうすることもできない。「泣血、漣如」涙にくれ、嘆いてばかりいる。

六三に吝という言葉が出てきたが、易には吉凶を表す言葉に吉凶悔吝の四つがある。悔と吝は吉と凶の間に在り、悔は吉に近く、吝は凶に近いとされている。

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